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初恋の彩り  作者: みこえ
~出逢い~
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【貴之の仕草】

 絶叫系を制覇するべく次々に並ぶ。最初はめまぐるしい動きについて行けず、眼を瞑ってしまっていた春里だったが、すぐにそれに慣れ、貴之の予想通り、絶叫系を楽しめるようになっていた。


 遊園地に来る前、色々と予定を立てていた時に春里が言った言葉を思い出す。

『母が絶叫系の乗り物が苦手だったから、遊園地には縁がなかったの』

 別に悲観して言っているわけではない。その後、中学生、高校生と成長しているのだから、その時に友人と遊びに行くチャンスはあっただろう。それを貴之が言うと春里はクスクスと笑った。


『縁はなかった、かな?唯一仲良くなった知夏はやっぱり絶叫系が苦手で、人混みが駄目だったから。わたしも意地でも行きたいとは思わなかったしね』

 そんな言葉を口にしながら、遊園地を楽しみにしている表情をする。とても楽しそうなのだ。


 春香は何度か春里に謝ったらしい。小さい子供の頃なら遊園地に連れて行っても問題はないが、少し身長が高くなると、絶叫系の乗り物に乗れるようになる。遊園地に連れて行って、乗れるようになったと知り、乗りたいと思った時に付き添いの親が乗れなくてがっかりする方が遊園地に行けないよりも辛いのではないか、と春香は思ったようだ。駄々を捏ねられて困り果てるのも嫌だった。貴之はその話を聞いて、春香の気持ちが充分理解できた。そして、それは友人と一緒に行った時にも当てはまる。一人で乗るのはつまらないということだ。ならば楽しんでもらおう。貴之はわくわくしていた。


 そして、充分楽しんでいる姿を目の当たりにした。最初は身体に力が入っていたが、すぐに慣れて、景色を楽しむまでになっていた。キャッキャとはしゃぐ春里を見て貴之は嬉しくなっていた。いつもとは違う春里の姿を見て、そのかわいらしさと無邪気さに貴之は目を奪われた。それは奏太も同じだったようだ。


 途中で休憩をはさみたがったのは奏太だ。いつもは動かず、一番疲れそうな春里はテンションが上がっていたのか、疲れ知らずだった。だが、最後に力尽きそうだと考えた貴之は、奏太の提案に乗った。文句を言う春里を引きずるように二人で連れ、温かい飲み物を買い、外のテーブル席に座る。春里はなぜか奏太に強請り、クレープを買ってもらっていた。飲み物は俊介からもらった小遣いから出ている。


「春里ちゃん、それ一口ちょうだいよ」

 春里もおいしそうに食べていたから、クレープを食べたくなるのは分かるが、すでに春里が何口も食べているクレープを身を乗り出して食べようとしている。そんな奏太を貴之は睨みつけ、力加減なしにおもいっきり奏太の頭を叩いた。


「痛いなあ。馬鹿になったらどうするんだよ」

「受験が終わってからでよかったな」

 貴之はにやりと笑う。

「食べたいなら買ってくればいいじゃないですか」

 マイペースな春里に奏太の力は抜け、苦笑した。


「一口で充分なんだけれどな」

「俺が食った後に食えば?」

 貴之はそう言って春里の手首を掴み、何口かクレープを食べた。もちろん春里の口が当たった場所が残らないように。


「ああああ」

 絶叫したのは春里と奏太。春里の場合は結構食べられた事に奏太の場合は目的を果たせない事に。満足をしたのは貴之一人だった。それが嬉しくて貴之はケラケラと笑った。そんな貴之を睨みつけた後、春里はわざとらしく泣きそうな表情を作り、小さくなってしまったクレープを見つめていた。


「減った。ものすごく減った」

 そう文句を言った後、春里は何のためらいもなく大きな口を開けてそれを食べた。


 多分、春里にとってソレが間接キスだとかそんな事は関係ないのだろう。きっと当たり前のように一つの飲み物を二人で分けることができるだろう。それが嬉しいような悲しいような。貴之は複雑な思いを抱き、苦笑した。


 休憩を終え、貴之の隣に立った奏太が、貴之の肩を抱いた。

「なあ、もうすでに恋人同士だな」

 楽しそうに耳打ちをする。


「向こうはそう思っていないよ」

 恋人気分を味わいたくて貴之も春里にちょっかいをずいぶん出したが、全く春里はそれに気づかない。奏太から見たらじゃれ合っているように見えるらしいが、貴之にとっては物足りなかった。


「これ以上じゃれ合われたら俺がいづらくなる」

「……確かに」

 それは認めよう。恋人を置いてまで一緒に遊びに来てくれた奏太にこれ以上虚しい思いはさせられない。


「二人とも何内緒話しているんですか?」

 いつもよりも弾けていて、年相応に見える春里の笑顔を二人で眺めた。


私は絶叫系の乗り物は大の苦手。回転とかはいいのですが、あの落ちる瞬間が嫌。なのであまり遊園地に好んでは行きません。遊園地にはそのほかに楽しいものはいっぱいありますが、一緒に行く人たちの一番の目的はやはり絶叫系ですもんね。


次回は帰り道。やはり2話同時更新です。


次回もお付き合いください。

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