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ボタンはたくさんあればあるほどいい

 フードコートは平日の真っ昼間だと言うのに割と混んでいる。

 まぁ、基本的に主婦とか幼児ばっかだが。


 その中でオレが居るのはちょっと場違いな感じもするが、気後れする事なく突っ込んでいく。

 さて、オレは今日も今日とてうどんを食べる。アリシアちゃんもだ。

 一方シエルちゃんは肉を食う。なので、まずは肉の方を調達しないと。


 とは言え、フードコートでアレコレ買って食べるのになんか戸惑う事もあるわけはなく。

 まずはシエルちゃんの分を買ってきて、テーブルについて待っててくれるように頼んで自分たちの分を買ってくるだけだ。


 オレはうどん。アリシアちゃんもうどん。

 色々と選べると聞いてちょっと悩んだようだったが、結局オレと同じものを頼んだ。


 そしてテーブルへと戻って来ると、シエルちゃんが肉をじっと見つめながら待っていた。

 なんというか……こう……あれだ、待てをしてる犬みたい!


 まぁ、シエルちゃんって犬属性あるよね。と言うかうちの子みんな犬属性あるよね。

 シエルちゃんが待ての出来る頭のいい犬で、アリシアちゃんがちょっとおバカだけど人懐っこい犬。レンは……忠犬かな。

 うん、そう言う感じで、うちの子はとにかくみんな可愛い。


 と言うか、周りの人全員犬に例えられるんじゃね?

 オレは……ただのバカ犬だな。千里……もただのバカ犬だな。修也……は真面目だけど飼い主のせいで損する犬だな。

 トモエさんは賢くて温和な犬だな。ゴールデンレトリバー的な。店主さんも似たような感じだな。

 ローザは……あれは犬ってより猫だな。でも犬だったらよく訓練された警察犬とかその辺りだ。カーチャンもそんな感じかな。

 香苗はアリシアちゃんと同系列の人懐っこくておバカな犬だな。ただし凄まじく屈強な犬種に違いない。

 早川はどうでもいい。ブルドッグとかその辺りでいいんじゃね。


「つまりここは動物園か……」


「どうぶつえん?」


「動物園ってのは色んな動物がたくさんいるところの事だよ」


 不思議そうな声で尋ねてきたアリシアちゃんに動物園について教える。

 考えて見りゃ、異世界に動物園なんてなかったもんなぁ。

 見世物で珍しい動物を見せるとかそう言うのはあったけど。


「そうなんだー……いってみたいね!」


「んじゃ、行ってみようか? 確か、長町から八木山動物園までのバスがあるはずだから。あ、でも時間帯的にちょっと厳しいかな……」


 それに、暑くなり始めた時期の動物園は地獄なんだよなぁ。

 なんつうか……こう、割と真剣にアレは酷い。

 今日は気温も高めだし、日を改めた方がいいかな。


「んー……まぁ、今日はここで遊んで、だね。ご飯食べたら色々と見てまわろっか」


「うん!」


「あ、あの、タカヤさん」


「なに?」


「も、もう食べていいですか?」


「あ、ああ、うん。ごめん。食べていいよ」


 シエルちゃん、こんな食いしん坊な子だったっけ……?




 さて、お昼ご飯は無事に食べ終わり、どこをふらつく? という話になったのだが……。

 元が異世界人の子たち、この世界の全てに興味津々なわけで。

 モール全体を見て回る事になるのは自明の理と言えばそうだった。

 今は家電製品売ってるあたり。家電が不思議で仕方ないらしい。魔法の方がもっと不思議なのに……。


「ふわー……なんだかボタンがたくさんありますね!」


「でもこっちのイギリスのアンプはつまみが1個しかないんだ」


「そうなんですか?」


「うん。シンプルイズベェェェェストッ! だからね」


 シンプルこそ最高。真理だと思う。多機能なのもいいけど、使いこなせないなら意味ないし。


「じゃあ、日本とイギリスだとどっちがいいんですか?」


「日本製だよ。ボタンは多ければ多いほどいい」


 イギリスの人が言ってた。皮肉なのは確定的に明らかだけど。


「でも、電気って不思議だね! どうなってるのかな? ねぇねぇ教えて?」


「ん? 教えてあげよっか?」


「うん! おしえて!」


「まず、電気って言うのは物質中に存在する電子が……」


「えっと……ぶっしつ?」


「そ、そこから……物質と言うのは……なんて説明したらいいんだ?」


 とりあえず物質ってのはそこら辺にあるもので、自分たちも含めて物質なんだよ、と適当に説明した。

 その後、苦労しつつも電気についての説明を進め続け……。


「つまり、電荷は電子や陽子などの素粒子のもつ性質であり、その性質は完全に解明されているとは言えないが、その効率や利用の容易さから現代では広く使われていて……」


「ねぇねぇ、ミューオンとタウオンって言うのはなんなの?」


「ミューオンとタウオンは素粒子です。ミューオンは素粒子標準模型における第二世代の荷電レプトンであり……」


「待って待って。素粒子ってなぁに?」


「素粒子と言うのは宇宙を構成する要素のうち、物質を構成する最小単位であり、かつて定義されたアトムと言う言葉の定義が最も近いものでしょう。素粒子はそれが従う統計によって2種類に分類され、フェルミ統計に従うフェルミ粒子、ボース統計に従うボース粒子が存在し、ミューオンはこの場合ではフェルミ粒子であり、フェルミ粒子は更にレプトンとクォークに分類され、先ほど荷電レプトンと言った通りにミューオンはレプトンです」


「タウオンは?」


「タウオンもまたフェルミ粒子であり、グループはレプトンです。ミューオンは第二世代であり、タウオンは第三世代の荷電レプトンで……」


「ねぇねぇ、第一世代はあるの?」


「はい。フェルミオン、すなわちフェルミ粒子のレプトン第一世代は荷電粒子であるならば電子です。これら三つの荷電レプトンが電気と言うものについての……」


「店主さん、そこらへんでやめてもらっていいですかね……」


 アリシアちゃんに素粒子について延々と教え込んでいる店主さんを止める。日が暮れちまうよ。


「しかし、電気について知るのならば素粒子への理解は必要不可欠です」


「そんな根源的な部分まで知りたいんじゃないんです」


 この人の説明が無暗やたらと長いことをパーペキに失念していた。

 まぁ、アリシアちゃんは電気について知れて嬉しそうだからいいか……。

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