馬鹿っ、狐耳っつったら美女か美少女以外在り得ないだろ!
人生ゲーム、68年目。
「総資産が10兆超えたー。わーい」
「わーい、オレの借金が5兆超えたー。ふざけろ」
タカネがオレに優しくない。
「マイラヴリーシスターエンジェルタカネは酷い奴だ」
「マイラブリーブラザーエンジェルタカヤはスポンサーだ」
「それって資金提供者じゃなくて金蔓って訳すんだろ?」
「いぐざくとりー!」
「ぶっ飛ばす」
人生ゲームは友情を破壊する恐れがあります。
用法容量を守って正しく遊びましょう。
「あー、そう言えばタカネ」
気になってたけど、聞くの忘れてた事を思い出し、ふと尋ねてみる事に。
ちょうど、ここには事情知ってる人しかいないしな。
「にゃに?」
「お前、耳どうしたの?」
「耳? ああ、あたしの耳ね」
わしゃわしゃ、とタカネが自分の髪の毛を掻きわける。
すると、ぴょこりと髪の毛の隙間から獣耳が飛び出してきた。
「こっちじゃ驚く人が居るだろうから隠してたんだよ。尻尾もね。常識的に考えてありえないじゃん、尻尾と耳は」
「なるほどなー」
確かにその通りだ。ちゃんとその辺りも考えられるんだな。
「タカヤも顔面隠しておけばよかったのに」
「ぶっ飛ばすぞこの野郎」
オレの顔面は非常識なのか、こん畜生。
「しかし、いつ見てもフサフサのいい耳してやがるぜ……」
「あ、だめだよお兄ちゃん……ぼく人妻だよぉ……」
「ぼく男の子だよぉ、よりも背徳感が薄いのか濃いのか判断に迷うな……」
ふざけつつ、タカネの耳を撫でる。ふにゃふにゃしてて気持ちいい。
猫の耳ってなんでこんなに気持ちいいんだろうな。
「そう言えば、お前って相当敏感じゃなかったっけ? お前って言うより、オレがって言う方が正しいんだが」
トモエさんに、アーッ! くやしいでも感じちゃうにされちゃったりしたし。
耳をわしゃわしゃされて、尻尾をふにふにされたら、ぐにゃぐにゃになってしまう。
擬音表現多すぎてわけわかんねーな。
「あー、あれは元々体にない器官だから敏感だったってだけみたい。一週間もしたら慣れたよ」
なるほど。未だかつてない感覚だったから、神経が過敏になってただけなわけか。
「じゃあ、さわっても大丈夫なんだな?」
「大丈夫さ。あたしは鉄の女だぜえ?」
ふーん。じゃあ遠慮なくわしゃわしゃするか。
「でも、タカネちゃんって昂ってる時に尻尾撫でると、泣き出すくらい感じちゃうよね?」
「トモエさんそれは秘密にしてって言ったじゃないですかぁ!」
「あれ、そうだっけ?」
「タカヤ! 今の話は全部忘れて! ホントにホンキで!」
「……勇者は夫婦生活よく分かんないから」
目線を逸らしつつ言う。
……まぁ、夫婦生活がうまく行ってるようでなにより。
なにがどう上手く行ってるかは分かんないけどさ……。
その後、沈黙しつつ気まずい雰囲気で人生ゲームを進行させていき……。
夜の二時を回った辺りで魔王が挙動不審になり始めた。
「ゆ、勇者。せ、生体感知に何か引っかかってはおらんよな?」
「別になんも引っかかってないけど?」
「ほ、ホントにホントか?」
「うん」
一応最大まで探知範囲を広げてみるが、周囲の家屋の人間は殆ど寝てるようだ。
何人か起きてる人も居るようだが、不審な動きなどは無い。
「なんかしたのか?」
「き、貴様が言ったのではないか。……よ、夜明け前に、ニンジャが来るかもしれんと……」
「ああ……」
そう言えばそんなウソも吹き込んだっけ。
「奴等はオレの生体感知を潜り抜ける可能性もあるからな。あまりあてにはならない」
「そ、そんなぁ……」
「一応、魔法でも探索してみるか」
形ばかりの探査魔法を展開。
この町全体を探知する形で発動する。
探知対象指定は、一定以上の魔力などの力を持つ存在。
探知終わり。対象284体発見。
「……あれ?」
そんなバカな。この世界にそんな強い奴が居るわけがない。
この周囲に居る人間は除外したのに引っかかるってことは、なんかの設定ミスか。
もっかい条件を絞って……今度はもうちょっと詳しく……。
「……やっぱ引っかかるな。なんだこれ?」
ここから北西にかなり強力な力を持つ存在が複数居る。
……これは、神格? それに、神格ではないけど清浄な力を持った存在も……。
えーと、ここから北西にこの距離だと……竹駒神社があるな。
更に北西には……確か水神系の神社があったっけ?
「……魔王、お前、神格が居る事に気付いてた?」
「む? 貴様が言っていたではないか。神が何万と居ると。詳しい数は分からぬが、少し探知しただけで無数に神格が居る事が分かる。確かに、何万と居るのだろう……恐ろしい国だ……」
……マジだったんだ、それ。
「……タカネ、竹駒神社って、確かお稲荷様だよな?」
「うん。日本三大稲荷でしょ」
「だよな。前に学校で習った記憶があるし。で、お稲荷さんと言えば……」
「それは私のお稲荷さんだ」
「お前、そんなもんが見たいのか?」
「……見たくない」
「少しは考えて喋れ、バカ猫。お稲荷さんと言えば……狐耳美少女だろ!」
「それだ!」
「竹駒神社の神格は絶対に狐耳美少女だ! 違うとしても、狐耳美女に違いない!」
「尻尾もふらせてもらおう!」
「じゃあオレは狐耳もふらせてもらう!」
「よっしゃー! タカヤ! さっそく竹駒神社に突撃だー!」
「レンも行くか?」
「大社があるのか? そこに詣でるのであれば行かなくてはな」
なんか理由が真面目っぽいが、同行するってんならそれでいいや。
「魔王は行くか?」
「い、いかん! 外に出てニンジャに襲われたらどーする!」
「……留守番するか? オレとレンとタカネは確定で外に出るぞ?」
「あ、あうう……ゆ、勇者……わ、我をみすてんでくれぇ……」
「死中に活を求めろ、魔王。確かに外に出る事は危険だ。だが、座して待つよりは良い結果が来る」
そもそもオレ達が外に出なきゃいい話だよね?
って突っ込みもありそうだが、どうしても神社にいきたいんじゃ。
「タカネ、お前もそう思うだろ?」
「カツ入れるんならシチューよりカレーの方が美味しいと思う」
「誰もんなこたぁ言ってねぇよ」
シチューにカツを求めろって? やかましいわ。
「う、ううう……ついていけばいいのだろう……ついていけば……」
「よし。トモエさんは行きますか?」
「んー、そうだね。たまには神社にお参りもいいかも」
よーし、んじゃ、人生ゲームはセーブして中断……っと。
これでよし。んじゃ、行きますか。
「ちなみに移動手段どうする?」
「どうせ夜だから誰も見てないだろ。走って行こう」
「そうするか」
どう考えてもフラグだが、この時のオレは全く気付いていなかった。




