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【ゆっくり解説】異世界召喚された女子大生Vtuberは本物の聖女!?〜呪われたイケメン第三王子を●●●●で救ったら結婚してほしいと言われました〜

 ゆっくりユウシャだ。



 ゆっくりセイジョですわ。



 今回は聖女が主人公の話を持ってきたぜ。



 私の話ですの?



 セイジョではなく聖女だぜ。

 セイジョは聖女が何か知っているか?



 もちろん知っていますわ。

 聖女というのは、お前は偽物だと言われて国を追放されましたが隣国のイケメン王子に拾われて溺愛されながら幸せな結婚生活を送っています私を追放した国は滅びたそうですがもう関係ありませんな女性のことですわ。



 その通りだぜ。

 というわけで、Vtuber活動をしている主人公が異世界に聖女として召喚される話を紹介するぜ。

 Vtuberと異世界召喚については義務教育で習っているはずだから説明は割愛するぜ。



 よろしくお願いしますわ。



 この話の主人公は秋山真由美という名前の20歳の女子大生だぜ。

 秋山は趣味で狐娘Vtuber「雛川ひなかわいなり」として活動しているチャンネル登録者約7万人の個人勢だぜ。

 雛川いなりのプロフィールは、

 年齢    :16歳

 誕生日   :12月8日

 性別    :女

 種族    :半獣人(狐)

 毛の色   :主に白

 身長    :155cm

 体重    :51kg

 血液型   :B型

 職業    :高校生

 趣味    :アニメ鑑賞、ゲーム(特にRPG)、

        買い物、散歩、あやとり

 特技    :縄跳び、折り紙

 好きな食べ物:ステーキ、もつ鍋、チョコ、グミ、

        モンブラン、ぜんざい など

 嫌いな食べ物:セロリ、トマト、炭酸水

 ファンネーム:なし

 座右の銘  :今夜のアニメを楽しく見るために今日

        を楽しく過ごす

 だぜ。



 この設定の羅列は今後活かされますの?



 ほとんど関係ないから忘れてもらって構わないぜ。

 秋山は暑い日が続く7月のとある日にコンビニにアイスを買いに行くことにしたぜ。

 すると靴を履いた瞬間に足元が光り出したぜ。

 玄関にいたはずの秋山はいつの間にか見知らぬ大部屋で7人の男女に囲まれていたぜ。



 異世界召喚の強みが出ましたわね。

 異世界転生するためにはトラックに轢かれて死亡しなければいけませんが、異世界召喚や異世界転移なら生きている状態で様々なシチュエーションに柔軟な対応が可能ですわ。



 7人の正体は城に仕える宮廷魔術師だったぜ。

 宮廷魔術師については義務教育で習っているはずだから説明は割愛するぜ。

 秋山は7人からなんやかんや説明を受けて、自分が異世界召喚魔法によって異世界に召喚されたことと、ここがゼラタニア王国の城内に建てられた魔術工房だということを把握したぜ。

 秋山にはゼラタニア王国第三王子ライル・カミルシア・アーク・ロゼット・ハイゼシルクにかけられた呪いを解く聖女の力が期待されていたぜ。

 長いから今後はライル王子と呼ぶぜ。

 それも国の名前はもう出てこなくて話に関係ないから忘れてもらって構わないぜ。

 もちろん秋山は自分が聖女ではなくただの一般人だと伝えたぜ。

 だが宮廷魔術師たちによると、異世界から召喚した人間は特別な能力を持っているはずらしいぜ。



 異世界人が特別な能力を持っているのはよくあることですわね。

 現地人がこの情報を把握しているということは異世界召喚の前例がありますの?



 この世界には約1000年前に異世界から召喚された5人の英雄による救世伝説があるんだぜ。

 全員が元の世界では一般人として暮らしていたが、異世界召喚後は各々の素質や特技と関連した不思議な能力を使えるようになったという記録が残っているぜ。

 このことから異世界召喚した人間には特別な能力が備わると考えられているぜ。

 救世伝説と能力の内容は話に関係ないから詳細は割愛するぜ。



 今回は関係ない話が多いですわね。

 世界観を広げることと無意味な設定を羅列することは似て非なる行為ですわ。

 文字数稼ぎはほどほどでお願いしますわ。



 ライル王子に呪いをかけたのは異世界から召喚された男だったぜ。

 誰が何の目的で召喚したのかは不明だが、その男は既に失われたはずの古の闇魔法を扱うことができる特別な闇属性の魔力を持っていたぜ。

 だが男はライル王子に闇魔法で攻撃を行った直後に死亡したぜ。

 命を代償とした誓約的なアレと死後強まる的なアレによる非常に強力な闇の呪いだったぜ。

 


 ちょっと待ってくださいですわ。

 ライル王子はその男性に何をやらかしましたの?

 命を代償とした呪いをかけられるなんて尋常ではありませんわ。



 何もやっていないぜ。

 王族で背が高くてイケメンで人柄がいいことに対する嫉妬なことが男の日記から判明しているぜ。



 王族で背が高くてイケメンで人柄がいいことに対する嫉妬なら仕方ありませんわね。



 日記には自分を召喚した魔術師が背が高くてイケメンでロン毛で金髪で態度がウザくてチャラ男で心の中で自分のことを見下しているに違いないと思い殺害したことも書いてあったぜ。



 飼い犬に手を噛まれるのは召喚あるあるですわ。

 強力な使い魔の召喚に成功して調子に乗った召喚者がグロい殺され方をされるイメージがありますわ。

 


 古の闇魔法+誓約的なアレ+死後強まる的なアレによる相乗効果は凄まじく、エリート揃いの宮廷魔術師ですら闇の呪いを解くことができなかったぜ。

 最終的に異世界人に対抗するには異世界人に頼るしかないという結論になったぜ。

 とはいえ呪いを解く能力を持っていないと意味がないため、聖女の素質がある異世界人を狙い撃たなければならない運ゲーだったぜ。

 そもそも異世界召喚自体が非常に高度な魔法なため成功の見込みはほとんどないと思われていたぜ。

 しかしライル王子を救いたい宮廷魔術師たちの執念によって見事成功したぜ。

 こうして召喚されたのが秋山だぜ。



 なるほどですわ。

 このままお前は偽物だと言われて国を追放されましたが隣国のイケメン王子に拾われて溺愛されながら幸せな結婚生活を送っています私を追放した国は滅びたそうですがもう関係ありませんですわ。



 秋山は状況を理解しつつも自分が本当に聖女の能力を持っているのかわからなかったぜ。

 それでも宮廷魔術師たちから「異世界人ならきっと何かできるはず」と説得されて、ひとまずライル王子の元へ向かうことにしたぜ。

 案内された部屋にいたのは、全身の皮膚が紫色に腫れて強烈な異臭を発している醜いゴブリンだったぜ。

 このゴブリンが呪いによって姿を変えられたライル王子だぜ。



 異世界人の強力な闇の呪いを受けたのにどうしてライル王子が即死していないのか疑問でしたが、殺すことではなく醜い姿にすることが目的だったのですわね。

 イケメンに対する嫉妬は本当に恐ろしいですわ。

 


 異臭の換気のために窓が全開になっていて部屋全体が肌寒かったぜ。

 だがそんなことを言い出せる雰囲気ではなかったぜ。

 とりあえず秋山はライル王子に向かって両手を前に出して「ヒール」と言ってみたぜ。

 ヒールについては義務教育で習っているはずだから説明は割愛するぜ。

 しかし何も起きなかったぜ。



 ウ……ウソですわ!

 こ……こんなことが許されていいのですわ!?

 ヒールが負けるなんてあり得ませんわ!

 ヒールはあらゆる世界において最強の回復魔法でなければいけませんわ!

 ヒールは万能ヒール最強ヒール無敵ヒール治癒ヒールですわ!

 ヒールが負けたら心が乱されてストレスを感じてしまいますわ!



 さて、秋山はこれまでプレイしてきたゲームに登場する回復呪文やそれっぽい単語を思いつく限り試してみたぜ。

 その他にも宮廷魔術師から教えてもらった聖なる言葉を組み合わせてオリジナル詠唱を唱えてみたり、聖女らしく神に祈ってみたり、Vtuberらしく歌ったりASMRをしたぜ。

 だが何をしても闇の呪いは解けなかったぜ。

 異世界人でもどうしようもない現実を目の当たりにして部屋にいた全員が諦めかけていたぜ。



 ……あの、ユウシャ様。

 もしかしてこの話は鬱展開ですの?



 どうしてそう思ったんだぜ。



 話の流れから不穏な空気を感じましたわ。

 確かに偽物聖女と言われて追放からの隣国イケメン王子に拾われ溺愛される展開を期待していましたわ。

 ですが何の罪もないライル王子を救えなかった過去を引きずりながら隣国イケメン王子に溺愛されても全く楽しくありませんわ。

 読者はヒロインが主人公以外の男と少し会話するだけでも激しいストレスを感じてしまうのに、鬱展開のままライル王子編がバッドエンドになったら過剰なストレスで脳が破壊されてしまいますわ。

 かくいう私も既に許容量限界ギリギリで脳が爆発寸前ですわ。



 鬱展開にもバッドエンドにもならないぜ。

 秋山のとある行動がライル王子の呪いを一瞬で消し飛ばしたぜ。

 それは「くしゃみ」だぜ。



 くしゃみ?

 くしゃみとは鼻がむずむずしてハックション!な、あのくしゃみのことですの?

 それが呪いとどのような関係がありますの?



 秋山は雛川いなり、つまりVtuberだぜ。

 Vtuberが配信中にくしゃみをした時に「くしゃみ助かる」とコメントするのは一般常識だぜ。

 くしゃみによる癒しの力こそがVtuberの素質によって生まれた秋山の能力だぜ。



 は?



 聖なるくしゃみによって闇の呪いは跡形もなく消滅したぜ。



 は?



 こうしてライル王子はゴブリンから人間に戻ることができたんだぜ。



 えっと……ひとまず呪いが解けて一安心ですわ。

 ですがあらゆることが意味不明ですわ。

 まず「くしゃみ助かる」とは何ですの?



 ネット文化だぜ。



 ネット文化なら仕方ありませんわね。

 だとしてもその他の理由と過程が破綻していますわ。

 こんなのただの思いつき後付けご都合展開ですわ。



 思いつき後付けご都合展開ではないぜ。

 それを今から証明するぜ。

 まずこの世界では異世界召喚した人間には特別な能力が備わると考えられているぜ。

 5人の英雄とライル王子に闇の呪いをかけた男の合計6件の前例もあるぜ。

 秋山だけ無能力だと考える方が不自然だぜ。



 まあ一理ありますわね。



 伏線もしっかり張られていたぜ。

 異世界召喚される直前に秋山は暑い日が続いていた7月にコンビニに行こうとしていたぜ。

 これは服装が薄着であることを意味しているぜ。

 次にライル王子がいた部屋は換気のために窓が全開になっていたぜ。

 秋山はその部屋を肌寒いと感じながら呪いを解くために色々試していたぜ。

 つまり薄着の人間が室温の低い部屋の中で長時間過ごす状況になっていたぜ。

 これらの伏線を見事に回収した必然のくしゃみだぜ。



 必然のくしゃみなら仕方ありませんわね。

 本筋に関係ない話が多かったのはカモフラージュのためだったのですわね。

 伏線は目立たずさりげなくが鉄板ですわ。



 呪いが解けたライル王子は自分を助けてくれた秋山に結婚してほしいと言ったぜ。



 待っていましたわ!!!!

 理由や過程なんてどうでもいいですわ!!!!

 イケメン王子と結婚して溺愛されながら異世界玉の輿勝ち組人生開幕ですわ!!!!



 秋山は結婚を断ったぜ。



 は?



 気持ちは嬉しいが自分は異世界人だからこの世界に留まるべきではない、と伝えたぜ。

 ライル王子は秋山の真剣な眼差しを受けてこの言葉を尊重したぜ。



 よくわかりませんがエモですわ。



 だが秋山の言葉は建前だったぜ。

 本当の理由は元の世界に戻ってアニメを見たかったからだぜ。



 アニメを見たかったなら仕方ありませんわね。

 アニオタの鑑ですわ。



 こうして秋山は宮廷魔術師たちの異世界帰還魔法よって自宅の玄関に帰ってくることができたぜ。

 あまりの暑さにウンザリしながら改めてコンビニにアイスを買いに出かけたぜ。

 聖女の能力は消えてしまったが、配信中にくしゃみをするたびに多くの視聴者が助かっているんだぜ。

 というわけで、異世界に召喚された女子大生Vtuberが呪われたイケメン第三王子をくしゃみで救う話を紹介したぜ。

 締めとしてセイジョの感想を聞かせてくれだぜ。



 結局ざまあも溺愛もなかったので低評価ですわ。



 喜んでもらえてなによりだぜ。

 それじゃあ今回はこれで終わるぜ。

 セイジョが喜びそうな話があればまた紹介するぜ。



 楽しみに待っていますわ。



 ここまでのご精読ありがとうございましただぜ。

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