表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/107

予定なんか守るわけないだろ

 心霊スポットに行く。

 そのためには自転車が必要である。


「タカネ、オレの自転車が見当たらない」


「……そう言えば、異世界に行っちゃったのって、確か駅のホームから落ちた時にだよね?」


「確か……そうだったな」


 都心まで出て、学校の最寄り駅に乗り換えるホームで落ちたはず。

 という事は……。


「オレの自転車、駅か?」


「……だね」


「回収してくんのめんどくせぇ」


「だよねぇ……」


 とは言え、自転車が無ければ移動が面倒くさい。

 そう言うわけで、仕方なく駅まで徒歩で回収しに行くことに。


 しかし、歩いているとヒマになる。

 そうすると当然……。


「タカネ、しりとりしようぜ」


「よし来た。しりとり」


「リス」


「スール」


「ルール」


「ルルイエ」


「栄養」


「ウルル」


「ルイ王朝」


「ウナクール」


「ル、ル……ルアウ。ハワイ語」


「ウ……うー……ウガル」


「ル……ル……ル責めすんじゃねえ!」


「タカヤこそウ責めするな!」


 二人とも考える事は一緒である。

 クソ、これだから狡いこと考える奴は……


「しょうがねえ。こうなったらタカネを川に放り投げる暇潰しをしよう」


「じゃあ、あたしはタカヤを車道に突き飛ばす暇潰しするわ」


 なんて不毛な会話だ……これこそオレとタカネの間のシンパシー。

 いやなシンパシーもあったもんだ。


「つーかさー、なんかもー自転車回収して来るのめんどくなってきた」


「あたしも既にメンドイ。心霊スポットとか行かなくてよくね?」


「第一に心霊スポットなら神社行けばいい。神霊が居るじゃん」


「そういえば一応あの人って神霊か……」


「でも数時間前にお邪魔したばっかだし、今日は自重するか」


「だね」


 それくらいの礼儀は弁えてる。次に行く時は、おかしでも持参しないとな。

 ああいや、ヒマそうにしてたし、暇つぶしになるもの持ってった方がいいか?

 まぁ、その時になってから考えるか。


「神社と言えば、狐耳娘はどこに居るのやら……」


「そう言えば、最初に神社に行ったのってそれが目的だったな」


 確かに、狐耳娘は大変重要な事案だ。

 もしも狐耳娘が居れば、早急に保護して可愛がらなければいけない。


「……そう言えばさ、大森山って、タヌキ居なかったっけ?」


 大森山。日本のあっちこっちにある山の名前だ。この近くにもある。

 すげー安直な名前だけに、あっちこっちにあるんだろうな。

 で、その山にはタヌキが居たはずだ。


「……居た、と思う」


「よし、狐耳娘が居ないのは惜しいが、狸耳娘を探しに行こう」


「行くぜ!」


 というわけで、心霊スポットは後回し。

 気が向いたらそのうち行くかもしれない。

 前向きに善処しますが、検討次第では見送る形になると思われます。





 思い立ったら即行動なわけで、走って大森山までやってまいりました。

 自然の多く残る山なだけに、あっちこっちから鳥獣の声が聞こえてくる。


「さて、さっそく探すか。まずはタヌキの痕跡を見つけて……」


「あっち」


「へ?」


 いきなりタカネが山の中を指差す。

 特に何もないように見えるが……。


「獣臭がする。向こうだよ」


「ああ、そっか。お前、鼻が利くのか」


「そうだよ」


 猫の鼻は犬よりも効かないらしいが、人間なんかよりはるかに優れてるのは確かだ。

 これはタヌキ探しもラクになりそうだな……。


 さっそく、タカネのナビゲーションに従って移動を開始。

 更に山全体に感覚を張り巡らせて、魔力とか霊力とかの発動を監視する。

 山って精気に溢れてるから分かり辛いんだけどね。

 でも初夏だからまだ分かりやすい方だ。


 これが啓蟄だったら何一つとして分からなかっただろうな。

 というか、下手したらタカネが山の精気に当てられて発情期になったりして……。


「タカネ、お前って発情期あんの?」


「んー? あたし、五感とか以外は殆ど人間と変わんないよ?」


「ふーん……ってことは、ツキイチで来るのか?」


 理屈上そう言うことになるんだが。


「まぁ、そうなるけど……お子様なのに来てるの? とか聞かないでよ?」


「お前、この世界に来る前に間接的に暴露しましたよね?」


 そう言う用品が必要ってことは、必然的に来てるかどうかわかるわけで……。


「くっ……忘れろ! 忘れるのだー!」


「忘れた」


「よろしい」


 きれいさっぱり忘れた。

 タカネの体の事なんて知ったって楽しくないしな。


「ん……近い。タカヤ、力感じる?」


「分かり辛いけど感じるな」


 普通の動物よりもちょっと強い力を持った動物が居る。

 化けられるかは分からないけど、期待は出来るだろう。


「んじゃ、あたしが威嚇して止めるから、タカヤが捕獲してね」


「はいよ」


「よーし……」


 ぴんっ、ぴんっ、とタカネの耳と尻尾が飛び出す。

 瞳孔も細くなり、かなり猫みたいな雰囲気を醸し出し始める。

 そして、最後に指の爪が伸びる。って言っても、1センチくらいだけど。


「行くよ!」


「捕獲は任せろー」


 タカネが飛び出し、その後に続いて飛び出した。

 狸耳娘は近い……!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ