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第50話 狐につままれたのは①

50話~

 ルアのことを包み込んだ尻尾が何度も揉みほぐすように、ぐにゅぐにゅと蠢くとピタリと動きを止め、ゆっくりと尻尾が開き始めた。


 そして中から現れたのは、ルアではなく東雲の本来の姿だった。


「うむ、やはりこの姿の方がしっくりくる。」


 体を動かして感触を確認している東雲に由良は少し焦りながら問いかける。


「る、ルアはどこに行ってしまったのですじゃ!?」


「ん?ルアならちゃんとここにいる。」


 ポンポン……と東雲は自分の胸を叩いてみせる。


「これはあくまでもルアの体を借りているだけだ。まぁ、妾がその気になればこの体を完全に我が物にすることもできるのだが…………。」


 ふと、東雲は上の方を見上げた、


「それはそれで妾をこの世に呼んだ輩にお叱りを受けそうだからな。」


 残念そうな表情を浮かべながらも、東雲は再び由良の方へと向き直る。


「ま、このルアの体を妾が奪うことはない。この者は妾がこの世界に留まるための(あるじ)のような存在だからな。」


「それを聞いて少し安心しましたのじゃ。」


「くくく、さて……では早速始めようか……と言いたいところだが。」


「…………??」


 東雲はドアの向こうへと視線を向ける。


「ロレット……と言っていたか?そこにいるのはバレているぞ?」


「………………。」


 東雲の言葉を聞いて、観念したように扉の向こう側からロレットが現れる。

 そして彼女の姿を見た東雲は、少し首をかしげた。


「おん?前と少し姿が違うな……妾が良く知っている者に似ている。」


 東雲は興味深そうにロレットの姿を眺め始めた。すると、何か確信めいた様子でロレットに問いかける。


「……お前、もしやコレットの孫か?」


「……!!お婆様を知っているのか!?」


 突然驚きの声をあげたロレットに、東雲はコクリと頷いた。


「もちろん知っている。……妾とコレットは親友であり、良き好敵手だったからな。くくく、それにしてもこの世界に再び生を受けてからというものの……こうも面白い事がたて続きに起こると()()()()()()()()()()()()。」


「「~~~っ!!」」


 ニヤリ……と東雲が不敵な笑みを浮かべた瞬間、由良とロレットの背筋を冷たいものが走り抜けた。


「折角だ、妾の跡を継ぐ者とコレットの跡を継ぐ者二人の力を試してやろう。」


 パチンと東雲が指を鳴らすと、三人の足元に魔法陣が現れそこから溢れでた光が三人を包みこんだ。


 そして気が付けば、三人はどこか広い平原へと移動していた。


「ここならば近くに何もおらん、存分に力を発揮すると良い。」


「フッ……それはありがたい話だ…………なっ!!」


 真っ先に東雲に向かって行ったのは、ロレットだった。オリハルコンでできた剣を振りかざし切りかかる。


 しかし、ロレットの剣はあっさりと空を切り、そのまま地面へと突き刺さってしまった。


「ほぅ、前よりも速度も力もかなり上がっている。龍種の進化はやはり面白い。それに、その(つるぎ)も……随分良い金属を使っている。」


 地面に刺さった剣を引き抜いているロレットの隣で、東雲はロレットの力を分析している。


「くっ……このっ!!」


 地面から剣を引き抜き、再び東雲へと切りかかったロレットだったが、今度は東雲の人指し指と中指の間に挟まれピタリと動かなくなってしまった。


「くくく、流石にこの剣を指一本で止めるのは危うい。だから二本使わせて貰ったぞ?」


「ぐぐっ……な、嘗めた真似を…………。」


 ピタリと動かなくなった二人。そんな時、由良が声をあげた。


「狐炎術 狐火!!」


 由良の尻尾から生まれた炎の体を持つ九体の狐が、一斉に東雲へと向かって飛びかかっていく。


「ん?」


 その狐たちに一瞬気をとられた東雲。


 それをロレットは見逃さなかった。一瞬力が緩んだ隙に指に挟まれた剣を引き抜き、下段からかち上げるように剣を振る。


 ロレットの剣と由良の狐火……二つの攻撃が自身に近づいてくる最中、ふと東雲は笑った。


「くくくっ。」


 そして狐火が爆ぜ、その爆風の中をロレットの剣が切り裂いた。


「手応えありだっ!!」


 ロレットは確かに何かを切った感触を手に残していた。それは由良も同じで、確かに狐火が東雲に当たったと確信していた……。


 そして爆発によって起こった土煙が晴れてくると、二人は自分の目を疑った。


「なっ……!?」


「まさかっ!!」


 そこに転がっていたのは、真っ二つになり、焦げ目がついた丸太だった。


 二人がキョロキョロと当たりを見渡すが、周りに東雲の姿は見当たらない。


 そんな時、由良は突然後ろからポンポンと肩を叩かれた。バッと後ろを振り返ると、次の瞬間……由良の頬っぺたに東雲の指が当てられていた。


「くっくっく、由良よ。狐につままれたというのは正にこういうことなのだろうなぁ?」


 由良の頬っぺたに当てていた指を狐のかたちに変えると、さぞかし楽しそうに笑いながら東雲は言ったのだった。


それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~

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