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足元の海  作者: 天下響
9/12

―はじまりの日―

方だなという印象を受けました。メールから、少しずつよろしくお願いします。

当たり障りのない感じを心がけ、返信ボタンを押した。今までに、何人かと実際に会ったこともある。何回かメールのやり取りをして、頃合いを見て食事をする、というのがいつものパターンだ。しかし真面目に出会いを探している人が多い、とは言え、今まで会った人の半分は、その日のうちに体の関係を持ちたがった。大抵、相手がお酒を飲んで、盛り上がってしまう。私はほとんど飲めないので、飲まない。何度か危ない目にも遭ったが、なんとか逃げ出した。こんなサイトに登録している以上、そんな目に遭うのは自分の責任でもあると思っている。そういう目に遭っているのに何故懲りずに登録しているかと言われれば、やはり人恋しいのだ。私も。何しろもう4年、恋人がいない。


昨夜返信した男性から、返信が届いたのは今朝早くだった。

『返信ありがとうございます。嬉しいです。実は今日急遽休みになってしまって、暇してるんですが、よろしければお会いしませんか?美味しいお店にご案内しますよ』


いきなり会いたいとはちょっと怪しいかな…。遊び慣れてるのかもしれない。いつもの私なら警戒していただろう。


だけど。

昨夜、夢を見た。幼い頃の夢だった。いつものことだし、今更落ち込んだりはしない。だけど。

そういう夢を見た後は、妙に、どうでもよくなるのだ。現実と夢、過去と未来があやふやになって、自分の存在を、熱を持て余す。誰かに寄りかかって、甘えてしまいたくなる。何も考えないでいいように。


梅田に、15時。

ヒルトンホテル前。

白い車で、38歳男性営業マンは迎えに来るらしい。


簡単な食事を済ませ―しらすとマヨネーズのトースト―、化粧に取りかかった。

とりあえず、会ってみてもいいだろう。



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