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第51話 狐につままれたのは②

51話~

 由良の頬っぺたをぷにぷにとつつきながら、くつくつと笑う東雲の姿を見てロレットが狼狽えながら言った。


「た、確かに我はこの手に切った感触があった……なのにどうやって……。」


「不可思議か?コレットの孫よ。」


「っ!?」


 突然後ろから聞こえた声に、ロレットが振り返るとそこには東雲の姿があった。


「なっ、これはいったい……」


 ロレットは由良の方にも目を向けるが、由良の元には依然として彼女のことをからかい続ける東雲の姿があった。


「ふ、二人っ……だと!?」


「二人どころではないぞ?」


 慌てるロレットの後ろから更に増えた東雲が肩を叩く。


「なっ……なっ………。」


 思わずロレットが後退りをすると、ドン……と何かに背中がぶつかった。


「くくくくく…………。ほれ、こっちにも…………。」


「こっちにもおるぞ?」


「くくくくく………くくくくく♪」


「こ、これは…………。」


 気が付けば、ロレットの周りを大量に増えた東雲が埋め尽くしていた。


 くつくつという笑い声が全方位から聞こえる最中、由良の声が響いた。


「解ッ!!」


「っ!?」


 その声が聞こえた瞬間にロレットの背中に衝撃が走り、一瞬視界がぐわんと歪む。すると、周りを埋め尽くしていた東雲の姿がゆっくりと掻き消えていった。


 そしてロレットの眼前には、たった一人……相も変わらずくつくつと笑う東雲だけが残っていた。


 全身から冷や汗を流していたロレットの背中を由良が強く叩いた。


「まったく、しゃんとするのじゃ。」


「わ、我は……何を見ていたのだ?」


「お主はたった今まで幻覚を見せられておったのじゃ。」


「幻覚……か。いったいいつから……。」


 先ほどまでのことを思い返すが、自分が幻覚に陥った瞬間がわからずにいるロレット。そんな彼女に答えを授けるように東雲が言った。


「いつからもなにも、()()()()()。」


「最初からだと!?」


「そこの木に向かって、その剣を振り下ろしていた様はとても愉快だったぞ?くくくくく……。」


 東雲が指差した方角を見てみると、一本の木が真っ二つに切り裂かれていた。


 それを見たロレットは恥ずかしさからか、顔が少し赤く染まる。


「だが、まぁ…………由良よ。良く妾の幻術を看破し打ち破ったな。」


「最初はまんまと踊らされてしまいましたがの。」


 どうやら由良も東雲に幻覚を見せられていたらしい。しかし、何とか自力で抜け出し、ロレットのことも救ったようだ。


「そう謙遜するな、妾の幻術を脱け出せる者はそう多くはない。」


 そう素直に東雲は由良のことを称賛する。一方ロレットはまんまと踊らされてしまったことに、少し落ち込んでいるようだ。


 そんな彼女にも東雲は声をかけた。


「そっちのコレットの孫もそんなに落ち込むな。妾の好敵手だったコレットも最後まで妾の幻術を破ることはできなかったのだからな。」


「くっ……お婆様が破れなかったのなら……我が代わりに破るまでだっ!!」


「っ!!バカ、待つのじゃ!!」


 地面を抉りながら踏み込み、一瞬でロレットは東雲との距離を詰める。そして剣を振り下ろしたのだが……再び視界がぐわんと歪んだ。


 そして、剣は空を切り、周りから東雲の笑い声が聞こえてくる。


「くくくくく、さぁ大見得をきったが……どうやって破る?」


「こうやって……だっ!!」


 ロレットは魔力を剣に纏わせ、体を捻りながら回転するように剣を凪ぎ払った。


「……ほぅ!!」


 感心するような東雲の声を聞きながら、ロレットはある音を必死に耳で拾っていた。


(どこだ?……どこにいる…………。)


 神経を尖らせ、耳を澄ませるロレット。すると、彼女の耳が僅かに草が揺れる音を感じ取った。


「っ!!そこだッ!!」


 音のした方へと踏み込み、剣を振り下ろすと……


 ガキンッ!!


 ……と硬い金属に当たったような、痺れるような感覚が剣を伝って伝わってくる。


 それと同時に、ロレットの目の前に尻尾で攻撃から身を守った東雲の姿が飛び込んできた。


「フフフ……我も幻術とやらを破ったぞ?」


「潜在能力はコレット以上か。これだから、龍種は化け物ばかりで嫌になる。」


 半ば強引に幻術をうちやぶったロレットに、ため息混じりに話ながらも、東雲は尻尾でロレットのことを弾き飛ばす。


「くっ……!!」


 衝撃で由良の近くまで弾き飛ばされたロレット。そんな彼女に呆れながら由良は言った。


「相変わらずの強引さじゃの~。」


「方法や過程などどうでも良い。兎に角あれを突破できたことを褒めてほしいものだな。」


 そんな軽口を言い合う二人を前に東雲はクスリと笑った表情を崩さないまま言った。


「まぁ、ひとまずは合格……といったところか。ほれ、次の手はそっちにくれてやる。どこからでもかかってこい。」


 そう言うと、東雲は服の隙間から御札のようなものを取り出し、二人に向かって構えるのだった。

 その表情は未だ崩れる様子はない。

それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~

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