第47話 待ち受けるもの
47話~
ロレットが脱皮をして新たな力を得たその日の夜、ルアがベッドに入り眠りにつくと……夢の中で不思議な空間に誘われた。
(ここは……どこ?)
足元がふわふわとして、まるで浮いているような感覚……そしてどこまでも広く、なにもない世界。
ルアは夢の中でそんな場所にいた。しかし、ルアはこの場所に見覚えがあった。
(レトさんがボクを転生させてくれた場所によく似ているような……。)
そんなことを思った、その時だった。
「ピンポンピンポ~ン!!せ~いか~い♪」
「わぷっ!?」
聞き馴染みのある声が聞こえたかと思うと、むにゅん……とレトの豊満な胸がルアの顔いっぱいに押し付けられた。
「むぐ、むぐぐ……レトさんく、苦しいです。」
「あらあらごめんなさいね。ボクちゃんがあんまり可愛いものだから……ついつい抱きしめちゃった。」
ぱっとルアのことを解放すると、レトはどこからかテーブルとティーセットを取り出してルアにこちらに来るように促した。
そしてお互いに対面するように座ると、レトが話題を切り出した。
「私の言葉通り……ロレットちゃんの進化に貢献してくれたみたいね?(ちょっと思惑とは違ったけど。)」
「えっと……いまいちよくわかってないんですけど、あれってボクのせいなんですか?」
「そうよ~?龍種の進化の条件は強い異性の体液を取り込むこと……今回はロレットちゃんがボクちゃんの血液を口にしたから進化に至ったってわけね。」
「なるほど……。」
ようやくロレットが進化した理由を理解したルア。しかし、お告げをしたレト本人は少し不服そうだ。
(本当はボクちゃんとロレットちゃんが×××してくれてたら種の繁栄にも繋がったから一石二鳥だったんだけど……。まぁ、二兎を追う者はなんちゃら~って言うしね。それにそんなこと言っても、ボクちゃんはまだ精通前だし……。)
ふと、ルアの股間部分に目を向けるレト。そして何を思い付いたのか、ニヤリと表情を歪めると彼にバレないように何かを施した。
(うふふふ、これで良し……。あとはボクちゃんの内側に眠る獣が目覚めるのを待つだけね。)
レトがニヤニヤとしていると、それに気がついたルアが首かしげながら問いかける。
「ど、どうかしましたか?」
「んふふ、な~んでもないわ。ただボクちゃんが可愛いな~って思ってただけ。」
「あぅぅ……ちょっと気にしてるんですから、あんまり面と向かって言わないでください。」
「あら、可愛いのはいいことじゃない?ほら、ボクちゃんがもといた世界でもこういうことわざあったでしょ?可愛いは正義ってね。」
「それはことわざじゃないです!!」
「うふふ、あらあら違ったかしら?」
ルアをからかって遊ぶレト。
からかわれてムキになったルアのことを眺めて満足したのか、レトは紅茶を一口口にすると、彼に本題を話し始めた。
「さて、今回ここにボクちゃんを呼んだのはね~。次について話す必要があったからよ。」
「次?……ですか?」
「うんうん、由良ちゃんも今のロレットちゃんも、名もない天使に対しては十分戦えるぐらい強くはなってるわ。でも、まだ足りないの。」
カチャリとティーカップを皿の上に戻すと、レトは真剣な目で話し始める。
「前回天使を一匹だけ下界に通したのは、ボクちゃんの力を覚醒させるため。そして、改めて天使がどれ程強いのかを知ってもらいたかったの。」
「も、もしかして……レトさんわざと天使がこっちに来るようにしたんですか?」
わなわなと体を震わせながらルアがレトに問いかけると、彼女は申し訳なさそうに頷いた。
「悪いことをしたとはわかってるわ。でも、必要なことだったのよ。」
「でもっ!!そのせいでお母さんやクロロさんがっ……。」
ルアは興奮して立ち上がった。
「わかってるわ。ボクちゃん、少し落ち着いて?」
とても穏やかな口調でレトは興奮するルアに落ち着くように促した。
すると、我を取り戻したルアが再び席についた。そしてレトの話を聞き始める。
素直な彼に穏やかな笑みを浮かべたレトは再び話し始める。
「特別に……ボクちゃんには、あのときの裏側を見せてあげる。」
スッとレトが立ち上がり、ルアの頭に手を置くと彼の頭の中に、ルア達が天使と戦っていた裏側でレトが何をしていたのかが映像となって流れ込んできた。
そして一部始終を見てしまったルアは、恐る恐るレトに問いかけた。
「こ、これから先あんなにたくさんの天使と戦わなきゃいけないんですか?」
「えぇ、そうよ。それにもっと強い天使達とも戦わなきゃいけなくなるわ。」
「そんな…………。」
これから先に待ち受ける絶望にルアは思わず言葉を失った。そんな彼にレトは言う。
「ボクちゃん、下を向いちゃダメよ?前を向くの。大丈夫、ボクちゃんの道は私が切り開いてあげるわ。」
そう言ったレトの姿は、ルアの目に初めて神々しく映っていた。
それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~




