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おうどん!

 さて、映画は残り1時間半。それまでどうして時間を潰したものかなと頭を捻る。

 映画そのものを見て時間を潰すのが妥当な選択肢ではあるんだが……。

 ちょっと外出てくるから大人しく見ててね、って言ってもこの2人だとついてきそうだしな……。


 うーん……思いつかない。となればしょうがない、大人しく映画見てるか……。


 長い映画が終わった頃にはまぁまぁ映画を楽しんでいた。

 うん、まぁまぁ面白かった。内容はもう半分くらい忘れたけど。つまりそのくらい面白かったと言う事だ。

 次は夏休みくらいに来るか。その頃なら色々と面白い映画がやってるだろう。


 例えばほら、ポケットの中の怪物とか、パスエル鉛筆幼稚園児とか、後なんか名状し難い道具で人々を混迷に陥れる狂気じみた青色の自動機械とか。

 その辺りのハズレが無い感じの映画見に来ればいいな。


「面白かったですねー」


「うん、面白かったねー」


 シエルちゃんとアリシアちゃんはきゃっきゃ笑いながら感想を言い合っている。

 うん、なんというか、入り込めねーな。

 あれ、これってデートでしたよね?

 おかしいな……普通に遊んでる……まぁいいや。最近、みんなと遊んでなかったしな……。

 ……ふむ。なにか忘れてるような気がする。

 まぁいいか。忘れてるって事はそうたいした事でもないんだろう。


「あれ、そう言えばレンがいないよ?」


「そう言えばそうですねー。タカヤさん知りませんか?」


「レンならなんかオレと一緒にドクター吐瀉物が作った生命体と戦いに行った。たぶんオレが自爆した後にレンが激オコスティックファイナリアリティぷんぷんドリームに突入してたぶんもう許さなくなる」


「……?」


「ごめん、やっぱもう黙ってるわオレ」


 口を開いたらアホな事しか言えないのはもう病気だと思う。

 完璧に不治の病だと思うので、そろそろ隔離病棟に入れられると思う。面会の時に桃の缶詰もってきてもらおう。


「さて、映画観終わってちょっと疲れたでしょ。フードコートで何か食べようか」


 それに、映画館ってどうにも冷房が効きすぎのきらいがあるからな。

 なにか食べて身体を暖めた方がいいのは間違いない。下手に体冷やして風邪ひいたら大変だ。

 これから夏休みなのだから体調崩してちゃしょうがない。


「でも……レンちゃんがいませんよ?」


「大丈夫、向こうにもオレが居るから。金だってもって……」


 ……分身した時に身に着けていたものも分身した。

 つまり、財布の中身……に、偽札容疑とか大丈夫かな……?


「……だ、大丈夫だよな」


 とりあえず向こうのオレに意識を繋げて、お札は出来るだけ使うなと連絡しておいた。

 タカネとの間では身体接触していないと感覚の共有すら出来ないほどに薄い繋がりだが、完全無欠に同一人物のオレたちならば地球の反対側から意思疎通だって出来るのだ。


「……まぁ、とにかく大丈夫だと思うので、お昼ご飯を食べに行きます」


 時刻的にお昼にはちょっと早いが、まぁ誤差って程度だ。

 おなか空いたらおやつにクレープでも食べればいい。もしくはマックとか。高校生にとってマックとかおやつだって誰か言ってた。

 実際に帰りにマックを食べていく高校生とかいっぱい居るし。

 でも、マックと双璧を成す(と俺は思ってる)ファストフードのケンタッキーを帰りに食う高校生っていない気がするのはなぜなんだろう。


「さて、シエルちゃんとアリシアちゃん、何が食べたい?」


 そう聞きながら2人の手を引いてフードコートへ。

 ……外から見たらこの絵面、完璧に引率のお兄さんだな。


「あうー……何が食べたいと言われましても、何があるかわかりません」


「そ、そー言えばそうだね……ねぇねぇタカヤ、フードコート、って言うのは何があるの?」


「……さあね」


 フードコートあんまり利用しないから分からない。

 利用しても常にうどん一択だったせいで他の店に何があったか……。


「ラーメン屋はあった。ハンバーガー屋もあった」


 でもそれって大抵どこのデパートでもありますよね? って言われたらおしまいの返答である。


「あと、うどん屋がある。オレは今日は明太釜玉うどんの気分なのでうどんを食べます」


 前に来た時も明太釜玉うどんの気分だった。そして、きっと次に来る時も明太釜玉うどんの気分だろう。

 多くは他の麺類に向かう。ある者は二度と戻らない。

 だが、うどんは永遠である。つまり、オレたちも永遠である! うどんフォーエバー!


「おうどんおいしいですか?」


「うん。と言うか、オレが麺類全般好きってだけなんだけどね」


 うどんしか食ってないような口ぶりの事を言ってたが、実際はラーメンも食べればそばも食う。

 むしろスパゲッティだって食べるし、むしろオレは空飛ぶスパゲッティーモンスター教徒であるとすら言える。


 ……口に出すのは自重してるけど、相変わらず頭の中は終わってんな、オレ。


「シエルちゃんは何が食べたい気分?」


「え、えーと……お、お肉……食べたいです……」


 恥ずかしげに言うシエルちゃんが可愛かった。

 うん、子供はそれくらい食欲旺盛な方が可愛いと思います。


「肉か。たぶんステーキ系の店があると思う」


 たぶんあったと思う。恐らくステーキ系の店だと思う。ぶっちゃけ肉の匂いしか覚えてないので、ステーキじゃない可能性もある。


「たくさん食べていいからね。1ポンドステーキとか食べてもいいよ」


 食べれるかは知らないが。1ポンドって450グラムだし、オレでも割とキツイと言うか、確実に食べきれない。


「あ、ありがとうございますタカヤさん……あう……」


 たくさん食べる事を知られるのが恥ずかしいんだろうか。

 まぁ、恥ずかしいんだろう……でも可愛い。


「アリシアちゃんは何食べたい?」


「えっとね、うんとね……よくわからないからタカヤのと同じものが食べたい」


「そっか。とても無難な選択肢で素晴らしいと思うよ。まるで何を質問されてるのか分からなかったから、適当に大丈夫です! って太鼓判を押す新入社員みたいで素晴らしいよ」


「えっと……褒めてくれてるのかな……?」


 ……さあ?


 とまぁ、そんなアホな話は置いといて、フードコートについた。

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