ロボットは男の子のロマン
「そう言えば店主さんに聞きたいことがあったんですけど」
「はい」
「この世界には神様いますよね」
「はい、いますね」
「魔法使いとか、居るんですか?」
「居ますよ。諸々の理由から秘匿されていますけどね」
なるほどなー……。
「んじゃそれに付随する話ですけど、トモエさんはこの世界はおかしいところが多すぎる、って言ってましたけど、具体的にどうおかしいのか、店主さんは知ってます?」
「この世界は全てを受け入れる。魔法も、行き過ぎた科学技術も、久遠に臥したるものも、星を喰らう者も、宇宙を滅ぼす機械の化物も、全てを」
「つまり、どういうことだってばよ?」
「まぁ、考えられる限りなんでもアリ、ってことですね。だから神とかも居ます」
「へぇー……じゃあ、宇宙人とか地底人とか火星人とかいるんですかね」
「居るかもしれませんし、居ないかもしれません。観測する事で事象は決定されるので、観測してないんです。観測した瞬間に全てを受け入れる要素が潰えますから」
「はあ」
よく分からないが、とにかく凄そうだ。
しかし、この世界ってそんなに夢いっぱいな世界だったんだな……。
「とすると、大統領がレッツパーリーしたり、スーパーロボットが地球を守るために戦ったり、異世界からお姫様がオレの家にやってくる可能性もあるんですね?」
「可能性だけなら」
「なるほど……さて、まずはスーパーロボットがあるか探して来ます」
「いってらっしゃい」
意気揚々と家を出て、まずローザの家を訪ねた。
機械工学とか結構詳しいから、スーパーロボットについて知ってることくらいあるはずだ。
「ローザ! ずばりスーパーロボットがどこにあるか教えろください!」
「そんなものはない。それからノックをしろ馬鹿者」
「サーセン。で、スパロボは本当にないの?」
「無い」
「でも探せば絶対にあるって店主さんが言ってた」
「なら勝手に探せ」
「把握」
さっそくタンスを開けてみる。
「そこにあるか阿呆」
蹴っ飛ばされた。
「あーもう、地下の格納庫とかにスーパーロボット隠してないの?」
「そんなもん隠してるわけがあるか」
「地下格納庫自体は否定しないのか」
「常識的に考えてそんなもんがあるか」
ごもっともな話です。
「ロボットないのー? ロボットー」
「お前の学校で作っていただろう」
「あれはリアルロボットだろ。オレはスーパーロボットがいいの。スーパーロボット」
「面倒臭い奴だなお前は……」
「合体したり変形するようなロボットに心当たりないの?」
「無いと言っているだろうが。私の知っているのは片っ端からリアルロボットの範疇だ」
「なんだよつまんねえ」
しかし、考えてみると人が乗れるリアルロボットが腐るほどあるって言うのも変な話だよな。
まぁ、既にあるんだから仕方ないっちゃ仕方ない話なんだけど。
「……そうだ! スーパーロボットがある世界に行けばいいんじゃね?」
この世界のスーパーロボットを探すのが大変なら、既にある世界に行けばいい。
最初の目的とはちと違うが、妥協点という奴だ。
とにかくオレはスーパーロボットが見たいんだ。
「そんなにサラッといけるものなのか?」
「直近の世界なら今すぐにでもいける」
シエルちゃんたちが居る世界は結構遠い世界なんだよな。
世界の根底自体が全くの別物だから仕方ないんだけど。
けど、地球がベースの世界ならそんなに遠くないはずだ。
「ふむ……興味深いな、私も連れて行け」
「え、大丈夫なのか?」
「知らん。とにかく連れて行け」
「分かった分かった」
とは言え、何も相談せずに行くのも拙い。
とりあえず店主さんに相談してみたところ、長く留まらなければ問題はないだろう、とのこと。
相談した後は一度家に帰って、異世界に行ってきます晩ごはんまでには帰ってきます、と書き置きを残しておいた。
「よーし、では異世界に行く準備はいいかー?」
「おー」
タカネのやる気のない返事が返ってくる。
ローザはおざなりに拍手してる。
ちなみにレンはローザの妹と遊んでるのでお留守番。
トモエさんは店主さんと旧交を温めるんだってさ。
「タカネ、お前、腰は平気なの?」
「無理しない程度なら」
「ああ、そう」
んじゃ、さっそく異世界への扉を開きますか。
そう思って異世界の扉を開く術式を構築した瞬間、なぜか修也の部屋から悲鳴が。
あわてて修也の部屋に向かう。
「どうした! なにがあった修也!」
「た、たた、タカヤぁ! 助けてぇ!」
そこにはなんと異世界へのゲートらしきものに吸い込まれかけている修也の姿が!
修也は吸い込まれないよう、必死でベッドにしがみついている!
「助けてぇ!」
「ちょっと待ってろよ!」
物置まで走り、災害時の備えに用意されてるザックを持ってくる。
中身は乾パンやら飲み水だのがたくさん入ってる。
「ほら! これをもって! あと、これはオレの愛剣の一つだ。お前を守ってくれるはずだぞ!」
「いやいやいや! 引っ張り出して助けてよ!」
「それ無理」
だってこれ、絶対に逃げられないようなタイプの魔法だもん。
しかし、どこのどいつがこんなもん修也に仕掛けたんだ?
これ、召喚系魔法だよな?
魔法の術式を眺めていると、タカネとローザがやってくる。
「な、なんだこれは!?」
「ああ、ローザ。これが異世界に召喚される系の魔法」
「これが魔法……物理法則もあったもんではないな」
まぁ、魔法も結構物理法則には従ってるんだけど、ところどころ従ってないタイプもあるよなぁ。
「助けないのか?」
「無理。一度捕まったら完全にロックされるタイプ。一方通行の形式だし、引っ張り出すのも無理。魔法を無理やりぶっ壊す方法ならあるけど」
「じゃあそれやってよ!」
「お前の胴体千切れるけどいいのか?」
向こう側には千切れた下半身が届くだろう。
「……ごめん、やっぱやめて」
「まぁ、すぐに助けに行ってやるから、大人しく行けよ」
「ああ、うん……なんか魔法とかよくわかんないけど、助けには来れるんだ?」
「まぁ、オレも魔法使えるんで」
そう言えばローザとカーチャンと香苗にはとっくの昔に話したけど、修也と千里には言ってなかったな。
「ほ、ホントに助けに来てよぉぉぉ!」
「分かってっから。世界の座標ももう見たし」
割と近い世界だ。たぶんだけど地球のある世界だろう。
そう思いながら、修也が吸い込まれていくのを見届ける。
「さて、仕方ないので修也を助けに行きます」
「ああ」
「手間のかかる弟だわー」
しかし、なんで急に召喚されたんだろうな?
……オレが異世界への扉を開こうとしたせいじゃありませんよね?
「……よーし、んじゃ行くかあ」
とにかく修也を助けりゃ問題はないんだ。さあて、行くか。
この辺りから無軌道で無茶苦茶な話が始まって行きます。




