第79話 変……態?
79話~
「んん…………はっ!?」
ガバッと勢いよくロレットが飛び起きると、彼女は自分が病室のベッドの上で寝かされていたことに気が付いた。
「ここは…………?」
「やっと目を覚ましたようじゃな。」
ここはどこか……と不思議がっていたロレットは、隣から声をかけられる。その声の方向には由良がいた。彼女もまた、ロレットと同じようにベッドで横になっている状態だった。
「由良か……っ!!そうだ、ミリアとの戦いはどうなった!?」
「それもお主の左隣を見ればわかるじゃろう。」
「左隣って…………。」
ロレットが由良に言われた通り左隣に視線を向けると……。
「やぁ!!」
そこにはニコリと笑いながら手を振るミリアの姿があった。
「なっ……貴様がここにいるということは……。」
「まぁ、お察しの通りだよ。その子に負けちゃったのさ。」
ミリアが指差した先には、病室に設置された椅子に腰掛け、眠ってしまっているルアがいた。
彼は彼女達が目を覚ますまでずっと付きっきりで看病をしていたのだ。しかし、体力の限界が来てしまい眠ってしまったらしい。
「まさかね……君たちの中で一番弱いな~って思ってたあの子にやられるなんてね。思ってもみなかったよ。」
苦笑いを浮かべながらミリアは言った。しかし、次の瞬間にはじろりとした視線をある場所へと向けた。
「ただ、君達の中で一人だけ……この結末を予想していた。いや、最初から知っていた人もいるみたいだけどね~。」
彼女の視線の先には、ルアの膝の上でくつろぐ東雲の姿があった。
東雲はミリアの言葉に薄ら笑いを浮かべると、彼女へと向けて言った。
「くくくくく、いったい誰の話をしているのやら……。」
「まったく……まさかいくら万全の状態じゃなかったとはいえ、こうも簡単に負かされるとはね。長年隠りっぱなしだったから腕が落ちたかな?」
「まぁ、貴様が万全の状態だったとしても恐らく一人では妾達には敵わなかったと思うがな。」
「……!!へぇ……その理由を聞かせてもらってもいいかい?」
「なぁに簡単な話だ。こやつが戦う前に妾が貴様の相手をしていただろうからな。」
「あはははははっ、言ってくれるじゃないか……できれば一度万全の状態で君とも戦ってみたいものだよ。」
そう二人が話している中、ロレットがある話題を持ち出した。
「残念ながら我らは敵わなかったが、ルアは貴様に勝った……。つまり、こちらの要望を受け入れてくれるという事で良いか?」
「あぁ、そういえば言ってたね。確か……天使を倒すのに協力してほしいんだっけ?」
「うむ。」
「まぁ、負けちゃったから……良いよ。協力してあげる。」
「本当か!?」
あっさりと協力することに首を縦に振ったミリアに、思わずロレットは驚いた表情を浮かべた。
「そんなに驚くことかい?それに、君たちに協力するのはこちらにもメリットがあるからね。別に構わないんだ。」
「メリット……だと?」
「あぁ、私達吸血鬼は……血で力を増す。って世間一般的には認識されてると思うけど、それは少し違ってね。体液ならなんでもいいんだ。」
ロレットはミリアの言葉に思わず首をかしげているが、となりのベッドにいる由良は顔をしかめていた。どうやら由良はミリアが言わんとしていることがわかってしまったらしい。
「つまり、君達の汗や唾液とかを吸収することでも力を取り戻すことができるんだ。」
そう言ってのけたミリアに、ロレットはしばらく俯き、沈黙すると彼女に向かってあることを問いかけた。
「……………………つまり、吸血鬼は変態という認識で良いか?」
「変態っ!?随分ひどい言われようだね。他に何かいい言葉は見つからなかったのかい?」
突然投げ掛けられた容赦のないロレットの蔑みの言葉。それに続くように由良や東雲までも口を開く。
「……ロレット、こやつを仲間に引き入れて良かったのかの?わしは何か大きな過ちを犯してしまったようで仕方がないんじゃが。」
「くくくくく、変態とは良い言われようだな。」
「違うよ!?あくまでもそういう方法もあるってことで…………っていうか、こっちが協力するんだからそっちも協力してほしいものだけどね!!」
弄られ、少し怒ってしまったのかプイッとそっぽを向くミリア。しかし、彼女の視線はすぐにルアへと向けられる。
「……それにしても、その子さぁ?さっきからすっ……ごく美味しそうな香りを放ってるんだけど……。ちょっとだけ……ダメかな?」
「ダメじゃ!!」
口元から少しよだれを垂らしそうになりながらミリアは問いかけるが、即座に由良によって却下されてしまう。
「ぶ~っ!!なんで!?」
「ダメなものはダメじゃ!!変態をルアには近づけさせんぞ!!」
その後ルアが目を覚ますまで、しばらく病室のベッドの上ではミリアとにらみ合いが続いたとか…………。
それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~




