心配性の宝物
お子様と一緒に考えながら読んでほしい。
そんなお話を意識しました。
男には大切な宝物があった。
あまりにも大切な物なので、キレイに飾った。
でももし汚したら大変だ。
男は大切な物を飾りごと木箱にしまった。
でももし燃えてしまったら大変だ。
男は大切な物が入った木箱を鉄の箱にしまった。
でももし盗まれたら大変だ。
男は鉄の箱に鍵をかけた。
でももし鍵を無くしたら大変だ。
男は鉄の箱と鍵を一つの袋に入れた。
でももし袋を奪われたら大変だ。
男は部屋にこもることにした。
男の家族が何かいっても、男は袋を手放さない。
男の友達が何をいっても、男は部屋から出てこない。
男は困った。
このままここにいたら、この大切な物と引き離されてしまうかもしれない。
男は大切な物を入れた袋を金庫に入れた。
でもまだ不安だ。
男は山を買った。
家を建て、大切な物を入れた金庫を部屋に隠した。
周りには誰もいない。
自分しかいない。
やっと男は安心した。
毎日、男は大切な物を入れた金庫が無くなってないか確認した。
何日も、
何日も、、
何日も、、、
ある日ふと、男は考える。
この大切な金庫には、一体何を入れたのだったか……
男は隠してあった大切な金庫を取り出した。
金庫から袋を取り出す。
袋から鉄の箱と鍵を取り出す。
鉄の箱から木箱を取り出す。
木箱から出てきたのは、キレイな額に入った写真だった。
写真には、男と家族が写っている。
男は泣いた。
そして今まで大切にしていた物をそのまま部屋に残し、山から立ち去った。
本当に大切な物を思い出した男がこの山に戻ることは、二度と無かった。
ありがちな話だし、もし先人様とネタが被ってたらどうしよう。
そんな事ばかり考えてしまう私も立派な心配性です。