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さようなら、お姉さま/さようなら、聖女様

 タムマロが死んだ。

 あたしが殺した。

 人を殺したのは初めてじゃないのに、その時は感じなかった罪悪感で胸がいっぱいになってる。

 吐き気もする。

 頭も痛い。

 今すぐ死んで償いたいくらい、自分が憎い。


「さて、そこで勘違いしてそうなクラリス」

「勘……違い?」


 何を?

 お姉さまは、あたしが何を勘違いしてるって言うの?


「コイツは私の客。その客が死にたがってたから、私はトドメを刺した。だから、タムマロを殺したのはあなたじゃない」

「違っ……」

「違わない。よく考えてみなさい。コイツがその気なら、アンタたち二人が相手でもタムマロは余裕で勝てた。最初の計画通り、また歴史をループさせることだってできた。なのに、コイツはそうしなかった。それがどういうことか、アンタにだってわかるでしょ?」


 わからない。

 いえ、わかりたくない。

 だって、タムマロが死にたがってたって言ってるように聞こえるんだもの。


「クラーラ。アンタは途中から気づいてたわよね?」

「え、ええ。もしかしたらと言うレベルでしたが……」


 クラーラは気づいてた?

 だったら、どうして教えてくれなかったのよ。

 教えても無駄だから?

 教えても、この未来を変えることができなかったから?


「コイツの魂は私が連れて行く。アンタらは好きにしなさい」

「ま、待ってよ! それって、お姉さまもいなくなっちゃうってこと!?」

「そうよ。私が留まれば、またあの病気が蔓延しかねない。それと、あの魔術で呼んでも二度と応えない。地上に未練もないしね」


 お姉さまもいなくなる?

 やっと会えたのに、タムマロだけじゃなくお姉さままでいなくなっちゃう。

 それは嫌だ。

 絶対に嫌だ。

 でも、あたしじゃお姉さまの考えを変えることなんてできない。

 だったら……。


「大地に蠢く龍よ、彼の者を拘束しなさい。龍鎖拘束魔術(ドラゴンチェイン)

「ちょっ……! 何すんのよクラーラ!」

「馬鹿なことを考えたあなたを止めただけです。ああ、ちなみに。その鎖は龍脈そのモノですので、あなたでも引きちぎるのは不可能です」


 馬鹿なこと?

 馬鹿なことって何よ。死のうとしたこと?

 それのどこが馬鹿なことなのよ。

 だってタムマロとお姉さまがいなくなっちゃうのよ?

 愛した二人と、もう二度と会えないの。

 だったら、生きてたって意味がない。

 あたしも死んで、二人と一緒にあの世に……。


「むぅ……!?」

「……ふぅ。初めてが同性とはなんとも複雑な気分ですが、これで少しは落ち着きましたか?」

「クラーラ、なんで……」


 あたしにキスをした?

 照れ臭そうにしてるけど、クラーラってあたしと違って同性には興味ないはずよね?

 

「だ、だって、あなたがいなくなるとわたくしが困ります」

「それは、魔力的なことで?」

「それもありますが……。あなたがいなくなると、人生に張り合いがなくなります。寂しくなります。わたくしまで死んでしまいたくなります。わたくしをこんな気持ちにさせたのですから、責任を取ってください!」

 

 それはつまり、あたしのことが好きになっちゃったってこと?

 でもクラーラはノンケで……は、どうでも良いか。

 真っ赤になった顔を両手で覆って「ああ……やってしまいました」と、言いながら恥ずかしがってるクラーラを見たら、なんだか愛おしく思えてきたし。


「アンタさ、この子を置いて死ぬつもり?」

「そ、それは……」


 さっきまでならともかく、今は迷ってる。

 迷ってるだけじゃない。

 狭くなってた視野も開けて、あたしを心配そうに見ているマタタビちゃんや他のみんなも見えるようになった。

 そんなあたしに、お姉さまは……。


「死ねないでしょ。私はアンタを、仲間をほっぽって死んじゃうような不義理な子に育てた覚えはないもの」


 と、ドヤ顔で言ってくれたんだけど、そもそも育てられた覚えはないのよね。

 言わないけど。


「はい、じゃあこの話はおしまい。私はもう行くから」

「相変わらず、お姉さまは潔いですね。別れを惜しんだりしないんですか?」

「娼婦やってたらこうなんのよ。まあでも、最後くらいは少しサービスしてやるか」


 と、言いながらお姉さまは、拘束されたままのあたしと恥ずかしがってるクラーラをまとめて抱き締めた。

 そして……。


「もう、私を卒業しなさい。これは私の物語りじゃない。アンタたちの物語なんだから」


 そう言って、あたしとクラーラの額にキスをした。

 それが嬉しくて、でも同じくらい悲しかったけど、あたしとクラーラはお姉さまに……。


「さようなら、お姉さま」

「さようなら、聖女様」


 と、声を揃えて言った。

 それを聞いて満足そうに笑ったお姉さまは、光の粒になって消えていったわ。

読んでいただけるだけで光栄なのですが、もし「面白い!」「続き読みたい!」など思って頂けたらぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

ぜひよろしくお願いします!

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