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第88話 かくれんぼ

88話~

 次の日の朝、由良とロレット、そしてクロロの三人が城の中庭へと集められた。


 そして三人の前に東雲は立つと、彼女達に向かって今日から始める修練の内容を話し始めた。


「集まったようだな。では、今日からの修練の説明をするぞ。」


「あ~、一つ良いか?」


「なんだロレット。」


「今日はこの三人いっぺんにやるのか?」


 チラリとロレットはとなりに並ぶ由良とクロロの方を見ながら言った。


「そうだ。今日からは三人で行う。」


「よ、よろしくお願いします~。」


 ロレットに向かってクロロは作り笑いを浮かべながら、ペコリとお辞儀をする。


「うむ、よろしく頼む。」


「さて、では時間が惜しい早速場所を変えよう。」


 ポン!!と東雲が前足で地面を叩くと、三人の足元に魔法陣が現れ、そこから溢れ出た光が三人を包み込んだ。


 そして次の瞬間には、三人はどこか鬱蒼とした森の中へと移動させられていた。


 キョロキョロと三人が辺りを見渡していると、木の上から声が響いた。


「さぁ、今日の修練を始めよう。今回の目標は妾を捕まえることだ。」


「ほぅ?随分簡単そうじゃないか。」


「くくくくく、その余裕がいつまで続くのか楽しみだな。」


 そうくつくつと東雲が笑っていると、目の前でロレットの姿が消える。そして東雲の横から彼女の手が迫っていた。


 ……しかし。


「っ!?」


 ロレットの手は確かに目の前にいる東雲をすり抜けてしまったのだ。彼女が困惑を隠せずにいると、森の至るところから声が響く。


「くくくくく、そんな簡単に捕まるわけないだろう?」


「チッ……。」


「ちなみにだが……今お前達がいる森は凶暴な魔物が生息しているからな。妾を探すのに夢中になりすぎて虎の尾を踏まないようにすることだな。」


 と、東雲はそれだけ告げると辺りから声は聞こえなくなった。


 そして早速行動に移るものが一人……。


「フフフ、こんな児戯すぐに終わらせてやるッ!!」


 ダン!!と強く地面を蹴るとロレットは一人飛び出していってしまう。


 その後ろ姿を見て呆れてため息をこぼす由良。


「はぁ……あやつは相変わらずじゃな。東雲様の修練に児戯のようなものなど一つもなかったじゃろうに……。」


 そうポツリと呟くと由良はロレットが向かった方向とはまた別な方向へと歩みを進めようとした。


「あ、ゆ、由良さん!!」


「クロロ、これはわしら三人による競争じゃ。誰が一番最初に東雲様を捕まえることができるかというな。じゃから悪いが……ここからは別行動じゃ。」


 クロロにそう告げると、由良もまた森の中へと消えていく。


 そしてその場所にはクロロ一人が取り残されてしまった。


「東雲さんを捕まえる……かぁ。…………なんか昔やってたかくれんぼを思い出すなぁ。私が鬼の時、すっごい楽しかった気がする。」


 昔の子供の頃の記憶を思い出したクロロ。すると、胸の内側で心臓が大きくトクン……と脈打った。


「…………よしっ!!私も行こっ!!」


 タン!!と軽く地面を蹴りクロロも森の中へと入っていった。


 そして全員がいなくなると、先程まで三人がいた場所にある人物が現れた。


「あんれぇ?東雲はんに言われて来たんやけど……誰もおらんね。」


 その場所に現れたのは大狸の真琴だった。どうやら東雲が呼び出していたらしい。


「ようやく来たか真琴。」


「あ、東雲はん。そんなところにおったんどすね~。」


 東雲は真琴の近くの木の上から飛び降りると、彼女に向かって近付いた。


「それで今日はあしに何の用事どす?」


「うむ、お前には妾に化けてもらいたい。」


「東雲はんに?こんな感じで……。」


 ポン!!と真琴の足元から突然白煙が上がったかと思うと、真琴は人の姿の東雲に化けて見せた。


「化ける腕は相変わらずのようだな。妾の美しき特徴も全て再現している。」


 まじまじと東雲は自分に化けた真琴の姿を見て満足そうに頷いた。


「だが、今回化けて欲しいのはこっちだ。」


 ポンポンと東雲は今の自分の姿を指し示す。


「あ、そっちどすか。いよっ!!」


 もう一度真琴の足元から白煙が上がると、今度は狐の状態の東雲に完璧に化けた。


「うむ、それでいい。」


「それで、あしは何をすればええんどす?」


「この森に一人だけ場違いな気配を感じるだろう?」


 東雲にそう言われると真琴は一瞬めを閉じた。そして再び目を開くと彼女の言葉に頷いた。


「おった……由良はん達に比べると、えらい弱いのが一人。」


「うむ、今回はそいつを覚醒させようと思ってな。」


「さよですか、わりかしどんくさそうやけど……。」


「あれでも猫人の王家の血を引いている者だ。ふとした拍子に覚醒するだろう。だから、今回お前にやって欲しいのは……その姿で()()()()やってくれ。」


「そういうことならあての得意分野どす~♪ほんならよ~け化かしたろ。」


 そしてこの森に、ただクロロを惑わすためだけに真琴が乱入することになったのだった。

それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~

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