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白いモヤ
白いモヤに包まれて。
「あっ知らない天井」
つい言葉を出して、くすりッと笑ってしまう。
気がつけば、心電図の音と、看護師たちの足音そして呼出の電話の音が響いていた。
軽く起こされた上半身から周りを見渡すと、点滴が左手に2本、右手に1本、右の首筋に1本。
右手に心拍と酸素濃度計の青色のコードが1本、尿道カテーテルに……。
お腹は、溝落ちから臍の下まで一直線の手術痕。
「カエルの解剖かよ」
「臍も真っ二つだし」
あれッ右足が動かない。
右足鼠径部からは、電極も延びている。
足は少し黄色く、パンパンに浮腫んでいた。
改造人間かと思うような状態。
もうろうとしたモヤの中、時折冷静にツッコミを入れる自分。
倒れて〜手術して。倒れて〜手術して。倒れ……。
どんな経緯でここにいるのか、黒いモヤの中を行き来しながらひたすら考える。
そしてまた黒いモヤに包まれていく。