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リベンジをかましてやるか!

 初めて男性を受け入れる。

 それは合意の有り無しに関わらず、女性にとっては特別な経験となります。

 だって、膜が失くなっちゃいますしね。

 生涯引き摺るような苦い経験になるか、一生忘れられない大切な思い出になるかは相手次第ですが、処女を安売りしているような言動をしていたクラリスにとっても、初めては特別な経験となりました。

 なりましたが……。


「下手くそ……」


 素直になれないクラリスは、余韻の残る心と体を静めるために、思っているのとは逆の感想を言いました。

 その反応を予想していたタムマロは、装備を整えながら……。

「それは申し訳ない。でも、痛くはなかっただろ?」


 と、慰めるような口調で言いました。

 その口調が気にくわなかったものの、クラリスは……。

 

「そりゃあ、まあ……ね」


 素直に認めました。

 まあ、薬を使っていましたからね。

 クラリスには、痛み和らげる薬だと言って塗り込んだのですが(どこに塗り込んだかはご想像にお任せいたします)、実際は媚薬。

 そのおかげで痛みは感じず、むしろ気持ちが良かったのですが、クラリスは照れ臭くてタムマロから体ごと視線をそらしました。


「じゃあ、君とクラーラの荷物を回収してくるよ。あ、そうそう。その背嚢(はいのう)に食べ物が入ってるから、僕が戻るまで腹ごしらえをしておくと良い」

「……わかった」 

「素直でよろしい。いつもそうなら、僕も楽なんだけどね」

「うっさい三流勇者。良いからとっとと、あたしの荷物を取ってきて」

「はいはい、わかったよ」


 そう言いながら、タムマロは素っ裸のクラリスの肩にマントをかけて、部屋を出ていきました。

 タムマロの目がなくなり、背後にある大量の食糧にがっつきたいと胃袋は音を鳴らして訴えているのですが……。


「何やってんだろ、あたし……。あ、もうナニをヤったあとか。ははは……」


 タムマロが羽織らせてくれたマントに顔を埋めたクラリスは、そんなくだらない事を言って自嘲してしまうほど精神的なダメージを受けています。

 しかも時間が経つにつれて、タムマロに弱った自分を見せてしまい、助けられてしまった事実が追加ダメージとして、クラリスの心を締め付けています。


「あ、また騒がしくなってきた」


 タムマロとの行為中は余裕がなかったので気にしていませんでしたが、機械の中から助け出されてからずっと、外から響いていた戦闘音はやんでいました。

 タムマロに助けられてからまだ一時間も経ってはいませんが、それでも一時間近く敵地に居座っているのに、再度クラリスを捕らえようと誰かが来ることもありませんでした。

 それはつまり、戦闘がまだ続いていると言うこと。

 

「なら、早く行ってあげないと」


 自分が近くいない時のクラーラはただの人。

 今は搾取の首輪を外されていますので、クラーラは魔力なしで戦っている。

 そう考え至ったクラリスは、動きたがらない体に鞭打って、タムマロが置いていった背嚢に入っていた食糧を床にぶちまけ、手当たり次第に口の中に放り込み始めました。


「保存食ばっかし。もっと、旨いもん用意しろってのよ役立たず」


 と、文句を言いつつも、クラリスは食糧を食べ尽くしました。

 そしてクラリスが、「さて、それじゃあ行きますか」と、言いながら立ち上がったタイミングを待っていたかのようにタムマロが戻ってきて……。


「こらこら、せめて服は着て行きなさい」


 と、クラリスの荷物を床に下ろしながらたしなめました。

 そんなタムマロに、クラリスは「うっさい。忘れてただけよ」と憎まれ口を叩きつつ、荷物から服を引っ張り出して着始めました


「それ、君が旅立つ時に、僕があげた服だよね?」

「そうよ。って言うか、こっち見んな」

「はいはい、わかったよ」

「ったく、女性の着替えをガン見すんなっての」


 言葉では拒絶していても、クラリスはこの空気を心地よく思っています。

 無機質な部屋で、耳に届くBGMは規則的な機械音と武骨な戦闘音なのに、クラリスは妙な安心感を覚えています。


「もう、こっち向いて良いわよ」


 だからなのか、クラリスは見せなくても良いのに、タムマロからもらった装備に身を包んだ自分を見せました。

 いえ、見てもらいたかった。

 

「良く、似合ってるじゃないか。スケベキョンシーよりも可愛いよ」

「そこは、綺麗だって言うべきなんじゃない?」

「ごめんごめん。綺麗だよ、クラリス」

「ふんっ! 今さら遅いのよ、馬鹿!」


 と、クラリスは怒って見せましたが、本当はシンプルながら、体のラインを強調して美しく魅せる蒼いチャイナドレスを着た自分を誉められて、跳び跳ねたいくらい嬉しく感じました。

 ですが、タムマロはクラリスを見ていません。

 いえ、視線は確かにクラリスを向いているのですが、タムマロの瞳に映っているのは今のクラリスではなく、かつてクラリスと名乗っていた女性。

 クラリスと髪と瞳の色が同じだった、今は亡き女性を映していました。

 それに気づかないクラリスは、気分が高揚したのにつられるように高まってきた魔力を解放して……。

 

「さぁって! そんじゃあ、リベンジをかましてやるか!」


 と、宣言して天井をぶち抜き、脱出しました。

読んでいただけるだけで光栄なのですが、もし「面白い!」「続き読みたい!」など思って頂けたらぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

ぜひよろしくお願いします!

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