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第189話 刻まれるもの

189話~

 ルアのもとへと戻ってきたルシファー。彼女は戻ってきてからというものの、ルアの体調を心配していた。


「ルア様、本当にお体は問題ございませんか?」


「だ、大丈夫ですから……しばらく横になってれば治ると思います。それよりも、ルシファーさん他の人達の修業を見に行ってあげてくれませんか?レトさんからそれも任せられてるんですよね?」


「えぇ、確かにそれはレト様から仰せつかっております。ですが最優先はルア様のお命です。それを上回る命令は受けてはおりません。」


「な、なら尚更ですよ!!ボクは全然大丈夫ですから。東雲さんもいてくれるし……。」


「…………わかりました。では私は他の皆様のもとへ行って参ります。」


 ルシファーのその言葉にほっと安堵の息を吐き出した。のも束の間……。


「ですが……もしもの時のために保険は掛けさせていただきます。ルア様少しお腹を触りますよ。」


「ふえっ!?」


 ルシファーはおもむろにルアの服の中に手を入れると、彼の下腹部に指を当てた。


「な、何をするんですか?」


「もしもルア様に命の危険が迫った際に私がすぐに呼び出されるように術式を施させていただきます。」


 ルシファーはそう告げると、ルアの下腹部に当てた指に魔力を込めてゆっくりと動かし始めた。


「あうっ!?こ、これなんですか?お腹が……熱い。」


 ルシファーが指でなぞった痕には熱くうずくような不思議な感覚が残っていた。


「ご安心ください。お体には何の害もありません。もう少しで完成ですので、動かないでくださいね?」


「そ、そんなこと言われてもっ!!こ、これお腹がキュンキュンして……なんかくすぐった……あうぅ。」


 身もだえようにも、ルシファーにぎゅっと押さえつけられ体を動かすことができないルアは、その感覚から逃れることができず、ビクビクと体を震わせることしかできない。


 そしてようやくルシファーの指がルアのお腹から離れると、彼女が触れていたルアの下腹部にはハートの形を歪にして、少し卑猥さを加えたような妖しく光る紋様が浮かんでいた。


「お、お腹変な感じ……。」


「これで終わりです。この紋様が浮かんでいる限り、ルア様に命が危険にさらされるようなことがあれば、私がすぐに現れます。」


「あの質問なんですけど……こ、これいつ消えるんですか?」


 ルアは自分の服をまくると、下腹部に浮かんだ紋様を指差して問いかけた。するとルシファーは満面の笑みでとんでもないことを口にした。


「ルア様に命の危険が及ばない限り……()()です♪」


「…………え、えぇぇぇぇぇぇっ!!??」


 ()()という言葉にルアの体が凍り付く。


(ボクに命の危険がない限り永遠にこのままっ!?こ、こんなの恥ずかしくて他の人に見せられないよ……。)


「これもルア様のお命を守るためですのでご了承ください。それでは私は他の皆様の元へ行って参ります。ルア様はくれぐれもお体にはお気をつけてお過ごしくださいね?」


「あ、ちょっとルシファーさんっ!?」


 ルアの静止の言葉も聞かずに、ルシファーはルアの下からいなくなってしまい、ルアの体はふわりとベッドに沈み込んだ。


「あぅ……ボクの周りの人みんな話聞いてくれない。」


 しょぼんとするルア。改めて自分の下腹部に刻まれた紋様を眺めると、大きなため息を吐いた。


「これどうしよう……。命が危険にさらされない限り永遠って……もうしばらくはこのままじゃん。」


 あきらめたルアは枕に顔をうずめる。すると、悪夢にうなされている東雲の姿が目に入った。


「むむむぅ……く、来るでない……ぬわぁぁぁぁぁっ………。」


「いったいルシファーさんに何されたんだろ……。東雲さんがこんなになってるところ見たことないや。」


 未だに夢の中で何かに襲われている東雲。そんな彼女の姿を見ていると何かおかしくなってきて、ルアの心の高ぶりが少し落ち着いた。


「とりあえず一回横になろうかな。」


 ひとまずルアは、ようやく落ち着いた空間でベッドに横になるのだった。

それではまた次回お会いしましょ~

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