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バミトントン

 ぶらぶらと校内を見回り続け、そろそろ休み時間が終わるって頃に外へと出た。

 授業中にまで校内うろついてたら拙いからな。


「さて、ヒマだな」


「うむ、まぁ、仕方ないがな」


「よし、そう言うわけでバトミントンをやろう」


「ヒマだと言った割に即決でやる事が決まったな……で、バトミントンとやらはなんだ?」


「バミトントンとはな……」


「バトミントンではないのか?」


「そう、バタースカッチとはチェルシーのな……」


「おい」


「すまんすまん。で、バグラチオンって言うのはピョートル・バグラチオンに由来する……」


「どんどん別物になっていくぞ、いい加減にしろ」


「すまん。あー、つまり、バトミントンってのは羽根突きみたいなものだ」


「羽根突きか……やったことがないな」


「無いのか?」


「同い年の女友達が居なかったからな! ははは! むしろ友達自体居なかったぞ!」


「ご、ごめん……」


「謝るな……虚しくなる……」


「ま、まぁ、友達なんて今からでも出来るさ……な?」


「そうだな……」


 トラウマに触ってしまったので、とりあえず気を取り直してバトミントンの道具を調達。

 100均までわざわざ出向いて買ってきた。


「さて、バトミントンをやるわけだが、本気を出して構わんぞ」


「いいのか?」


「ああ。どうせシャトルも軽いしな。スピードは出るけど威力はねーよ」


 なにしろバトミントンは常人がやってもスマッシュの速度が時速300キロを超えるのだ。

 どうせ空気抵抗がデカいからすぐに減速するし。

 それに、時速300キロの100倍でも超速の反射神経を持つオレたちなら余裕だ。

 なにしろオレは至近距離から撃たれた銃弾を避けられるからな。


「んじゃ、ぼちぼちやるかー」


「うむ」


 ルールは既に説明してあったので、さっそくバトミントン開始。




 一時間後。


「【剣聖結界】!」


 刀圏に捉えたシャトルを打ち返す。

 撃ち返されたシャトルは一瞬にして音速を突破し、鋭い風の刃を巻いてレンへと迫った。


「【流迅閃】!」


 そのシャトルはラケットによって柔らかく打ち返されるも、流麗なる風の流れを纏って飛翔していた。

 それを受け止め、風の流れを読み取り、その流れに従って打ち返す。


 こちらの剣の動きを幻惑し、逸らす技などオレには通用しない。

 むしろ、その風の動きを利用して、更なる速度で撃ち返して見せた。


「ちっ! やるな! 小手先の技はやはり通用せんか!」


「不意を打っても無駄だ! もっと鋭く打ち込んでくるんだな!」


「ならば喰らうがいい! 【殺・剛刃】!」


 致命の力を纏ったラケットが振りかざされ、凄まじい力を伴ったスマッシュが放たれた。

 極超音速にも迫るシャトルを咄嗟に打ち返すも、それは空高く舞い上がってしまっていた。


「しまった!」


「ははは! 甘いわ! 【唐竹一閃】!」


 宙高く舞い上がったレンが、全力でシャトルを叩いた。

 そのシャトルは一瞬で地面へと着弾。

 周囲の土を吹き飛ばしながら、猛烈な回転によって地下数十センチにまで埋まって行った。


「くっそう……これで7対8か。まだオレが勝ってるが、追いついて来やがったな……」


「ふっふっふ……体を動かす運動なら負けはしない」


 レンはダンスやってるからな……じゃねえや。

 レンは剣術やってるからな。剣術の下地の基礎作りは入念だから、身体能力オバケになるんだよな。


 あとはコツさえつかめば大抵のスポーツを軽々とやってみせる。

 バトミントンは頭脳戦でもあり、繊細なシャトルの操作が必要になるが、オレはそんな細かい操作が出来ん。

 そう言うわけで力いっぱい打って速度で勝負せざるを得ず、身体能力オバケのレンもそれなら余裕で対応できる。


 加えて言えば、オレは今ショタになってるからパワーも落ちてる。

 この勝負……持久戦になるな……。


「……レン。勝負も折り返し地点、一段落ついたあたりだ。いちど休憩にしようじゃないか」


「……よかろう」


 息を吐いてラケットを降ろす。


「よーし、ジュース買ってやるぞ。なにがいい?」


「何がいいと言われてもな……」


「そうか。とりま、自販機行くか」


 今までバトミントンやってた学校近くの公園から出て、近くの自販機へ。

 んー……オレはとりあえずコーラにしとくかな。


「どれがいい? フィーリングで決めな」


「そうだな……うーむ……では、これだ」


「あー、オロナミンなー」


 金投入。そして手を伸ばし……。

 ……手を伸ばし。

 手を……。


「届かねぇ! 舐めんな!」


「お、落ち着け」


「しゃあねえ、レン、オレの肩に乗れ」


「むう……分かった」


 ぴょんっ、とジャンプしてレンがオレの肩の上に乗る。


「……一応言っておくと、上を見るなよ」


「見ねえよ。そもそもお前、袴だろ」


「袴だろうが何だろうが見える事はある!」


「そーっすね」


 袴ってぶわーっと広がってるしな。しかし、ホントに見えるのかねえ?

 ……白か。これはこれで清純な魅力があるな。

 なんて考えてると、がちゃん、とオロナミンの落ちてくる音。


「タカヤは何を買うんだ?」


「あー、白いの……じゃなくて、赤に白い文字が入ってる奴」


「これだな」


 がちゃん、とコーラが落ちて来た音がした。

 そしてレンがオレの肩から飛び降りた。


「あー、白なー」


「なにがだ?」


「ピンクとかの可愛いヤツ期待してたんだが、まぁ、白は白でな。あ、コーラうめぇ」


「お前は言動に一貫性が無いな……」


「切り替えの速い男だからな」


「切り替えが速いのは結構だが、無作為に切り替えるのはやめろ」


「へいへい、サーセン」


 さーて、公園に戻るかー。

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