はい、二人組作ってー
レンの振るう木刀を木刀で受け、それを流す。
そして、返す刀に振るわれた一撃を紙一重で避け、反撃の突きを放つ。
その突きが横合いからの一撃で弾かれ、逆袈裟の一撃を受け止める。
代わる代わるに入れ替わる攻防。
一進一退の繰り返し。
やっぱ、純粋な剣技じゃ勝てないな。
かといって負けもしないんだが、やはりオレの方が不利だ。
レンが成長していけば、やがては負けるようになるだろう。
とは言っても、剣だけの勝負じゃなけりゃオレの勝ちは揺るぎないんだが。
「やっぱ強いな、レン」
「当然だ。お前とて、昔よりも強くなっているではないか」
「まぁな」
とゆーか、強くならなきゃ割と真剣に死ねる状況だったし。
いやあ、ホント、魔王軍は強敵でしたね。
「さて、今日はこんくらいにしとくか。さすがにガチるわけにはいかねーし」
「そうだな」
この世界でガチったらやべーしな。
屠龍剣ハエ叩きだったらイケるだろうか?
……そう言えば、純粋な剣技でレンはオレより強いんだから、レンもハエ叩きでドラゴン切れるってことだよな。
「レン、ちょっとこのハエ叩きでこの鉄パイプを切ってみてくれ」
「……なぜハエ叩きなんだ?」
そう言いつつも、レンがハエ叩きを受け取って、オレの持つ鉄パイプに斬りかかる。
さしたる衝撃も無く、ハエ叩きが鉄パイプを突き抜けていく。
そして、鉄パイプは一刀両断されていた。
「やっぱ、凄腕の剣士は得物を選ばないのか……」
「……まぁ、そうだが、さすがに少しは選ばせて欲しいな」
だよな。オレ達にかかれば木刀でドラゴン倒すくらいワケないが、締まらないからご遠慮願いたい。
「修也もやるか? 付き合ってやるぞ」
「いやいやいや! 無理だから! あんなシュバシュバガッガッって出来ないから!」
「んじゃ、ガシガシバシュッバシュッなら出来るのか?」
「違いが分かんないよ!」
うむ、オレもよく分からん。
なんて思ってると、陸上部のメンバーが揃ったのか、教師らしき人が号令をかける。
それを聞き流しながら、タカネに声をかける。
「タカネ、軽く打ち合うか?」
「んー……いや、いい。あたし身体能力相当落ちてるしさ」
「いや、普通に手加減はするぞ?」
さっきのレンとの打ち合いだって、技の確認だけしてたようなもんだし。
「んじゃ軽くね。ちゃんと手加減してよね。あたしのお肌に傷でもついたら慰謝料としてうまい棒70万本を請求する」
「率直に700万円って言ったらどうだ」
「いや、ジョークだから」
「はいはい。ほら、木刀」
「さんきゅ」
その後、かるーくタカネと打ち合い。
それが終わった頃には陸上部はもう走り出してしまっていた。
「よし、タカネ、追いかけるぞ!」
「だりぃ。ぷはぁ、スポーツドリンクも久しぶりに飲むとうまいなぁ」
コイツ走る気ねぇ!
「しょうがねぇな……ほら、おんぶしてやるから」
「えー……あたしの胸を背中で味わおうって魂胆?」
「え? お前胸あんの?」
「今のは割と傷ついた」
「ごめん」
でも実際胸ありませんよね?
「レンは走るだろ?」
「いや……私を横抱きにして走れ」
「横抱き……?」
よく分からないので米俵のように担いでみた。
「ちがーう! ぜんぜん違うぞ!」
「じゃあ、どういう風にやるんだよ」
「こう、腕でこういう風に……赤ん坊を抱くようにな……」
「ああ、お姫様抱っこか」
それならそうと言えばいいのに。そう思いつつ、レンをお姫様抱っこ。
「タカヤ、やっぱ肩車して。たまには高い視界が見たい」
「勝手によじ登れ」
「あい」
タカネを肩車し、レンをお姫様抱っこ……。
これはなかなか奇怪な見た目になったな!
「よし、行くぜ!」
走り出す。
「おうふっ、タカヤ! 体揺らすな! あたし車酔いしやすいんだよ!」
「お、おう」
そう言えばオレも車酔いはしやすい。車に乗って3分で車酔いする猛者だ。
でも電車とか飛行機じゃ全く酔わないんだよな。
「タカヤ、もう少しちゃんと私を抱き寄せろ」
「はいはい」
二人の要望を聞いた結果、誕生したのは……。
これは……素敵走り!
さり気に素敵走りが出来たことに感動しつつ、加速し続けて修也たちに追いつく。
「はーっはっはっは! 今回は私の勝ちのようだね! 明智君!」
「タカヤ! 前見ろぉ!」
「うおっとぉ!」
消火栓を飛び越えてさらに加速。
ふははは、前方にいる集団も追い越してくれるわー!
と思って走って行ったら、その集団の先頭にローザが居た。
「ローザ、おっはー」
「ああ、おはよう。安久都高音。何をしてるんだ、一文字孝也」
「見てわからんか」
「分からん。真剣に何をやってるんだお前は?」
ふむ……大の男が幼女を肩車し、女の子をお姫様抱っこして、上半身を全く揺らさず疾走……。
客観的に見たら確かにわけがわからんな。
「まぁ、ランニングだ。健康的だろ」
「ああ、それがランニングかはともかく、確かに健康的だ」
「よーし、じゃあ、ローザが終わるまでぼちぼち付き合うかー」
「やっていくのか? ならば適当に二人組を組め」
ちなみにオレは、二人組組んでーについてトラウマ持ってません。
基本的に友達多かったんで。
「ふふ……二人組か……ふふふ……思えば、誰も私とは遊んでくれなかったなぁ……ははは……」
でもなんかレンがトラウマ発動してた。な、何があったというんだ……。
挿入する文章を間違えていたので差し替え。次話と繋がってませんでした。




