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杜鵑草
『紫の罪をその身に杜鵑草』
『紫の罪我に似て杜鵑草』
杜鵑といえば夏だけれど、杜鵑草は秋に咲く。
杜鵑草はとてもきれいな花だけれど、他の花と合わせるよりも、そっと一輪挿しにしてやるのが似合うような気がする。
弟の真心を疑い、殺してしまう盲目の兄。その兄の、変化した姿が杜鵑だからかも知れない。
「弟恋し」と泣き続け。鳴き続け……。
杜鵑草に散る赤紫は、彼の叫びが血となって滴ったのだ。叫び続けて喉が裂け、悲しみに胸も張り裂けたのだ。
盲目だったのだ。
私も。
気づいたときには、もう、なにも。