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第90話 生と死を賭けて

90話~

 一方その頃エナの状況はというと……


「はぁ……はぁ……。」


 肩で息をしながらも、エナは休みなく襲いかかってくる魔物を倒し続けていた。


 彼女は昨日……東雲にこの場所に飛ばされてからというものの、休む間も、寝る間もなくひたすらに魔物に襲われ続けていた。

 しかも一瞬でも気を抜けば怪我を負うことが免れないような、強い魔物に……。


(流石にちょっぴり疲れてきちゃいましたねぇ~……。キツイっていうのは聞いてましたけど~、ここまでとは思ってなかったです~。)


 巨大な体躯から繰り出される一撃で何匹もの魔物を倒すが、数が減っている気配がない。まるで底が見えない深海に引きずり込まれているかのようだ。


 魔物は減る様子を見せないが、徐々にエナには限界が近づいていた。それは彼女の中にある僅かな魔力の枯渇だ。


 もともとミノタウロスという種族は、体が大きく力も強い、そして更には身体能力も高いと、魔物としてある程度完成された魔物。故に、魔力に頼るということをしてこなかったため魔力を持たない者も産まれてきてしまっている。


 その代表的な存在がエナだったのだが……彼女は由良に魔力の源泉を呼び起こしてもらうことにより、少量の魔力を体に溜めておけるようになったのだ。


「っ!!」


 そして遂にその時は訪れた……。エナの一撃で魔物が仕留めきれなかったのだ。


(魔力切れッ……これ以上戦うのは無理ですねぇ~。)


 僅かなエナの魔力が遂に底をつき、攻撃力が大幅に落ちてしまったのだ。


 一撃で倒しきれなくなったということは、襲い来る魔物の群れを捌ききれなくなるという事。そして魔力が底をついたことにより体に徐々に力が入らなくなってきていた。


(一旦逃げないと……。)


 戦線を離脱しようとエナが試みた瞬間、彼女の背後に魔物の鋭い爪が迫っていた。


「しまっ…………!!」


 恐らくこれから襲い来る痛みにエナが思わず身構えると、上から声が響いてきた。


「う~ん、全然ダメだね~。」


「え?」


 上から声が響くと同時にエナの周りを取り囲んでいた魔物達が一匹残らず真っ二つに両断された。


 エナは何が起こっているのかわからずにいると、彼女の前に上からある人物が舞い降りた。


「やぁ、私はミリア・レッドプライド。東雲ちゃんに君の面倒を見るように頼まれた者だよ。」


 エナの前に舞い降りたのはミリアだった。どうやら彼女いわく、東雲にエナの面倒を見るように頼まれたらしい。


 ミリアはエナの前に歩み寄ると、彼女の体を隅々まで眺める。


「ふんふん、目立った怪我は負ってないみたいだね。強いて言えば、魔力切れで肉体にガタが来てるってところかな。」


 エナの体を正確に分析するミリア。そんな彼女にエナは少し落ち着きを取り戻し、お礼を述べた。


「あ、あの~、ミリアさん?助けていただいてありがとうございましたぁ。」


「あ、いいのいいの~。こっちはちゃんと東雲ちゃんに報酬もらってやってるからね。」


「…………??」


 ミリアの言っていることに首をかしげるエナだったが、深くそれを追求する気にはなれなかった。


「さて、一段落ついたところで……一晩中戦ってみてどうだい?疲れたかい?」


「は、はいぃ~……。」


 予想通りといったエナの答えにミリアはクスリと笑う。


「だろうね~、あんな荒い魔力の使い方してたら疲れるのも無理ないよ。」


 ふと、ミリアはエナが倒したはずの魔物に近付くと、手に大鎌を呼び出して首と胴体を一刀両断した。

 すると、一見死んでいたように見えた魔物から短い断末魔の叫びが聞こえた。


「わかるかい?こういう風に狡猾に……死んだふりまでして君の命を狙う魔物もいるんだよ。」


「………………。」


 改めてエナは送り込まれたこの森の恐ろしさを体感する。


「君は魔物としての覚醒を果たすためにここに来た……そうだよね?」


「は、はいぃ。」


 ミリアの問いかけにエナはコクリと頷く。すると、ミリアはニヤリと歪に口角を吊り上げながら言った。


「なら、早速戦闘再開だよ♪」


「ッ!?」


 ミリアは何の躊躇いもなくエナの心臓へと向かって手に持っていた鎌を振り下ろした。


「な、何を…………ッ!!」


 間一髪着ていた服を少し切り裂く程度で、エナはミリアの鎌を避けることに成功する。


「決まってるだろう?君の修行だよ。東雲ちゃんには君をひたすらに追い込めって言われてるからね。」


 鎌の刃の部分を愛でるように撫でながらミリアは言った。そして再び鎌をエナへと向けると、歪に笑いながら口を開く。


「さぁ……覚醒するか死ぬか、生と死を賭けたゲームの始まりだよ♪あはははははははっ♪」


 薄暗い森のなかにミリアの楽しそうな笑い声が響く。そして、その笑い声に誘われて再び魔物が集まり始めた。

 

「いいかい?君に逃げるという選択肢はもう無いんだ。戦い続けるんだよ……ひたすらに……ね。」


 遂に退路まで絶たれてしまったエナは、疲弊しながらもミリアに向かって拳を構えるのだった。


それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~

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