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頭のいいバカ

 我が家に帰って来た。そして、さっそく家を出た。

 なぜかと言えば、家に居てもやる事が無いから。

 タカネで遊ぶのはちょっと可哀想だしな。体つらいみたいだし。


 レンをペロペロするという案も思いついたのだが、レンはローザの家だ。

 ローザの家にいるレンをペロペロするとなると、必然的にローザもペロペロせざるを得ない。

 あんまりやりたくないし、やったらボコボコにされるのは想像に難くない。


 そう言うわけで家を出たのだが、やる事がない。


「そうだ、こういう時は雀荘に行こう。あ、今日は定休日か……」


 今日は日曜日。殆どの店が休みになる日。御多分に漏れず雀荘早川も定休日だ。

 早川が何をしているのかは知らないが、一人で自分の息子と格闘しているんだろう。たぶん。


「はて……どうしたもんかな……そうだ、店主さん家に行くか」


 貰っていた名刺を取り出して住所を確認。そして、さっそく店主さんの家へと向かう。


 やってきた家はさほど目立つ事も無い普通の洋風の家屋だ。

 別の魔法の力とかも感じない。詳しく探ると空間が微かに歪んでいるのが探知できる。

 ここまで見事に隠ぺいするとは……。


 そう思いつつもチャイムを鳴らす。


「あーさーなーくーん。あーそびーましょー」


『開いているのでどうぞ入ってください』


 すぐに返答が帰って来たので、さっそく扉を開けて家の中に入る。

 それと同時、なんか踏んだ。


「痛い痛い。すみません、同性に踏まれて喜ぶ趣味は無いんです。退けてください」


「……あんたなにやってんですか」


 玄関に店主さん寝転がってた。わけがわからない。


「分かりませんか? こうしてここに寝転がっていれば、来客があった時に偶然下着を見てしまう可能性があるでしょう」


「分かった。あんたバカだ」


「バカな事をしていた自覚はあります」


 よっこらしょ、と言いながら店主さんが立ち上がる。

 この人、頭いい人だと思ってたけど、実はけっこうバカなのか?


「第一、それがオバハンだったり、スカート履いた男だったりしたらどうするんですか」


「自分に記憶消去をかけます」


 凄い能力の無駄遣いだ!


「さておき、何か御用ですか?」


「いえ、ヒマだったんで遊びに来ました」


「そうですか。どうぞ上がってください」


 店主さんに促されて、家の中に。

 家の中は案外普通だった。本で埋め尽くされてたりとかするのかと思ったんだが。


「意外と普通なんですね。あの店みたいに、大量に本があるのかと思いました」


「ああ、あの店はもう読まなくなった本を保管する場所ですから。ここには必要最低限しか置いていませんよ」


「ふうん……で、この人間にしか見えない人形はいったい?」


「ああ、見抜けますか。見ての通り人形ですよ。趣味なんですよ、人形作り」


「へぇ……」


 置いてある人形はとかくに生々しい。

 今にも動き出しそう、なんてレベルにまで至っている。

 それも、一目見て人形とは絶対にわからないほどに精密。


 人間の生命力を探知出来なければ、人間だと思っただろう。

 というか、もしかして生命力を隠蔽してる人間なのでは? と疑いたくなる。


「……人形ですね」


 触ってみると確かに人形だ。表面は普通に硬い。


「その人形は、普通の素材で、どこまで人間のように出来るかと挑戦しつつ作った作品ですから」


「へぇ。なるほど、ここもちゃんと作ってあるのか」


「当たり前のように人形の服をひん剥くのやめませんか」


「いやあ、ついうっかり」


「まぁ、気持ちは分かりますけどね」


 分かっちゃうんだ。


「さておき、お茶でも淹れますね。座っていてください」


「ああ、はい」


 言われた通りにソファーに座って待つ。

 しかし、この人形、凄い出来だな……本当に人間にしか見えない。

 いったいどうやったらこんなもん作れるんだか……。


「命とか篭めたら動かないかな……」


 まぁ、そんな魔法は修得していないので出来ないのだが。

 トモエさん当たりならさらっとやっちゃいそうだけど。


 そんなことを考えていると、店主さんがカップを手に戻ってくる。


「コーヒーです、どうぞ」


「あざっす」


「砂糖とミルクは?」


「めんどいんでいいです。にげぇ」


 やっぱ砂糖とミルク入れた方が美味い。けど入れるのめんどいし、かき混ぜるのもめんどい。

 なのでブラックのまま我慢して飲む。


「うーん……マンダム……」


「歳バレますよ」


「バレるもなにもオレは18歳です」


「ははは、またまた御冗談を」


 いつの間に年齢詐称疑惑が浮上したのか。


「ところで、店主さんは幾つなんですか?」


「外見年齢は15歳頃のものですよ」


「15……?」


「ええ、15歳」


 どう見ても10歳児くらいだけどなぁ……。


 そう思いつつ、静かに優雅なコーヒータイム。

 ぶっちゃけコーヒーの味はよく分からないので、苦い水を飲んでいる気分になる。


「ところで店主さん。昔、女子校に通った事あるって言ってましたけど」


「本体がですけどね。確かにありますが、それがどうかしたのですか?」


「具体的にどういう経緯でそんな事に?」


「一生監禁されるか、女装して女子校に通うかの二択が提示されたので、女装して女子校を通う事を選択したからですよ」


「え、なにそれ」


「詳しく聞きます?」


「聞かせたってください」


「では話しますね。あれはそう、私が16歳の頃の話ですね……」


 店主さんの語り始めた話に耳を傾ける。

 こんな面白そうな話、聞き逃す事は出来ん。

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