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秋扇

『夕闇に耳そばだてる秋扇』


 夏の終わり。秋の始まり。

 太陽の光には、まだ夏の暑さの名残があるのに……。


 一日の終り。夜の始まり。

 山の端に日が隠れれば、野を渡る風は途端に涼やかさを増していく。


 季節と季節の境目で、窓辺に取り残された扇子が一本。

 騒々しい夏が過ぎ、今はその静けさが、心地よい。

 目を閉じて、耳を傾けてごらん。

 ほら、聞こえてきたのは野原の音楽会。

 虫たちの奏でる楽の調べ。


 ◇


 日が落ちて、私はビール片手に縁側へ。

 室内はまだじっとりと暑かったので、扇を一本手にして、腰を下ろす。

 クイッとグラスを傾けると、喉を通り過ぎていく苦味が心地よい。

 扇子を開こうとしたけれど、庭からそよぐ風が涼しくて……。

 パチン。パチン。

 扇を閉じたり開いたり。

 ああ、夏が過ぎていく。




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