あ、悪魔だ……/ロスト・オブ・プライド
目が覚めて、クラーラの目に真っ先に映ったのは、見慣れない服を着てマスケットに似た武器をクラリスに向けて取り囲んでいた集団。
次いで下着姿の亜人たち。ハチロウと、布にくるまれたマタタビを抱くヤナギと、フローリストにそっくりなアラクネの女性を見渡して、最後に、全裸の男を右手だけで掴み上げているクラリスでした。
そして、寝ぼけていた頭がハッキリしてクラーラなりに情強を察するなり……。
「……男性器縮小魔術」
「な、なんだコレ! オレの、オレの息子が!」
ナリヒラの男性器を不快だという理由だけで、小指以下の大きさまで小さくしてしまいました。
そのあまりの無慈悲さに、彼を殺そうとしていたクラリスでさえ、「さ、さすがに可哀想すぎる……」と、同情して解放してしまいました。
そして……。
「あ~……。え~っと、もう、良いよね?」
「え、ええ、きっと、生きている方が地獄だろうから」
オハナの同意を得て、傷心のナリヒラを自衛軍へと引き渡しました。
それで済めば、ナリヒラ以外は大団円だったのですが……。
「……じゃあ、あたしらはこれで……」
「逃がすと思うか? 器物破損、建造物損壊。さらに、要人誘拐に殺人未遂他、諸々の罪で拘束する!」
「ですよね~」
自衛軍は、見逃す気がないようです。
ならばとクラリスは、思考を戦闘へと切り替えて踏み込もうとしましたが……。
「男性器縮小魔術」
「あ? ああああぁぁぁぁぁあ!? 小官の息子がぁぁぁああぁぁぁ!」
クラリスが踏み込むよりも早く、指揮官と思われる人の男性器を小さくしました。
それを目の当たりにした他の隊員たちは皆一様に恐怖し、示し会わせたように全員、数歩後退しました。
ちなみに、仲間ができて嬉しくなったのか、ナリヒラは号泣している指揮官の肩をポンポンと叩いて慰めています。
「さて、次はどなたにいたしましょうか」
邪悪な笑みとしか形容しようがない表情を浮かべたクラーラの言葉で、隊員たちは身がすくみ、動けなくなってしまいました。
その反応を見たクラーラはと言いますと……。
「ふむふむ。ここまで男性を恐怖させられるなら、この魔術が禁術扱いだったのも頷けますね。見つけた時にくだらないと断じた昔の自分を叱ってやりたい気分です」
反省しながらも、火が着いてしまった嗜虐心に従って、次のターゲットを選び始めました。
そして選ばれたのは、隊員たちの中では若い方で、顔も比較的整っている人でした。
「あなた。そう、そこのあなたです」
「じ、自分でありますか?」
「ええ、そうです。あなた、恋人か奥さんはいますか?」
「は、はい、自分は明日、結婚式を挙げる予定………」
「男性器縮小魔術」
「ああああぁぁぁぁぁぁあ! そんなぁぁぁぁぁ!」
「ほうほう。やはり、恋人なりいる人の方が、精神的なダメージは大きいようですね。はい、では次。隣のあなた。あなたに、恋人は?」
「い、いませ……」
「男性器縮小魔術」
「ああああぁぁぁぁぁぁあ! どうしてぇぇぇぇぇぇ!」
「わたくし、嘘は大嫌いですので」
これは、ある意味虐殺ですね。
命は奪っていませんが、クラーラによって男性器を小さくされた人たちはひとしきり叫んだあと、股間を両手で押さえて泣き崩れています。
ですがまだ、クラーラは満足していないようです。
それを表情から察した隊員たちは武器を投げ捨てて……。
「お、お願いします! 自分には、やっとできた恋人が……!」
「男性器縮小魔術」
「ああああぁぁぁぁぁぁあ!」
「助けて! 自分のはまだ未使用なんです! 童貞なんです! だから……」
「男性器縮小魔術」
「ああああぁぁぁぁぁぁあ!」
「妻に、そろそろ子供が欲しいとせがまれて……!」
「男性器縮小魔術」
「ああああぁぁぁぁぁぁあ!」
命乞い? をする隊員たちを次々と、魔術の餌食にしていきました。
それが10人を超えた辺りで、呆気にとられていたクラリスが……。
「クラーラ! そのへんでやめたげて! さすがに可哀想だよ!」
「え? どうしてですか? わたくしはむしろ、全ての男性器を縮小して平和的に人類を絶滅させるのも有りかな? と、思っているのですが?」
「さらっと何言ってんの!? 人類を絶滅させるとか、どんな大悪党もやったことがない悪行だよ!?」
「問題ありません。人類が絶滅しても、亜人たちが残りますから」
「大有りだよ! お願いだからやめてあげて! これ以上は本当に見てられないよ!」
「嫌です。寝起きに最悪なモノを見せつけられましたし、男性器縮小魔術が男性に与える精神的ダメージについて論文が書けそうなので、サンプルとしてこの辺りの男性を根こそぎ粗チンにしてきます」
そう言ってクラーラは、残る自衛軍に向けてゆっくりと歩き始めました。
粗チンにすると宣言された隊員たちはと言いますと……。
「に、逃げろ! 今すぐ逃げろぉぉぉぉ!」
と、誰かの叫びで正気を完全に失い、我先にと逃げ始めました。
その様子を満足そうな顔で見るクラーラは……。
「男性器縮小魔術」
「ああああぁぁぁぁぁぁあ!」
「男性器縮小魔術」
「ああああぁぁぁぁぁぁあ!」
「男性器縮小魔術」
「ああああぁぁぁぁぁぁあ!」
背中から平然と、男性器縮小魔術を放ち続けました。
そんなクラーラを見送ることしかできなかったクラリスは、ついにビルの下で包囲していた隊員たちまで粗チンにし始めたクラーラを見下ろして……。
「あ、悪魔だ……」
と、誰にともなく呟きました。
クラリスに悪魔呼ばわりされたクラーラはと言いますと……。
「男性器縮小魔術」
と、楽しそうに男性器縮小魔術を連発し続けていました。
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