下着は必要
「ところで世界があと1時間で終わるとしたらどうする?」
「いきなり話逸らし始めたね」
「ところで世界があと1時間で終わるとしたらどうする?」
「……そこまでして話逸らしたいの?」
「ところで世界があと1時間で終わるとしたらどうする?」
「いや、元同一人物なんだからタカヤのブツの大きさくらいわかってるよ?
「ところで世界があと1時間で終わるとしたらどうする?」
「あの、ほら、パンツ要らないってのは言い過ぎたよ、ごめんね」
「……うん、オレも言い過ぎた。ごめん」
とりあえず仲直りしました。
「で、世界があと1時間で終わるとしたらタカネはどうすんの?」
「世界が終わる原因をぶっ飛ばしに行く」
「あー……ブラックホールが突然出現したとかその辺りで」
「タカヤ、あたしと同じ知識持ってるんならブラックホールが突然出現しない事くらい分かってるよね?」
「……うん。ブラックホールが出現した時点で地球滅ぶし」
「というわけで、そのブラックホールを出現させた奴をぶっ飛ばしに行く」
「あー……うーん……宇宙の熱的死が訪れたとか、その辺りの理由で世界が終わるとしたら?」
「トモエさんにおねだりする」
最強の手段が出て来たなぁ……。
と思っていたところ、唐突にトモエさんが台所から出てきて一言。
「宇宙の熱的死は僕でもどうにもならないよ」
「え?」
「だから、熱的死は僕でも回避出来ないんだよ。対処療法で期限を伸ばす事は出来るけどね」
「はぁ、そうなんですか」
「そう言うわけで、そのおねだりはちょっと僕でも難しいかな」
そういってまた台所に引っ込んでいくトモエさん。
「トモエさんって耳いいのかな?」
「さあ? 身体能力は人並みだって言ってたけど」
「そうなん?」
「うん。実際、体力はあんまないみたいだし」
「下は?」
「馬並み」
「マジで!?」
と、そこで再び台所から現れるトモエさん。
タカネの頭をぐりぐりして無言で立ち去って行った。
「……大丈夫か?」
「割と痛かった……」
「これに懲りたら馬鹿なこと言うなよ。で? ホントに馬並みなのか?」
また台所から現れるトモエさん。
そして無言でオレの頭をぐりぐりして立ち去って行った。
「痛かった……」
「でしょ。ちなみに馬並みって言うのは嘘ね」
「はい」
今度は台所から誰も現れなかった。
「さて、話は戻るが」
「あたしのブラの事はもういいよ」
「そこまでは戻ってねーよ」
「ああ、世界があと1時間で終わったらって話だっけ?」
「うん、そう」
「そーねー。あたしだったら、どうにもなんねーならトモエさんと一緒に居たいなぁ」
惚気られた。
「ちなみにタカヤはどうすんの?」
「んー……うーん……」
逆に言われてみると、なかなか難しい質問だな……。
「まぁ……親孝行するか、レンやシエルちゃんたちと最後くらい夫婦っぽいことするかなぁ」
「あー、親孝行ねー。つっても、1時間で出来る親孝行って何がある?」
「とりあえず、今まで育ててくれてありがとう、じゃね?」
「口に出しての礼かー。確かに大事だね。あとは物で感謝の気持ちを表すってのもあるけど……世界滅ぶ1時間前じゃ、日本と言えど暴徒とか出てそうだよね」
「あー……やっぱ、体で返すしかないよなぁ。肩もみ?」
「君……明日から仕事来なくていいからね」
「それ肩たたき」
しかし、1時間で出来る親孝行ねぇ……なかなか難しいな。
「うーん……真剣に考えるのめんどくさくなってきた。世界滅ぶ時に改めて考えるわ」
「いつになるやら親孝行」
カーチャンが死ぬ前にはやるさ。自分の親大事に出来ない人間がまともになれるかってんだ。
……オレはまともなんだろうか?
「……なぁ、タカネ、オレってまともな人間か?」
「それあたしに聞いて答え帰ってくると思うか?」
ごもっとも。
というわけで、カーチャンに尋ねてみた。
「カーチャン、オレってまともな人間かな?」
「全世界のまともな人間に土下座しろ」
どうやらオレはまともではなかったらしい。
まぁ、異世界行って勇者やってた時点で何をかいわんやだけど。
でも親孝行はするさ。そのうちね。そのうち。
……まぁ、したい時に親は無し、って言うし、早めにやるつもりだけどね。
内容は考え中。
「さて、オレがまともな人間ではない事が判明したわけで、まともじゃない行為に及ぼうと思います」
「ほう。その心は?」
「タカネ、一緒に風呂入ろうぜ」
「なるほど。18歳にもなって同い年の妹に混浴を申し込む……確かにまともじゃないぜ!」
「で、入んの?」
「入ろっかな。風呂はもう入れてあるし」
というわけで、夕飯前に風呂に入る事に。
うちは夕飯後に風呂入る習慣なんだけどね。
たまには夕飯前に風呂はいってもいいじゃない。
「ところで、なんで唐突に風呂入ろうとか言い出したの?」
「お前にブラジャーが本当に必要なのか気になった」
「なるほど。じゃ、あたしも今のタカヤにパンツが必要か確かめてやる」
脱衣所で風呂脱いで、湯船に浸かる前に体を洗う。
自分以外の人手があるので、もちろん洗いっこしました。
そして、湯船に浸かって、一言。
「大きさ的にブラジャーは必要ないが、萌え要素的にブラジャーは必要らしい」
服脱いで下着姿になったタカネには説明し難い、MOEを感じた。
あ、これかわいい。って感じで。
これが秋穂さんとかだったら辛抱たまらんですたい、とかになったんだろうか?
「実はあたしも同じ結論に達した」
オレに続いてタカネが神妙な顔で言う。
「その心は?」
「トモエさんの時にも思ったけど、男の娘が恥ずかしそうにパンツ脱いでる姿ってポイント高い」
旦那さーん? あなたの嫁さん腐り初めててらっしゃいますよー?
まあ、元がオレってだけに分かり切ってた事ではあるんだが。




