仲間を信じよ。ね? クラーラ/では、お願いします
一行は結局、イワテまで北上することになりました。
ですがその甲斐あって、本物と目されるオガミサマと出会うことができました。
そこまでは良かったのですが……。
「呼び出したい人がいなければ口寄せができない……かぁ。クラーラは誰かいる?」
「聖女様だけです。あなたは?」
「お姉さまだけ」
「ですよね」
困ったことに、口寄せを見せてもらえなかったのです。
理由は二人が言った通りでございます。
「お姉さまを呼んでもらえたら、一番良かったのにね」
「ええ、ですが……」
「該当する人が呼びかけに答えてくれない。だもんね~。すでに転生しているかもとも言われたっけ」
「困りましたね。彼女が言った通りなら、わたくしの計画が破綻してしまいます」
「計画って、生やしたお姉さまを創って犯されよう計画?」
「そっちじゃありません。まあ、そっちも叶えるつもりですが」
「そっちじゃない計画があるの?」
「ええ、ですが、まだ言えません」
「ふぅ~ん。じゃあ、いいや」
それっきり、二人は宿としてオガミサマに借りた一室の壁に並んでもたれかかったまま、黙り込んでしまいました。
まあ、二人からすれば、憧れている超絶美人の女性に人を通してとは言え会えたかもしれないのですから、会えないとわかって落胆してしまうのも仕方がないでしょう。
「あ、あの、クラリスお姉さま、クラーラお姉さま」
「うん? どうかしたの? マタタビちゃん」
「その口寄せって奴を見ることができれば、クラーラお姉さまは口寄せを覚えることができるのニャ?」
「あ~……たぶん、そうなんじゃないか……な?」
と、マタタビの質問に答えるフリをしつつ、小首を傾げてクラーラにマタタビの質問を振りました。
「可能だと思います。それと言うのも、口寄せはオガミサマと呼ばれている巫術師だたちが代々受け継いで来たもの。しかも、血縁関係も必要としないようなので、魔術の可能性が極めて高い。故にもう一度言いますが、見ることさえできれば覚えるのは可能だと思います」
「だってさ」
「じゃ、じゃあ、うちのお父ちゃんとお母ちゃんを呼んでもらうニャ。そうすれば、クラーラお姉さまは口寄せを覚えられるニャ」
震えながら言ったマタタビの提案を聞いて、クラリスとクラーラは顔を見合わせました。
何故ならマタタビの提案は、目当ての人物を呼び出せなかった二人が真っ先に考えた方法だったからです。
ですが、二人はそれを実行しませんでした。
その最大の理由は、マタタビが人間恐怖症だから。
クラリスとクラーラ以外の人間を見るだけで激しく恐怖するマタタビに、オガミサマと対面して両親を呼び出してもらうのは無理だと判断したからでございます。
「無理はおやめなさい。オガミサマと会う想像をしただけで震えているあなたが、実際に会って正気が保てるとは思えません」
「で、でも、お姉さまたちには必要なんニャろ?」
「ええ、必要です。なので、他の手を考えますので、あなたが無理をする必要はありません」
「い、嫌ニャ! うちは無理をするんニャ! じゃニャいと、じゃニャいとうちはずっと足手まといのままニャ!」
マタタビの決意を聞いて、クラーラは悩みました。
そんなクラーラを見て、クラリスは嬉しくなりました。
長い眠りにつく前のクラーラは、マタタビを小間使い程度にしか思っていませんでした。そのクラーラが、眠りから覚めてからは、マタタビを仲間として扱っている。心配している。気遣っている。
クラーラのその変化が、クラリスは嬉しくて仕方がないのでございます。
「マタタビちゃんに、やってもらおうよ」
「で、ですが……」
「マタタビちゃんはあたしらの仲間だよ? だったら大丈夫。仲間を信じよ。ね? クラーラ」
クラリスに諭されたクラーラは、小さな体をできる限り大きく見せようと背伸びまでしていたマタタビ前の移動して膝を突き、視線の高さを合わせました。
そして、マタタビの両手を包み込むように握って……。
「では、お願いします」
と、演技でも欺瞞でもなく、心の底からマタタビを想って一言だけ言いました。
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