第39話 でぇと?
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「ふぁ…………。」
いつものように、ロレットに与えられた部屋のベッドでルアが目を覚ますと……いつもと違う光景が目の前に広がっていた。
「おはようルア。」
「ろ、ロレットさん!?」
目を覚ましたルアの視界に飛び込んできたのは、こちらを見てクスリと笑みを浮かべるロレットだった。
「な、なななっ……なんでいるんですか!?」
「……?ここは我の城だぞ?故に我が何処にいようと不思議ではあるまい?」
「うぅ、それはそうですけど……。」
至極真っ当なことを言われて、言い返すに言い返せなくなったルア。そんな彼の反応を楽しみつつ、ロレットは用件を切り出した。
「それで……だ。ルア、今日は我の買い物に付き合ってほしいのだ。」
「買い物……ですか?」
「うむ、新しく剣を打ってもらうついでに、服も買いに行きたいのだ。」
「いいですけど、なんでボクなんですか?服とかならボクよりもトリトニーさんとか……もっと適任がいると思うんですけど。」
「…………嫌か?」
「っ!?」
少しルアが渋るような様子を見せると、ロレットは珍しく上目遣いでルアの瞳を覗きこむ。
「え、えと……嫌じゃないですけど…………。」
「なら決定だ!!さぁそうと決まれば早く支度をして、今日は町にでぇとに行くぞ!!」
「わ~っ!?服は自分で着替えますからっ!!ロレットさんは外で待っててくださいっ!!」
ぐいぐいとルアの寝間着を脱がそうとしてくるロレットを、なんとか部屋の外へと押し出し、ルアはドアに背を預けてふぅ……と一つ息を吐き出した。
「デートって……ロレットさん意味わかって言ってるのかなぁ。取りあえず早く支度しよっかな。」
寝間着を脱ぎ、普段着へと着替え、鏡の前に座ったルアは櫛で髪をとかし始めた。
「ん~、最近ちょっと髪伸びてきちゃったな~。この際だし結ぼうかな。」
ルアは器用にとかした髪を後ろできゅっとゴムで結ぶ。俗に言うショートポニーテールのような髪型だ。
「ひとまず今はこれで良しっ、後でお母さんに切ってもらおっと。」
髪を結び終えたルアは、必要最低限の手荷物を持って部屋を飛び出した。
すると、部屋の真横でロレットが壁に背を預けて彼の事を待っていた。
「む、準備ができたようだな。」
「はい!!」
「…………む?むむむ?」
ロレットはふと首をかしげると、ルアの事をなにやらジロジロと眺め始めた。
「…………今日は髪型がいつもと違うのだな?」
「あ、はいっ。ちょっと髪が伸びてきちゃったので……変ですか?」
「いや、似合っている。これもこれで可愛いではないか。」
「あはは……ありがとうございます。(最近可愛いって言われても気にならなくなってきちゃったなぁ。)」
前世では、あれだけ可愛いと言われることにコンプレックスを抱えていたルアだったが、近頃はそう言われるのが当たり前となり、たいして気にならなくなってしまっていた。
これもこの世界に順応してきている証なのかもしれない。
「さて、ではそろそろ行くとしよう。移動魔法展開。」
ロレットが移動魔法を唱えると、二人の足元に魔法陣が現れ輝きを放つ。そのまぶしい光にルアが目を瞑ると、次の瞬間には場所が変わっていた。
「ここは…………。」
ルアの目の前に広がっていた景色は、まるで工場のような町だった。しかし、不思議なことにいつも真上を見上げればあるはずの空がない。
不思議に思っていたルアに、ロレットはここがどこなのかを教えた。
「ここは主にドワーフ達が住み、働く地下街……ドワーフファクトリアだ。」
「地下街……ってことは、ここは地面の下?ってことですか?」
「その通りだ。巨大な鉱山の地下にこの街は作られている。」
ロレットと共に街の中へと足を踏み入れると、街の中にはたくさんの武器屋や、洋服屋が軒を連ねていた。
「ふぇ~……すごいたくさんお店があるんですね。」
「ほとんどが武器屋と洋服屋だがな。武器や防具を打つことと、服を作ることに関してはドワーフの右に出るものはいない。」
ふとルアが店の奥を覗いてみると、自分と同じぐらいの身長の女の子が鎚を片手にカンカンと武器を打っている姿が見えた。
どうやら彼女がドワーフという種族のようだ。
「ボクと同じぐらいの身長なのに凄いや。」
「フフフッ、あれでもルアの何十倍もの年月を生きているのだぞ?」
「ええっ!?」
思わずルアはドワーフを二度見するが、どう見ても中学生位の女の子にしか見えない。
すると、武器を打っていたドワーフが視線に気が付き、ルアと目があった。彼女はニコリと笑うとルア達の方に軽く手を振り、再び武器を打ち始める。
「さ、我が用があるドワーフはもっと奥で店をやっている。先に進むぞ。」
「あ、はいっ。」
スタスタと歩きだしたロレットの背中を追うように、ルアも歩きだした。
歩きながら彼は、ドワーフとは話が合いそうだ……と少し共感を示していたのだった。
それは彼が身長に対するコンプレックスをわかっていたからなのかもしれない。
それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~




