デートミッション開始
「いいか、ちゃんとデートをしてくるんだ。こんないい子たちは二度と捕まえられんぞ。シエルもアリシアもレンもいい子だ。頭もよいし、運動も出来る。それに美人だ。唯一の欠点は男を見る目が無い」
「カーチャン、それ実の息子にいう事?」
「ともかく、これを逃したらお前一生結婚できんぞ。そういうわけで死ぬ気でデートして来い。逢引決死隊だ」
「なにそれかっこいい」
とは言え、いきなりデートして来いとか難易度高いにもほどがある。
それでもオレはシエルちゃんとデートに行かなくてはならない。
と言うか、結構真剣にデートは行きたい。しかし、何をしていいのか分からない。
くっ、これが非リア充の限界と言う事か……。
「とりあえず、水着を買いに行こう」
何をしていいのかは分からんが、カーチャンが水着を買って来いと言うので水着を買いにいこう。
なんだ、これでも十分デートになってるじゃん。オッケーオッケー。
「と言うわけで、ショッピングモールに行こうと思います」
「はい! それでショッピングモールってなんですか?」
「よくわかんない」
ショッピングモールって具体的にどういう意味かオレも知らない。
とにかくでかい店なんだろ? そうなんだろ?
「とにかくショッピングモールはショッピングモールなんだよ。ショッピングモールはなんでもあるんだ」
「なんでもですか?」
「そう、なんでもある」
「タカヤさんが使ってる剣とかも売ってるんですか?」
「売ってる売ってる」
「船とかも売ってますか?」
「売ってる売ってる。戦艦大和とかも売ってるって、たぶん」
「ほわー! すごいです!」
探せばたぶん売ってるだろ。たぶん。
「そういうわけで、そのすごいショッピングモールに行きます。ちょっと遠いので電車を使います」
「自転車でいかないんですか?」
「うん」
二人乗り危ないし。今まで散々やっといて言う事じゃないが。
と言うか、遠いし。時速何百キロで走ればすぐつくけど。
一番の理由は自転車めんどくせぇ、って事だな。
「と言うわけなので、今日は電車で行きたいと思います!」
「わー、電車ですかぁ。乗ったことないです!」
「そういうわけで、既に駅です」
先ほどからぺらぺら喋ってるが、実は既に駅に着いてたりする。
ちなみにここまで徒歩で来ました。
「さて、切符を買いますか……」
じゃらじゃらと金を投入して切符を購入。シエルちゃんはもちろん子供料金。
ああ、子供料金、なんてすばらしい響き。
なにしろ半額だ。大人料金の半額って言うのは実に素晴らしいと思う。
子供が半人前だからこそそうなるわけだな。
「あれ? って事は半人前の板前とかって子供料金で電車乗れんじゃね?」
よし、金に困ったら板前になろう。
「はい、切符。落としちゃだめだよ」
「はい! ちゃんと大事に持っておきます!」
「じゃあ、行きますか。切符を改札のここにシュゥゥゥゥーッ! 超エキサイティン! してね」
「え、えーと……どうすればいいんでしょう?」
「つまり、ここに切符を入れればいいんだよ」
最初からそう説明すりゃいいものを、オレはなんで真面目に説明出来ないんだろう。
……オレそのものが真面目じゃないからだな。じゃあしょうがねえや。
そんなことを考えつつ、改札口でわちゃわちゃしつつも切符を入れて、改札の向こうに行ったシエルちゃんを見る。
うん、戸惑いつつもちゃんとできたようだ。
「タカヤさん! これでいいですか?」
「うん、バッチシ」
オレも切符を改札口にシューッ! 超エキサイティン! して向こうへと。
「次の電車はすぐ来るからぼつぼつ待ってようか」
「はい!」
しかし、待っているとなるとヒマだな。
ヒマになるとろくな事しないのがオレだからなぁ。
しかも自覚してても自重できないって言う最悪の存在だ。
さて、どうするかな……。
「……チェストォォッ!」
とりあえず、自分の影に拳を叩き込んだ。
すると、腕が影の中にもぐりこんで中から悲鳴が聞こえてきた。
「ふっ、悪は去った……」
誰が居たのか知らんが、たぶんタカネ辺りだろう。
オレとシエルちゃんのデートを見物しようなんてふてぇ野郎だ。
しかし、デバガメを撃退すると更にやる事がなくなる。どうしたもんかな……。
ちろりと横に座っているシエルちゃんを見る。
わくわく顔で楽しみに電車を待ってる。うん、かわいい。
一番楽な選択肢はこのシエルちゃんに何かしらイタズラをするってところなんだが……。
そうするとオレ完璧に悪者じゃね?
これが千里とかタカネならやりたい放題出来るんだが……。
あと、レンとかも遠慮なくやりたい放題出来るんだが……シエルちゃんにやると完璧に悪者じゃん。
「くっ、なんて悩ましい」
シエルちゃんにイタズラをするか、何とかして別の方法でヒマを潰すか。
オレはどうしたらいいんだ……!
「タカヤさんタカヤさん」
「はい、なんざんしょ」
悩んでたらシエルちゃんに声をかけられたので返事をする。
「楽しいですね!」
「あ、うん、そうだね」
なんもしてないんだけどなー。
それでもシエルちゃんにとっては楽しいのか。
くっ、なんてかわいい子なんだ……この子にイタズラなんて、オレには出来ない……!
あー、タカネ撃退しないで引きずり出せばよかったかな……タカネを線路に縛り付ける遊びとか最高に楽しそうなんだけど。
ほら、西部劇とかであるじゃん。処刑する奴を線路に縛り付けるみたいな。
ああいう感じのをタカネでもやってみたかった。




