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夢の技術

「なるほど……そんな事があったんですか……」


 店主さんの話は割と長く続いた。

 まぁ、楽しかったのでさほど気にする事無く聞けたが。


「ええ、大変でしたよ」


「けど、状況を考えるに、卵が先か鶏が先かって言う問題出てきません?」


「そこに関しては、本体も含めて全て予備だという事があります」


「どういう事ですか?」


「言語化して説明するのは難しいです。私が私になった時点で、私は全てにおいて独立した存在となりました」


「それは分かります」


「始点も終点も無い。つまり独立した個。例えば、過去の私を殺されたところで私は消滅しません。しかし、私そのものが滅ぼされれば死ぬ。だから、予備を作り始めた」


「予備?」


「自分と全く同じ思考原理と記憶を持ったクローンが居て、そのクローンに記憶も意思も全て受け渡せるならば、それは自分と言っても差支えない。そう言えば分かりやすいでしょうか」


「ああ……なんとなくは」


「つまるところ、オリジナルの私が辿った道を、全ての私に辿らせているという事です。そうしていれば例えこの私が滅ぼされても、次の瞬間には、自分の意思も記憶も全て受け継いだ新たな自分が誕生する。つまりは、オリジナルも含めて全て予備なのです。」


「なるほど……」


 偏執的といっていいほどに、この店主さんは用意周到だ。

 話のスケールはデカいし、かなり複雑だしで分かり辛いところもあったが、概ね理解できた。


 とりあえず、この人とは絶対に戦いたくない。

 だって絶対に負けるもん。

 過去に行って過去の店主さんぶっ飛ばしても、この店主さんは消滅しないで、当たり前のように襲い掛かってくる。

 もしこの店主さんを倒せたとしても、次の瞬間には新たな店主さんが現れて襲い掛かってくる。

 未来とか過去とか並行世界に逃げても、そう言うのを無視できるから、追いかけてくるというより、最初からそこに居る。

 どうやって勝つんだこんなの。


「しっかし……羨ましい。いや、ひどい目に遭いたいわけではないけど、その状況は羨ましい……」


「変わってあげませんよ」


「ふ、ふんっ、い、いいもんね。お、オレには4人も嫁いるもんね」


「全員、幼女ですね」


「しょ、将来性があるから……」


「声震えてますよ。そんなにも羨ましいですか?」


「羨ましい……」


「血涙流さないでくださいよ」


 おおっと、服が汚れる。


 しかし、本当にうらやましい……。


「べた甘デレデレ風味のお姉さんにメチャクチャ愛されるとかうらやますぃ……」


「彼女と付き合ってたら命が幾つあっても足りませんけどね」


「まぁ、それは想像つきますけど……」


 確かに話を聞いてる限りでは、命が幾つあっても足らない。

 店主さんじゃなきゃ、その人とは付き合ってられなかっただろう。

 いや、付き合ってたというよりは、付き合わされてた、だけど。


「しかも、その他にも和風はんなり美人に、おっとりシスターとかいるんでしょ?」


「居ますね」


「うらやますぃ……」


「私の辿って来た人生を聞いてなおそれを言えるのは凄い胆力ですね……」


「いや、同じ立場にはなりたいと思いませんけどね」


 幾らオレでも、店主さんと同じ生活を送ってたら死んでしまう。

 軽く1000回は死ねるんじゃなかろうか。


「ところで疑問なんですけど、時間軸関係ないなら、こうして会話した事も既に知ってた事なんですか?」


「そうですね。この宇宙が始まった時点でこうしてあなたと会話する事は既知です。この宇宙の創造から終焉まで、全て」


「じゃあ、本読む意味ってあるんですか?」


「既知ではあっても知識を閉じる事は出来ますからね。本を読むのは面白い。私はそう思いますから、まだ読んでいない本の知識は引き出さないようにしてるんです。研究については、物証を創り出す事にも意味があるので結果が既知であってもやりますけど」


 なるほど。

 まぁ、なんでも知ってたら楽しくないもんな。


「ところで、研究って言うのはなにやってんですか? 錬金術の研究?」


「まぁ、色々ですね。今は暇潰しがてら純粋科学による常温核融合炉の研究を」


 魔法全く関係ねえ……。


「で、それは実現できるんですか?」


「魔法使っていいなら簡単ですよ。トンネル効果を意図的に起こせばいいんですから。今目指しているのはそう言うのとは別です。純粋科学かつ、家庭で出来て、小学生でも作れて、安全、そう言うレベルの核融合炉を目指しています」


「一家に一台核融合炉ですか」


「夏休みの自由研究は核融合炉の製作で決まりですね。核融合炉製作キット2800円」


 とんでもない未来予想図だな。


「というか、核融合炉って必要なんですか?」


「要らないと思います。ただの暇潰しですし、一般に販売するつもりは欠片もありませんよ」


「なるほど」


 核融合炉はあっても仕方ない。というか、核関連の技術全部要らんだろ。

 原子炉とか既に時代遅れの産物だし、今後10年間で全部撤廃だっけ?


「そう言えば、原子炉ってどうなったんですか?」


「縮退炉が安定運用可能になったので、来年度には全て停止の見込みです。エキゾチック即発超臨界反応炉も今後10年で実用化される見込みだそうですよ」


「意識場感応素粒子発電とやらはどうなったんですか?」


「来年に大型実験施設が建造されるそうです。実用化は今後10年ですかね」


「ふーん」


 縮退炉、エキゾチック即発超臨界反応炉、意識場感応素粒子発電。

 全てスーパーチルドレンらが開発した技術だそうだ。

 これで全世界のエネルギー問題は解決するんだとか。

 まぁ、ローザは渋い顔してたけど……どういう事なんだろな?

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