適当とか手抜きが許されるのは、セオリーを知っている奴だけだ
だらだらタカネと話していた所、唐突にぐーっ、と腹が鳴った。
「腹減ったな」
「だねぇ。なんか食べるもんないかな」
「台所になんかあるか?」
炊飯器確認して冷蔵庫確認して。
米はあったが、おかずがなーんもない。
食材はあるが、手を加えなければなぁ。
「豚肉と青梗菜使ったらなんか作れそうじゃね?」
タカネが豚肉のパックと青梗菜を見せながら言う。
「うーん……炒めたら美味いかな」
「どーだろ……カーチャンがそんな感じのを作ってた気はするけど」
「調理法が不安だな……」
「勘でイケる」
「やめろ。それは失敗しか生み出さん」
山カンで料理作った所で、恐ろしいものしか出来ないって相場が決まってんだ。
適当に作った料理が美味い奴は料理自体が上手いんだ。
下手くそが適当に作ったら、真面目に作ったものより酷いのが出来るに決まってる。
「第一に、うちの台所で放射能撒き散らしたら修也辺りがお亡くなりになるだろ」
「どこから放射性物質が出てくるのさ」
「お前って食材を用いて核兵器を創り出す錬金術師だろ?」
「そこまで酷くねえよ!」
「じゃあ産業廃棄物か」
「……まぁ、それは否定できないな」
有用な素材を用いて産業廃棄物だけを創り出すとは、資源の無駄遣いだな。
「全く、資源の無駄遣いはするなよ? 地球温暖化が加速するだろ」
「地球温暖感化……地球が熱くなるな」
「胸が熱くなるな、みたいな言い方するな。そして地球は冷やせ。エコだ」
「地球を冷やす、かぁ。思いついた!」
「なにを?」
「冷やすと言えば、冷蔵庫!」
ふむ、確かに冷やすと言えば冷蔵庫だ。
氷だって作れるスーパーナイスガイだしな。
「冷蔵庫って、開けっ放しにしたら地球温暖化防げるんじゃね? むしろ冷える!」
「でも、冷蔵庫って熱を排出するって言うじゃん。実際、裏側の方とか熱いし」
「んじゃ、冷蔵庫の後ろに冷蔵庫置けばいいんじゃね?」
「でもその後ろに置いた冷蔵庫が熱くならね?」
「じゃあ、その冷蔵庫の後ろにも冷蔵庫」
「天才過ぎ。それ繰り返せば地球温暖化防げるわ……」
「円形に設置した冷蔵庫で地球が冷えるな」
「これ研究すれば間違いなくノーベル賞貰えるわ。頭にイグってつくけど」
「だろ? 褒めてもええんやで?」
「さすがはタカネ! 頭揺らすと音が鳴るだけの事はあるぜ!」
「脳味噌が頭蓋骨にぶつかって、カコォーン、って音鳴るからな。凄いだろ」
「ああ、驚きの小ささだぜ」
と、そこまで話した所で同時にため息を吐いた。
「アホなこと言ってないで、朝メシどうするか考えるか」
「そだね。でも、あたしら料理出来ないしねぇ……」
「まぁな……」
レシピさえあればなんとかなるんだけどなぁ。
でも、そのレシピが無いんだよな。実に困った事に。
となると、勘に頼って調理する事になるわけだが、勘に頼るのは失敗フラグだ。
「もう生で食えばいいんじゃね?」
「それだ」
「タカネ、試しに食ってみろ」
「よし、あたしに任せろー」
バリバリー、と青梗菜を纏めているテープを剥ぎ取り、青梗菜を齧るタカネ。
「うん、まぁ、食えるよ、うん。別に美味くは無いけどね」
「そりゃそうだろうな。豚肉はヤバいからやめとくか」
「だね」
生の豚肉にはヤバイ寄生虫が居る可能性があるからな。
まぁ、寄生虫は早々居ないと思うが……サルモネラが居るかもしれんし。
いずれにしろ、命に係わる可能性があるのでやめとこう。
オレの驚異の内臓機能なら大丈夫だとは思うんだが、世の中に絶対はないし。
「しかし、生の青梗菜をおかずにごはんを喰うって言うのはな……」
「ちょっとねぇ……」
「こうなったら、ダメで元々! 多分美味しくなるだろうという独断と偏見の元に料理を作ってみるか……」
「なんてこった。漢らしいぜタカヤ」
「オレに惚れると火傷するぜ?」
「フライパン押し付けられるのか」
「いや、てんぷら油投げつける」
「それ火事になるから」
ふざけつつ、フライパンにサラダ油を敷く。
洗った青梗菜を放り込んで軽く炒め、鳥ガラスープの素とオイスターソースをちょっと投入。
んで豚肉投入して、干し椎茸も投入。
暫く火が通るまで炒めて終わり。
「タカネ、毒見しろ」
「よし来た」
さっそく豚肉を取って食べるタカネ。
咀嚼し、なんか微妙な表情を浮かべる。
「……あんま味しねえな。いや、鳥ガラがほんのりと効いてて不味くはないんだけどね?」
「……塩コショウ入れ忘れたわ」
「男のドジっ娘とか流行んねぇから……マジ流行んないから……男の娘になって出直せよ……」
塩コショウを振ってかき混ぜて、適当に味付け。
うん、これで大丈夫だろ。
今度は自分で味見。まぁ、食える味だ。
「なんだ、オレって料理出来たんだな……」
まぁ、かなり簡単ではあるけど……。
オレが料理出来ないと思ってたのは、単にやった事が少ないってだけか?
「むしろこれくらい出来て当たり前のような気もするけどね」
「お前これくらいも出来ないじゃねーか」
「はい。すみません」
さて、青梗菜と豚肉の炒め物を皿に移し、米をよそって居間でいただく。
運動した後のメシはうまいなぁ、うん。
それを食べ終えた後、再びだらだらごろり。
テレビを見てぼーっとする。暑くなり始める時期だからか、心霊特集だ。
「オバケねぇ……心霊スポットって、マジでなんかあるのかな?」
「今のオレ達なら分かるような気がする」
「……よし、いこう」
「どこに?」
オレもうちょっと食休みしたいんだけど。
「思い立ったら即行動でしょうが! ちょっとググってくる!」
ドタドタと二回にタカネが走って行き、数分程で戻ってきた。
「一番ヤバイ心霊スポット調べて来た」
「はえーよ」
「とにかく行くぞ。あたしについてこーい」
「どこまで行くのさ」
「岩手の県境」
「遠いわ」
電車乗りついで3時間近くかかる距離だぞ。
「なんでよ。走って10分くらいでしょうが」
「タカネさん、現代日本でそんな速度で走ったら大変な事になるんです」
何キロ離れてるかは知らんが、100キロ以上はあるだろう。
時速600キロも生身で出せるか。
「そーいえばそうか……しょうがない。自転車でぼちぼちいこう」
「しょうがねぇな……」
行くって言ったら絶対に行くからな、コイツ。
コイツが無茶やらかす前に、オレも大人しくついていった方がいいだろう。
……別にオレも心霊スポット行くの楽しみにしてるわけじゃないよ? ホントだよ?
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