犯したい/犯されたい
最終話を21時に投稿します。
さて、野暮用も済んだことですし、語り部としての職務を再開するとしましょう。
尊敬するお姉さまであり崇拝する聖女様でもある私が二人の前から去って、下ではそろそろ一か月くらいになりますが二人は何をしているか……な?
「ちょ、やめてください! また拘束しますよ!」
「拘束されるのは嫌だけど断る!! あたしはクラーラを犯す! クラーラだって、あたしのことが好きなんでしょ?」
「だから! あなたのことは好きですが女性には興味がないんです! いい加減にしないとぶっ殺しますよ!?」
あ~……。
どこかの港で追いかけっこをしていました。
マタタビ、ハチロウ、ヤナギ、オハナの呆れた視線も意に介さず、ヨダレを垂らすほど欲情したクラリスからクラーラが逃げ回っています。
「嫌がるフリしちゃって、本当はあたしに犯されたいんでしょ? 嫌よ嫌よも好きのうちってやつなんでしょ?」
「違います! 男になったあなたにならともかく、女のあなたに犯されるのは嫌です!」
「じゃあ性転換させてよ!」
「だから、それはギーシャにある魔法を覚えてからって何度も言ったじゃないですか! 見つけるまで待てないんですか!?」
「待てるか! ここからギーシャまで何ヵ月かかると思ってんの!」
あの二人の頭には、喪に服すという概念がないのでしょうか。
私がいなくなって一か月しか経っていないのに、二人の頭からは綺麗さっぱり私の存在が消えているように思えてしまいます。
「あぁん、もう! 頭に来ました! 水よ! 風よ! 土よ! あの性欲魔人を拘束しなさい! 上級複合拘束魔術!」
「うげっ……! ちょ、これは卑怯……!」
「まだまだ、これで終わりではありません! 水よ! 大槍となりて敵を貫きなさい! 水大槍魔術! さらに! 風よ! 鉄塊となりて敵を打ち滅ぼしなさい! 上級風拳魔術!」
「食らってたまるか! 魔力全開! ゴールデン・クラリス!」
二人の戦い……と言うよりは痴話喧嘩? は、ヒートアップしすぎて殺し合いの域にまで達しました。
マタタビたちは慣れたもので、二人の戦闘の余波を防いだり野次馬の避難誘導をしたりしています。
四人が甲斐甲斐しく二人の尻拭いをしているのに、当の二人はと言いますと……。
「こんのぉ! リメンバー・ラーサーまで使って抵抗すんな! 大人しくあたしに犯されろ!」
「男になったあなたに犯されるのなら良いですが、今のあなたに犯されるのは絶対に嫌です!」
「そんなこと言ってるけど、あたし知ってんのよ? クラーラって最近、ハチロウ君をバター犬代わりにしてるでしょ!」
「なっ……! なぁ!? 事実無根です! わたくしがそんなふしだらな事をするわけがないじゃないですか!」
「いいや! してる! だってハチロウ君に、「どうやったらクラーラお姉ちゃんを満足させられるかな」って相談されたもん! ってことは、クラーラは満足してないんでしょ!? 満足させてあげるから犯させろ!」
「いぃぃぃやぁぁぁぁでぇぇぇぇぇすぅぅぅぅ! と言うか思い出しました。あなた最近、ヤナギに生やさせて相手をさせているそうですね!」
「ふぇ!? いや、してないよ? あたしはそんなことしてな……」
「いいえ、してます! だってヤナギに、「最近、クラリスちゃんに夜の相手をさせられてるんだよね。わっち、女の子は守備範囲外なのに……」って、相談されましたもの!」
見苦しい……。
私に天罰を落とすような力と権限があればそうするのに、ただ見ることしかできないのが何とももどかしく感じます。
そんな私の思いをよそに、二人の無益な罵り合いと無駄に高度な喧嘩は一昼夜にも及びました。
そして疲れきって動けなくなった二人は、背中合わせに尻餅をつくなり……。
「ああ、早く男になって、クラーラを犯したい」
「ああ、早く男になったクラリスに、犯されたい」
と、残った体力を絞り出すように言って、瞳を閉じました。
さて、溜め息しか出ませんし、これから先も二人は世界を蹂躙してまわるのですが……二人の物語は、ひとまず終了でございます。
ここまで根気強く二人の旅路を見守ってくれた皆々様には感謝しかございませんが、『クラリス&クラーラ オオヤシマ蹂躙編』はこれで閉幕とさせて頂きます。
読んでいただけるだけで光栄なのですが、もし「面白い!」「続き読みたい!」など思って頂けたらぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
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