さあ! あたしのために争って!
「はい、それでは第一回、超絶セクスィ~美少女、クラリスちゃんの花婿決定戦を開催しま~す! はい、皆の者、拍手!」
はて? どこに超絶セクスィ~美少女がいるのでしょうか。
「おー!」とか「うむっ!」とか「待ってました!」と言って拍手をしながら盛り上がる三馬鹿……もとい、三竜王には見えているようですが、私には見えません。
ヤナギとハチロウはおろか、クラリスに心酔しているマタタビでさえ呆れてジト目になっていますので、私が思った通り超絶セクスィ~美少女は存在していないのでしょう。
「よし! あたしって弱い男には興味ないから、とりあえず三人で殴り合って。一番強かった人とあたしが殴り合って、あたしに勝ったら結婚してあげる!」
「心得た!」
「シンプルで非常にわかりやすい!」
「望むところだぜ!」
馬鹿ばっかりか。
町の往来のど真ん中なのに、町一つくらいなら簡単に廃墟にできる四人は準備運動を始め、本気で殴り合いを始めようとしています。
「ちょっ、ちょぉ~っと待ってクラリスちゃん! せめて、人がいないところに移動しよ? こんなところで暴れたら、クラリスちゃんに懸けられた賞金が上がっちゃうよ!?」
「心配ご無用! 何故ならあたしは、龍王に求婚されるほどの美少女! つまり、お高い女なのよ!」
「いや、賞金だからね? 確かに今時点で100万円を越えてるけど、生死を問わずだよ? デッドオアアライブなんだよ!?」
「ヤナギちゃん、発音が悪いよ。正しくはDEAD OR ALIVE。はい、Once Again」
「そこはどうでも良いよ! たぶん『もう一度』的な意味なんだろうけどどうでも良いから!」
なんだか、必死にクラリスをなだめようとしているヤナギが憐れに思えてきました。
もし、クラーラが起きていたら魔術で拘束なり吹っ飛ばすなりしてクラリスを止めるのでしょうが、人体再現魔法しか使えない……と言うより、イザナギにリソースを割きすぎていて他の魔術が使えないヤナギにそれは不可能。
ならばハチロウに、とヤナギは一縷の望みをかけて視線を送っても、ハチロウは首を横にふって「無理」と、言っています。
なのでヤナギは駄目元で……。
「りゅ、龍王様方! クラリスちゃんと結婚しようが犯そうが輪姦しようが構いませんので、せめて町中で暴れるのはやめてください! この通りでございます!」
龍王たちに、土下座までしてお願いしました。
ですが龍王は、前回お話しした通り、オオヤシマという国の守護と、そこに住む人間の数が一定数を割らないようにするのが存在意義。なので、基本的に人の営み自体には興味も愛着もありません。
極端な話、町が一つ二つ消えようがどうでも良いのでございます。
なので、ヤナギも頼んだところで無駄だろうな。と、思いつつ頭を下げたのですが……。
「安心しろ、幽霊の娘よ。ワシらはべつに、町を壊したい訳ではない」
「左様。その娘が、拙者を選べば済むだけの話」
「オレはついでに、何度も両腕を千切りやがったタケミカヅチには積年の恨みを晴らしたいがな」
やっぱりダメそうです。
特にタケミナカタは、タケミカヅチとは因縁あさからぬ仲の様子。指をボキボキと鳴らしてメンチを切っている様子を見るに、すでにやる気満々です。
それを満足そう眺めていたクラリスは……。
「ヤナギちゃん。あたし、生きてる内に言ってみたかったセリフがあるの」
と、恥ずかしそうにモジモジしながら、暗に「言って良い?」と、問いました。
「一応、聞いてあげる。何?」
それを察したヤナギは、嫌な予感はしたものの、もう止めるのは無理だと判断して、何かを諦めた顔をして問い返しました。
そしてクラリスは両手の前で祈るように手を組み、上目遣いで三龍王を見ながら……。
「さあ! あたしのために争って!」
と、試合のゴングを鳴らしました。
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