増毛薬の力
ぼつぼつそうやって時間を潰していたが、だんだん暇になって来た。
というわけなので、何かして時間を潰そうと思う。
「さて……どうしたもんかな」
今挙げられる選択肢は……こんなもんか。
外に出かける。
レンと遊ぶ。
タカネで遊ぶ。
カーチャンに遊ばれる。
ローザにオモチャにされる。
こんなところか?
いや、オレが本気を出せばこんなもんじゃないはずだ。
まだいけるだろう、オレ……!
外に出かける。
レンと遊ぶ。
レンに遊ばれる。
レンをオモチャにする。
レンとイチャラブ。
タカネで遊ぶ。
タカネに遊ばれる。
タカネに愛の告白。
タカネに跳び蹴り。
タカネに必殺おおゆきやまおろし。
カーチャンに遊ばれる。
カーチャンに土下座して小遣いの無心。
カーチャンの手伝いその他諸々に従事。
カーチャンの過去話を聞き出す。
カーチャンに泣きついてみる。
カーチャンに甘えてみる。
ローザにオモチャにされる。
ローザに遊んでもらう。
ローザに甘える。
ローザに弄ばれる。
ローザにボコボコにされる。
ローザに性転換薬を飲ませてみる。
ローザに若返り薬を飲ませてみる。
「ふう……こんなもんか。やれやれ、オレは最強だな」
さて、どの選択肢を選ぶとするかな。
ここは無難に……ローザにオモチャにされに行ってみるとするか。
「カーチャン、この時間ってローザ帰って来てるかな?」
「帰って来てるだろう。確か、最近は期末テスト期間のはずだぞ」
「あー、マジで?」
そう言えば、修也もあくせく勉強してたと思ったら道理で。
「じゃあ、ちょっとローザにオモチャにされに行ってくる」
「そう言って出かけていくやつを見るのは二人目だ」
前にそんなこと言って出かけてった奴居たのかよ……と思いつつも、気にせずにローザの家に。
「ローザちゃん、あーそびーましょー」
窓の外から【サイコキネシス】の魔法で鍵を開けて中に侵入する。
「……一文字孝也か?」
「おうよ。どうだ、可愛いだろ?」
「ああ。やはりお前はこうでなくてはな」
あれ? ナチュラルに納得されたぞ。
「しかし、その態度はどうにかならんのか? 昔のようにやってみろ」
「えー……ローザちゃん?」
「……やはりこれだ」
コイツ、もしかしてショタコンだったのか……?
「一文字孝也。いいか? これからは毎日ワカメを喰え。そして髪を切るな」
「嫌だよめんどくせー。あれ髪洗うのめっちゃ面倒臭いんだぞ」
髪が長いと洗うのは死ぬほど面倒臭い。
長ければ長いほど重くなるので、わしゃわしゃするのも大変だし……。
短髪に慣れるほど面倒になるんだ、あれは。
かれこれ10年くらいこの長さだし、もうやだ。
「しょうの無い奴だな。では、私がお前の髪を洗ってやろう。それでいいだろう?」
「なん……だと!? それはつまり、一緒に風呂に入ると言う事か?」
「そうなるな」
「分かった。伸ばそう」
ローザの事を女として認識してないんじゃないのかって?
例えそうだとしても、同い年の美少女と風呂に入れるなら、脊髄反射で頷くだろ? つまりはそう言う事だ。
男子高校生の心理ってさもしいね。自分のことだけどさ。
「ところで、ここに増毛薬がある」
「効くのか? そう言うのは基本的に薬効成分が頭髪の成長を促進するだけだと思うが」
「これは魔法の力を持った不思議な薬だぞ」
そういって、一気飲み。すると、あっという間に伸びる髪の毛。
それに従ってあっちこっちの毛も伸びる。
「うー……やっぱこの薬は……ごわごわする」
「ひどい有様だな。来い、剃ってやる」
「あ、はい」
言われた通り、ローザの後をついて行く。
そして、洗面所であっちこっちの毛を剃られた。
下は死守した。自分で剃るから、と言ったら了承してくれた。
「ふむ、大体こんなものか? まぁ、見れる姿になったな」
「そーか?」
「ああ。後は髪だな。整えないといかんが……私の手に負える範疇ではないな」
「お前の行ってる美容室教えてくれよ。そこで切ってもらうから」
「これは自分で切っている。毛先を整える程度だがな」
「あ、はい」
じゃあどうすんのよ。カーチャンも自分で髪切ってるし。
おしゃれには気を使わん人なのだ。面倒臭いとのことで。
千里に聞けばいいかな? と思ったところで、唐突に扉が開いた。
「どうやら、僕の出番のようだね」
「トモエさん! いや待て。そこに扉あったっけ……?」
トモエさんが入ってきたのは、オレ達が入って来た扉とは逆側。
……こんなところに扉は無かったはずだが。
「あるわけないだろうが。洗面所に外に繋がる扉があると思うか?」
そりゃねえよな、当然。
「ああ、ごめんごめん。今、錬金術で作ったんだ。消すね」
魔法を下らない事に使わないで欲しい。
あ、オレがいちばんくだらない事に使ってるって? そりゃごもっともで。
「タカヤ君の髪を切るなら、僕に任せておいてよ。タカネちゃんの髪をセットしてるのだって僕なんだから」
「ほう。それならば安心出来るな。頼んだぞ、安久都巴」
「うん、任せておいてよ」
というわけで、トモエさんに髪を切られる事に相成りました。
ぼちぼち髪を切って、出来上がったのは可愛らしい男の子。
男の娘ではありませぬ。
「うむ、よく似合っているぞ、一文字孝也。さて、着替えろ」
そういってローザが何処からともなく服を差し出す。どこに持ってたんだよ……。
というか、この服って……。
「すいません、それエイラの服ですよね?」
「そうだが……なにか問題でもあるのか?」
「問題しかないよね」
「まぁ、とにかく着るんだ。私がこんなにもお願いしてもダメか?」
「いつお願いした? ねえ? ちょっと?」
「喧しい。いいから着ろ」
「嫌どす」
「ええい! こうなったら力づくで着替えさせてやる! 安久都巴! 手伝え!」
「まっかせてよ!」
「ぬわあああああああっ――――!」




