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関西じゃたこ焼きは一般的らしい

「あーやばかった。こちとら叩かれたら埃が出る身だしな」


 警察手帳を見た瞬間に幻影を作って逃げ出したオレは悪くないはず。

 とりあえず、体のあっちこっちに隠しておいたナイフとかは仕舞っておこう。

 アイテムボックスは魔法だから、アイテム取り出すのにタイムラグがある。なので間に合わせ的な意味でナイフだけは常に懐に忍ばせているのだ。

 明らかに銃刀法違反な代物だし、手入れはしてるけどルミノール反応がばっちり出るだろうしな。


「さて、帰るか。あ、BLTサンド喰い損ねた。まぁいいや」


 元々、援助交際の待ち合わせが主目的の店だって噂されてるような店だしな。あんまり期待出来るようなもんじゃなかったろう。

 悪い噂って言うのはそう言うことだ。たぶん、オレも援助交際の待ち合わせだと思われたんだろうな……。


 そう思いながら歩き始めたところで、こちらに向けて誰かが走ってくるのを察知し、高く跳び上がった。

 近くの家の屋根の上に着地し、走って来た人物を見やる。さっきの警察の若い方だ。


「まずったなぁ。姿見られちまった。しゃあねえ」


 なんかちょうどいいものをと思ってアイテムボックスをまさぐり、染色剤を発見する。健康被害の発生しない凄い染色剤だ。

 それを髪の毛にぶちまけると、真っ赤な色に染まる。ついでに他の色を探して目に垂らす。目は青く染まった。

 ……髪も目もスゲェ不自然な色だが、まぁいいか。


「これでいいだろ」


 人の見ていないところに飛び降りて着地。そしてついでだから駅に出向いて自分の自転車を取ってきた。

 デカかったが、オレは三角乗りを修得している。うっかり変な転び方をすると、テコの原理で太ももの骨が圧し折れる危険な乗り方だ!


 そうして家へと帰りつき、家の中に入るとふんわりと優しい出汁の匂い。

 いい匂いだー……と思いつつリビングに入ると、なぜかたこ焼きをしている家族の姿が。


「え、なにこれ」


「むぉ。勇者か。このたこ焼きというのは美味だぞ!」


 魔王が差し出して来たたこ焼きを思わず喰うと、確かに美味かった。

 というかこれ明石焼きじゃん。いや、美味いんだけどさ。


「カーチャン、なんでいきなりたこ焼きやってんの?」


「昨日スーパーに行ったらタコが安かった」


 それだけかよ。相変わらず計画性の無い人だ。

 しかもあんたタバコ吸ってるだけで、実際の調理全部トモエさんに任してるやないか。


「トモエさん、代わりましょうか?」


「大丈夫だよ。たこ焼きを焼くのも楽しいしね」


「さいですか」


「でも、申し訳ないと思ってくれるなら、このスカートを」


「すいません、オレは後頭部絶壁病を患っててスカートを履くと死ぬんです」


「そっか。わけのわからない病だけど仕方ないね」


 適当な断り文句で断りつつ、テレビを眺めているタカネの隣に座る。

 そして普通のたこ焼きらしきたこ焼きを爪楊枝に刺して一口。

 ん、うまい。猫舌だからちょっと冷めてるのがうれしい。


「ほう。そうやって並んでおると、姉弟のようであるな。よく似ておる」


 魔王の言葉に他の皆もオレとタカネを見る。


「確かによく似ているな」


「子供の頃は性差が少ないって言うけど、それを差し引いてもそっくりだね。まぁ、遺伝子がほぼ同じだから当たり前か」


 とは言っても、タカネの顔を見てもそこまで似ているとは思えないんだが……。

 やっぱり明確に違いがあるじゃん。自分の顔によく似ているからこそなのか、すぐにわかる。


「ところでタカヤ」


「んー? なにさ、カーチャン」


「お前、その髪はどうした?」


「ああ、染めた」


「そうか」


 え? それだけで終わりなの? もうちょっと突っ込まれるかと思ったんだけど。

 というかそもそも今更突っ込むの? まぁいいや……。あんま突っ込まれても仕方ないし。


「折角だから、タカネの髪も染めてやろうか」


「極彩色で頼む」


「難易度たけぇ……」


 そもそも髪の毛を極彩色にってどうやるんだよ。


「じゃあ、狐耳美少女っぽく金で頼む」


「いいだろう」


 金の染色剤を取り出してぶちまける。耳も金色に染まった。


「どうだ、狐耳美少女っぽいだろ!」


「あー、そうだね。お前が美少女なのは認める。それが狐耳かはさておいて」


 どう見ても金色の猫耳です。本当にありがとうございました。


「ねぇねぇ、タカヤくん」


「ん? なんです?」


「タカネちゃんが美少女なのは認めるんだよね」


「まぁ、はい」


 少なくともタカネが美少女なのは間違いないのだ。普通に可愛い。


「じゃあ、そのタカネちゃんによく似てるタカヤくんも美少女ってことになるけど」


「ぐわああああああ――――――ッ!!」


 のけぞって倒れ込む。


「ク、クロコじゃねえ。た、タカヤダイーン!」


「な、なんという威力だ……アタマがフットーするかと思った……」


「それ女側のセリフだよね?」


「そう言えばそうだった……」


 まぁ、そんな事はどうでもいいんだが。


「はぁ……そう言えば、今の衝撃でふと思い出したけど、なんか変な組織に目つけられた」


「マジで? 黒い服着てた? 酒の名前を名乗ってた?」


「オレが若返ったのは怪しげな薬によるもんじゃないから」


「じゃあどんな組織だったのよ」


「なんかICPOの裏側の顔とか言ってて、妖怪とかと戦うための組織なんだってさ。そしてその勧誘のオッサンは未成年者略取の疑いで任意同行されてった」


「どうしてそうなった」


「知らん」

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