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初恋の彩り  作者: みこえ
~始まり~
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【これでやっと西遊記?】

 六月に入り、小牧と如月につき纏われることも苦ではなくなり、当たり前の日常になった。春里にとっては不本意ではあるが、このにぎやかさが少しだけ癖になりつつある。二人は相変わらず仲は良くなく、ギャーギャー騒ぐ小牧を鼻で笑い、あしらう如月という構図ができていた。先輩を鼻で笑うなど大した男だな、と春里は感心するが、小牧は先輩風を吹かせないから、それが当たり前の光景になってもおかしくはなかった。


「小牧先輩もしつこい方ですね。そろそろ諦めたらいかがですか」

 表情を変えずに如月は言う。春里を挟んで二人はいつも言い合う。最初は耳を抑えていた春里も聞き慣れればバックミュージックのようなものだ。


「諦めるのは如月、おまえの方だろう」

「何をおっしゃっているのやら。どう考えても僕の方が篠原先輩に釣り合っていますよ」

 嫌味なほどきれいな笑みを如月は小牧に向ける。「う」と漫画のような反応を示す小牧は、一瞬怯むのだろう。


「如月君も別に釣り合ってはいないと思うよ」

 春里が平然と言うと、きれいな笑みは一瞬消える。だが、すぐに取り直し、きれいな笑みを浮かべた。


「照れることはありません。そろそろお認めになられたらいかがですか?僕はいつでも受け入れ体制万全ですよ」

 春里にとっては小牧も如月もどっちもどっちのどんぐりの背比べ。飛びぬけているところと言えば、この救いようのない性格だろう。これもお互い様としか言いようがない。


 春里は苦笑して如月の言葉を聞き流した。

「篠原先輩、時折意地悪です」

 如月はわざとらしく不貞腐れて見せる。

「時折ではなく、いつもの間違いじゃないの?」

「まあ、そういうツンの先輩も魅力的で好きですけれどね」

 何がツンだよ。と心の中で突っ込みながら春里は如月に負けないきれいな笑みを浮かべる。


「それはありがとう」

「むむむ」

 如月と春里が微笑みあっているのが気に食わなかったのか、如月と春里の間に小牧が割り込んできた。


「先輩邪魔ですよ。まあ、障害があった方が恋も燃え上がると言うものです。小牧先輩もその要素にすぎないと言うことですね。と言うより、それくらいは役に立ってくださいね」

 ――障害、ね。

 春里はこんな時も時折想いを巡らす。忘れることなどできないのだ。貴之の想いを。気持ちを。誠意を持って伝えてくれた事だからこそ、きちんとそれに答えたい。二人の間にあるものが障害と言えるものなのかどうかは分からないが、だからこそ貴之の感情が昂っているということはないだろうか?と余計な事を考えてしまう。何かに関連して連想していく悪い癖が出来上がっている。


「春里?どうした?」

 当然のように小牧は名前を呼び捨てる。訂正する気にもなれずそのままにしているが、何とも心地の悪い響きだ。貴之に言われるのは好きなのに、貴之の声でもなく、イントネーションも違うとこんなにも心地が悪くなる。


「なんでもない」

 変な事を考えてしまったせいで春里の気持ちは一気に沈んだ。

 とその時、後ろから「篠原先輩」と声をかけられた。春里が振り返ると、そこには爽やかな笑みを浮かべたかわいらしい男の子が立っていた。


「こんにちは、篠原先輩。篠原先輩の噂は兄から聞いています。ずっと会ってお話をしたかったんです。俺は長野幸次郎といいます。長野勇一郎の弟です」

 かわいらしい男の子は行儀よくぺこりと頭を下げる。頭が上がるとそこには人懐っこい笑みがあった。くりくりの眼がかわいらしい。幼さの残る表情といい、春里と変わらない身長といい、なんとも無下にできない雰囲気を醸し出している。


「それはどうも。長野君って二年生の時同じクラスだった?」

「そうです。よく兄は篠原先輩の事を話していました。俺は先輩に会わずして恋をしてしまった訳です。そして、お会いしてこの恋が本物だと確信しました」

 ――またまた面倒くさい。

 春里は見せつけるように溜め息を吐いた。


「それはどうも。でもあなたが恋い焦がれた篠原春里は幻影でしょう。理想像を描いただけです」

「いいえ、そんなのあり得ません!」

 幸次郎が力強く言った。春里に詰め寄りながら。


「少しお話をすれば痛いほど分かると思うけど」

 春里はそう言って、歩きだした。お供が今日から三人になる。二人も三人もあまり変わらないけれど、見目の良い三人を連れて歩くのは注目を一層浴びるだろう。貴之と奏太と一緒に歩いている時は感じなかった疲れが、今は感じる。春里の感情の違いなのだろう。


「あまり、疲れさせないで。せっかくこの環境に慣れてきたのに」

 春里の呟きが三人に届いたかどうかは分からない。


昔読んだ小説のあとがきに、作者のファンは男性が多く、女性ファンを増やすにはどうするべきか考えた結果、イケメンを沢山登場させるという結論にたどりついた、といったような内容が書かれていて、確かに、と納得したことを思い出します。つまりは、男性ファンも女性ファンも私には関係ないのですが、イケメンをいっぱい登場させてみたいな、と思ったわけです。まあ、失敗していることは確かで、どう見てもみんなイケメンには程遠い……。どうやったらイケメンになるのでしょう?春里と一緒だと誰もが滑稽にしか映らない……。いや、わたしの周りにイケメンがいないのが悪いのか。まあ、これから三人がどれだけ楽しませてくれるか、ですね。


次回は貴之の日常。奏太はちょっと呆れ気味。


次回もお付き合いください。

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