第46話 三人目
46話~
「これで三人になった。」
ロレットのその言葉の真意は、自分も天使に対抗できうるほどの力を手にしたということだった。
嬉しそうに笑みを浮かべるロレットに、由良が不思議そうに問いかけた。
「時にロレット、成熟した龍種の脱皮はある条件を満たさねばできぬと文献で見たが……お主は何をしたら脱皮に至ったのじゃ?」
「う~む、それがな……我にもわからんのだ。」
「わからんとな!?」
「うむ、だが思い当たる節があるとすれば……ルアの血液を取り込んだことか?」
その言葉を聞いて、由良はルアのもとに駆け寄るとペタペタと体を触り始めた。
「ま、まさかルアや、ロレットに乱暴されたのかの!?怪我はないかのっ!?」
「お、お母さん……ロレットさんがそんなことするわけないでしょ……。」
「ほっ……なら良いのじゃが……。」
由良がホッと胸を撫で下ろしていると、そこにロレットが歩み寄ってきて、突然ペコリと頭を下げた。
「由良、すまない……我はドッペルゲンガーとの戦いでルアを危険な目に遭わせてしまったのだ。」
「……じゃが、お主がルアを傷つけたわけではないのじゃろ?」
「む、ま、まぁ……そうだが。しかし…………。」
「良い。わしはルアが無事ならば他のことはどうでも良い。」
きゅっと由良はルアのことを抱き締めると、いとおしそうにスリスリと頬擦りをする。
そんな由良の姿を見てロレットは、苦笑いをしながらため息を吐いた。
「フッ……つくづく親バカだな。」
「お主にも可愛い可愛い子供ができればわかるのじゃ~♪」
「ふむ…………子ができればわかる……か。」
むむむ……と一瞬悩んだロレットは、あることを思い付いたようで、ルアのことを後ろから抱きしめて由良に顔を近付けながら言った。
「では我はルアとの間に子を成そう!!」
「えっ?」
「はっ?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
唐突なロレットの思案にルアと由良の二人は思わず素っ頓狂な声をあげた。
しかし、一瞬で冷静さを取り戻した由良はロレットに向かって反論する。
「そ、そ、そんなことわしが許さんのじゃ!!」
「なぜだ?」
けろっとした表情でロレットは由良に問いかけた。
「な、なぜって、それはわしがルアの母親であり、花嫁じゃからじゃ!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
胸を張ってそう言った由良に、思わずルアは驚きの声をあげる。
「それこそ問題だろう!?母親が息子と結ばれるなんてそんなこと…………。」
「じゃがそれを禁止する法律はあるまい?」
「む、むぅ……確かにそうだが。」
「なら良いのじゃ~♪」
スリスリと頬擦りをしてくる由良に、ルアはもうされるがままだ。
そんな由良を羨ましそうに見つめていたロレットは、ふとあることを思い付くと、ニヤリと表情を歪めた。
「フフフ、では少し法律を変えるとしようか。一夫多妻制を取り入れよう。」
「……!?!?」
ロレットの予想外のその言葉に由良は表情が固まった。
「一夫……多妻……とな!?つ、つ、つまりそれが取り入れられればルアにたくさんの妻ができてしまうということか!?」
「そういうことだな。」
「そ、そ、それはダメなのじゃあぁぁぁぁぁっ!!」
ぎゅっと更に力を込めてルアのことを抱きしめる由良。しかし、そんな由良にロレットはいよいよ正論をぶつけ始めた。
「だが、これから我らが繁栄していくためには、ルアにたくさんの種族の者とまぐわい、子を成していかねばならんのだぞ?」
「うむむ……それはそうなのじゃが……。」
確かに、ルアはこの世界に唯一の♂である。
故に、この世界でありとあらゆる種族の女性とまぐわい、子を成して繁栄の礎になるという役割がある。
とはいえ、ルア本人はまだその役割を担っているという、実感はないようだが……。
「ならば今のうちにその法律を作っておいた方が良いだろう?」
「じゃが、まだルアは精通前じゃぞ?」
「それでも構わんだろう。」
二人の会話にどんどんルアの顔が真っ赤になっていく。それほど二人の会話はルアの羞恥心を煽るものだったからだ。
「あ、あの……その二人とも…………。」
「じゃが、精通前なのにも関わらずそんな法律を世間に発表してしまっては♂がいると発表してしまうようなものではないか?」
「うむ、確かにそうなるか……となればやはり精通後の方が良いか?」
そんな二人の、ルアの羞恥心を煽る会話は一時間近くに渡って行われた。
それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~




