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初書きです。ふんわり設定で細かいことは何も決めてないし考えていません。拙い文章です。突然頭に浮かんだ異世界のお話を何とか物語として完成したいです。短編にしようと思って書き出しましたが、4つくらいに分けて書き上げたいと思います。

(きょう)真帆(しほ)は恋人であった。

叶は真面目な性格でユーモアもある為に男女共に人気のある青年であった。

また、真帆は大変頭がよく数ヵ国の言語や資格を取得し、普段から冷静な性格の為に周りから尊敬の眼差しでみられる女性だった。

二人ともモテるタイプであったが、誰がみてもこの二人は相思相愛で、付け入る隙もなかった。


そんな二人は、ある日突然に、全く見知らぬ風景へと連れていかれた。

まばゆい光で目を閉じ、次に見えたのは、無機質な広い部屋、自分達から離れた部屋の隅には数人の影。

どうやら、流行り?の異世界召喚をされたらしいことを二人は察した。


黒いフードを被った男性と、シンプルながら最高級であろう素材を使ったであろう衣服を纏った若い青年に連れられ二人は違う部屋へと通された。

そこで、若い青年はこの王国の王太子でフードを被った男性は魔術師ということが判明した。

王太子の説明によると、近頃辺境で魔族が出没し住民達に被害を加えるようになったこと、それは魔王復活の為で魔王討伐の為に勇者召喚の術を使ったこと、勇者は男性一人のはずで女性まで召喚してしまったのは予想外だったということらしい。

それもそのはず、勇者として召喚された叶だけがこの国の言葉を理解できた。真帆には何を言っているのかさっぱりわからなかったので、叶に訳して貰ってようやく現状を理解した。

どうやら、ステータスと脳内で念じることによって自分の能力が視えるとのことだったので、とりあえず二人はステータスと念じてみた。

「なるほど勇者、ね。」

叶が呟いた。平均値を聞いていたので自分の能力の高さに納得した。もちろん、職業欄には勇者と表示されていて、少し面倒なことになったなとも感じた。叶の人当たりの良さは、面倒事から逃れる為の術でもあった。

叶の言葉なら真帆も理解るのだが、真帆は顔に出さず驚いていた。

何故なら、真帆には自分のステータスだけではなく、他の人のステータスも視えたからだ。叶のステータスはもちろん、王太子や魔術師のステータスも丸視えだ。

だが、そんな事は口に出さない。下手に利用されるのは御免だった。あと、自分の職業もとりあえずは伏せた。

真帆の職業欄には、聖女とあったが、この王国が召喚したかったのは勇者のみだからだ。


結局、王国は真帆というイレギュラーの存在をどうするか決めるまでに、この異世界からやってきた二人には王国に慣れて貰うという名目で一週間ほど、こちらの世界や王国、魔王や魔族、文化等を学ぶこととなった。

真帆はもともと言語に強い為に、叶にも教えて貰いながらもこちらの世界の言語をある程度理解できるようになっていった。

一週間が過ぎて、叶のこれからの予定と真帆の処遇が決定したと従者らしき人物が説明にきた。

叶は勇者として暫く訓練することとなり、真帆は叶が魔王を倒すまで客人として離宮でもてなすとのことだった。

でも、従者の目が明らかに嘘と物語っていたので、二人は話し合った。

叶は心配したが、真帆は自分が聖女という職業であることと何かあっても逃げる術はあることを伝えた。そして、叶の能力が視える真帆は叶のことも心配していないからお互い頑張って生き抜こうと決めた。


次の日、叶が早速訓練と言われ部屋を出た。呼びにきた男性はこの王国の軍隊の総指揮官を名乗り、剣も魔術も扱えるらしく魔族と戦う術を教えてくれると言った。王国民を守る為に勝手な願いだが協力して欲しいと、深々と頭を下げられたのが印象深かった。この時、叶はふと、そう言えば王太子も初日に自分達二人に、巻き込んだ謝罪と協力を願いたいと頭を下げてきたことを思い出し、こんな人達なら少しくらい頑張ってみようかなどと思っていた。そして、もともとの能力の高さから、叶はめきめきと力をつけていく。

さて、真帆にも迎えが来ていた。先日の従者であった。

離宮と説明されたその建物は、一見要塞のようであった。生活に必要なものは全て揃っているからと持ち物は何もない。真帆は簡素なワンピースの裾を無意識に握りしめた。入り口に近づいた時、前を歩いていた従者が真帆を振り返る。

「中は、迷いやすいので、道順をしっかり覚えられるよう。」

真剣な瞳でゆっくりと言葉を発したので、真帆も真剣に頷いた。

「もうひとつ、入り口で不審なモノを持っていないか確認されるので今は渡せませんが、あなた様の部屋に着きましたら渡したいモノがありますので何も言わず後に着いてきてください。」

次はもう、真帆の返事も聞かずに従者は入り口に向かって歩きだした。入り口では門番に真帆だけが持ち物チェックをされたが、もちろん何も持っていないので普通に通された。

離宮、と称したソレは結局罪人を収容する建物のようで、いくつか別れた廊下の奥から、薄気味の悪い呻き声が聞こえてきた。入り口には門番がいたし、今ここで逃げても意味がないし、何よりあの真剣な従者の目を見ればソレは愚策だと感じたので、聞こえてくるモノより道順だけをしっかり覚えることに尽力した。

「こちらです。」

と言われた場所は間違いなく牢獄のようであった。

真帆は何も言わず素直にその部屋?へと入った。

従者がカチャンと鍵をかけた。そして、柵の間から真帆に小さな鍵を渡した。

「会議では、この決定に最後まで王太子と魔術師は反対されていました。しかし王は…予測不可能なモノが嫌いなのです。王太子と魔術師には内緒で私めにこの役目を仰せになりました。間もなく、宰相がこちらに参ります。これ以上酷いことはなされないとは思いますが…何かあればこの鍵でお逃げください。」

囁くように真帆へ告げると、申し訳ありませんと一礼し従者は足早に去っていった。

真帆は、すぐにでも逃げようと思ったが、すぐに宰相が来るとなれば、自分がいないとなれば先ほどの従者が咎められる可能性を考えて、とりあえず宰相を待つことにした。

ほどなくして、宰相と名乗る年配の如何にも腹黒そうな男性が護衛を連れてやってきた。

「ほう、なかなかの上玉ではないか。お前は勇者の愛人か?なら諦めろ。勇者にはこちらの世界のオンナを渡すつもりだ。お前に用はないのだよ。」

見下すように吐かれた言葉に、何の感情も乗せずに宰相をただ見つめる。その間脳内はこの男が使えるか否かを目まぐるしく考えているのだが。

何を思ったか、宰相がニヤリと下卑た笑いを口に乗せた。

「だが、私のモノになるのなら待遇は考えよう。お前にとって選択肢はひとつではないか?」

そう言って宰相はカチャリと部屋の鍵を開けた。

「宰相…!」

護衛が少し焦った声を出したが、焦ったのは真帆だ。牢屋の中にいれば身の安全だけは守れると思っていたのにまさか入ってくるとは。

(半日ほど考える時間さえあれば策が見つかったかもしれないのに!時間さえ…!)

そう、強く願った瞬間、本当に自分以外の時間が止まったように動かなくなったように見えた。

真帆は考えるより先に動いた。先ほどの道順を思い出し建物から脱出する。それなりに高い階で一週間過ごしていたので、その部屋からの眺めで敷地内や城下町を見下ろしていたおかげで建物を出てからも一直線に城下町に通じる道を走った。いつこの魔術が解けて時間が動き出すかわからない。間もなくお城の敷地内から脱出できると思った時だった

「真帆!」

愛しい人の声が聞こえ、反射的に真帆はそちらを向いた。叶が走ってこちらへやってくる。一瞬魔術が解けたのかと真帆は焦ったが動いているのは真帆と叶だけだ。

「何やった?ナニがあった…?」

訓練のせいか走ってきたせいか叶は汗だくで肩で息をしていた。

「牢屋に入れられたから宰相を撒いて逃げてきた。これは多分私が発動させた魔術だけどどれだけもつかわからない」

真帆が端的に説明すると叶は眉をへの字にさせた。

「何だか真帆の色が目の前を覆ったと思ったら周りの人の動きはほぼなくなるし、でもうっすらと呼吸してるから時間を止めたというよりは…遅くした…のかな?俺は魔術無効スキルあるから大丈夫みたいだけど。」

「叶は打倒魔王でしょ?ここのお城の中の私の味方は王太子と魔術師と予定を伝えにきた従者だけみたいだし…私はどっかで身を潜めるよ。で、叶が魔王の下へ向かったら私も向かう。そこで落ち合おう。」

真帆はニッコリと笑う。叶は一瞬辛そうに顔をしかめたが、それでも真帆に笑い返した。

「デートの待ち合わせ場所が魔王の下かよ。最高のシチュエーションになりそうな予感だな。それまでその味方に援助でもしてもらうことにするよ。」

「じゃあ…」

真帆が去ろうとした時、叶は思わず真帆の腕を掴んだ。

「真帆…!これ、通信石なんだって。基本的にこの世界のどこにいても、念じた相手と数分だけだけど話せるらしい。俺もう一個貰うから、落ち着いたら話そう」

そう言って小さな青い石を真帆に渡した。真帆はふんわりと笑う。

「叶、大好きよ。」

「俺も、真帆が大好きだよ。次に会えるの楽しみにしてる。」

「ええ、私も。」

一瞬、二人は抱きしめあい、お互いの体温を感じる。

そして、真帆は走りだし、叶は、その背中を見送った。

真帆の背中が見えなくなると、叶は踵を返し訓練所まで戻る。ずっと、握られた両の手の平には爪が食い込み血がにじみ出していた。



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