夢でまた逢えた
ついさっき、見ました。
もう逢うことのないあなたと夢でまた逢えた
そのすがたはあまりに素敵で
もしかしたらあり得る可能性のひとつですらない
嘘まみれの虚構で描かれた再会は
また逢いたいだなんて願いや
また逢えるかもっていう望みを
一縷も残してなかったはずの私なのに
思いのほか この心を揺らしてくれた
続きをあとちょっとだけ見せてほしかったっていう
ものたりなさなら ほんとはなくもないけど
あぁ これで満足だよって 顔をして
目が覚めてからしばらく余韻にひたる
想い出とさえ呼べない記憶を
いまだ だいじに飾ってたつもりはないし
過去のがらくたのなかに
ほうりこんであったつもりだったんだけど
気まぐれにひっぱりだしては
ふぅって ほこりを吹き払って
擁きしめるように かるく
胸へとおしあててみたことも じつは幾度となくあって
そんな馬鹿げた秘密を
だれかに知られてたはずもないのに なぜか
もう逢うことのないあなたと夢でまた逢えた
何年かまえなら 戸惑いや
やりようによってはあり得たかもしれない
ほんのささいな いくつかの可能性に
悔いにまでは至らないほろ苦さを
感じることはあったはずなんだけど
それすら いまの私にはないや
ただ 少しだけ
目が覚めてから余韻にひたれるだけの時間を
ほんのしばらくでいいから 赦してほしい
ただの感傷ですよ。