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臆さぬならばかかってこい!/臆さぬならばかかってこい!

 魔王が遺した魔術。

 それは植物を骨格、筋肉として人型に成形し、組み上げたその基本フレームに、岩石や鉱石を装甲として張り付けて巨人と成す魔術です。

 しかし、そのボディは隅から隅までいくつもの術式が刻まれ、自然物で造られているとは思えないほどの対物理、対魔力防御を備え、陶芸品のように滑らか。さらには、たった一発で山すら蒸発させる高火力を実現し、旧世界のASすら足元に及ばない性能を有します。

 古代魔法すらしのぐその大魔術を発動するために、クラーラは……。

 

「|その姿は破壊の具現。《Its appearance embodies destruction.》|我は混沌の体現者。《I am a manifestation of chaos.》

 我を恐れよ。(Fear me.)

 我を崇めよ。(Revere me.)

 |そして我を呪え。《And curse me.》|我の死を願え。《Wish my death.》

 |我の歩みは悲劇を産む。《My steps give birth to tragedy.》

 |我の歩みは破滅の道標。《My walk is a signpost of ruin.》

 |故に、我は魔王と名乗ろう。《Therefore, I will name myself the Demon King.》

 |故に、我は魔王となろう。《Therefore, I will become a demon king.》

 |いつかその日が訪れるまで、《Until that day comes,》

 |我は魔王となりて悪を成そう。《 I will be the Demon King and do evil.》」


 歌うように、呪文を詠唱しました。

 すると、腕輪に込められていた黄金の魔力が二人を包み、次いで周りの植物や鉱物が、二人を包み始めました。

 そして形作られた20メートルにも及ぶその巨体は、頭部に曲がった二本の角を持ち、女性的なフォルムでありながら騎士のようでもあり、悪魔のような翼と、龍に似た尻尾を生やしていました。

 

「凄い! 凄いよこれ! あたしの魔力を使ってるのにまったく疲れない! むしろ、力が湧いてくる!」


 その巨人の胸部にある直径3メートルほどの球形のコックピット内で、クラリスは後ろのクラーラに興奮気味に伝えました。


「この魔術は、大地に流れる龍脈から魔力を吸い上げているのです。あなたの魔力は、この身体と魔力を吸い上げるための術式を維持しているだけ。吸い上げる魔力の方が多いのですから、力が湧いてくるように感じるのは当然です」


 クラーラはクラリスの後ろ斜め上方で空中に腰掛け、様子を観察しながら慎重に慎重を重ねて、魔王が残していた術式をクラリス用に微調整を続けています。

 今のところは大丈夫。

 全属性に対応した黄金の魔力に、龍脈からの魔力が程好く融和している。

 それを確認してクラーラは安心はしましたが、同時に疑問が湧きました。

 この魔術を使っている間、クラリスの魔力は回復し続ける。そればかりか、無敵とも言える力を振るうことができます。

 そんな今のクラリスと同等……いえ、上回っていた魔王が、予知能力を持っていたとは言えタムマロに負けたことを不思議に思ったのです。

 ですがその疑問は、無邪気にはしゃぐクラリスのせいで頭の奥に引っ込みました。


「ねえ、今のあたしたちって、本当に無敵なんじゃない?」

「ええ、今のわたくしたちなら、ブリタニカ王国を出る時に見た最新鋭魔道戦艦、ドレッドノートにだって圧勝できます」

「じゃあ、超ド級ね!」


 それは計らずも、旧世界の等級を示すモノでした。

 ドレッドノートとは、旧世界において現役、建造中を含めた全ての戦艦を、誕生と同時に旧式化させた船。その戦艦を超える船に冠せられた、栄誉ある称号でした。

 クラリスは何の気なしに口にしたのですが、クラーラは「確かに、そう言えますね」と変に納得しました。

 そして、さらにテンションが上がったクラリスは……。


「纏う魔力は空前絶後! 繰り出す拳は山をも砕き、振り抜く蹴りは海を割る! 

 勧善懲悪、傍若無人! 

 一笑千金! 仙姿玉質の超ド級合体戦神! クラリス・クラーラ! 愛想を振り撒き只今爆誕!」


 コックピット内で派手にポーズを決め、思い付いた言葉を並べて口上を叫びました。

 クラリスの動きに全く遅れず従ってポーズを決める巨体が起こす振動で、周囲では軽く地震が起きてハチロウとマタタビが逃げ惑っているのですが、クラリスは全く気にしていません。


「まったく、ネーミングが安直です。それにどうして、わたくしの名前が後なのですか? それと、べつに合体しているわけではありません」

「まあまあ、細かいことは気にしない♪」


 クラーラは呆れながらツッコミつつ、クラリス・クラーラの探知術式で捉えたハチロウとマタタビを魔術障壁で保護し、予想される戦闘区域外へ退避させました。

 そして、クラリスが次に言うであろうセリフを察して……。


 「「さあ! 臆さぬならばかかってこい!」」


 と、ケーブルをパージし、大剣を構えたスサノオに対して仁王立ちをして、一緒に叫びました。

読んでいただけるだけで光栄なのですが、もし「面白い!」「続き読みたい!」など思って頂けたらぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

ぜひよろしくお願いします!

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