鬼の兵士
「クロエ!! 急ぎ、ニア様のもとへ!」
「おう!」
猛ダッシュでニアのもとへ向かった。
「ニア様! 今きたぜ!☆」
「遅い」
「仕方ねぇだろーがよー トロールに…」
伝令兵がニアのもとへ。
「ニア様、アレス隊 城に到着とのことです」
ニアは無線を手に取り全魔族軍の指揮を執る。
「これより、作戦を開始する!! タタラ エマ マリの歩兵はアイルーロスへ前進開始!! 開戦次第 アレス隊は突撃しろ!」
指示通り行動開始した。
「クロエ 出番だ」
「はいはい。 オー・ダスリーク」
風の上級魔法。
得意魔法であるはずの風の魔法をわざわざ詠唱するということは物凄い魔法を繰り出すということだ。
周りに緑色の浮遊魔力体が出現し、クロエ身体に蛇のように巻き付いた。
「ニア いつでもぶっかませるぜ!」
「敵の砲撃まで待て」
アイルーロス城壁。 兵士がアドラドのもとへやってきた。
「アドラド様! 魔族軍歩兵、侵攻を始めました!!」
「そうか、では砲撃準備! それと、捕虜はいらん」
「ハッ!」
兵士は走って砲撃準備の号令をかけた。
「おい、そこの人間。 アドリアンヌにいいもん見せてやると伝えろ」
「え」
「いいから さっさと行け!」
「は、ハッ!」
アドリアンヌ、鬼がお前のような人間にいいように使われると思ったら大間違いだぜ。
王の間。
先ほどの兵士がやってきた。
「アドリアンヌ女王陛下!」
「なんじゃ、騒々しい」
「アドラドより伝令。 いいもん見せてやる だそうです」
城壁。
「砲撃準備ぃ!!! 捕虜はいらん!! 徹底攻撃!!!!!」
人間の兵士達が城壁の上では銃や大砲、弓矢など砲撃準備に取りかかり下では歩兵部隊が待機していた。
その様子を望遠鏡で見ていたニアがクロエに指示する。
「クロエ! そろそろ来るぞ!」
「ぉお! 待ってました!!」
魔族も人間も猫族も鬼も全ての準備が整った。
魔族歩兵が人間の重火器部隊の射程圏内に入った。
「撃てぇーー!!!」
号令と同時に重火器部隊が砲撃を開始した。
魔族歩兵部隊は砲撃に備え魔法で土の壁を作り上げた。
「クロエ! 今だ!!!」
「おっしゃぁあ!! 弾幕制御!!!!!」
クロエが魔法を解放し辺りに緑色のマナと強風が吹き荒れた。
が、城壁で黒煙が上がった。
弾幕とクロエの魔法がぶつかった瞬間、全ての弾幕が空中で制止した。
「よし あとはそっくりそのままこの弾幕をお返ししてやるだけだ!…って、あれ?」
アイルーロス王の間。
「どういうことじゃ!!! なぜ、重火器部隊が全滅している!!!」
城壁。
「大成功だな。 鬼をなめるなよアドリアンヌ」
アイルーロス城裏。
城壁が爆発されていてアレス隊が侵入に成功していた。
「く、クロエ! お前、何かしたか?!」
「いや、俺はこれからやるとこだったんだが…」
戦場にある男の声が響いた。
「おい 鬼共ぉぉぉおおお!!!! 今こそ反撃だぁぁああああ!!!!!!」
「あ、アドラド様?!」
「死にたくなきゃ黙ってな!!!」
アドラドの叫びに反応して城壁の下で待機していた人間の歩兵部隊がだんだんと鬼に姿がかわっていった。
「ぉぉぉおおお!!!! 皆の者!
イグレッド様と共に戦うぞぉおおおお!!!!!」
鬼と人間が戦い始めた。
「アドリアンヌ女王、反乱です」
「おのれ、アドラド。 よくも…!」
アドラドは、魔法でニアのもとへ転移した。
クロエが槍を構えニアを守ろうとするが様子が違うようだった。
アドラドがニアの前にひれ伏した。
「ソナタたちは魔族か」
「あぁ そうだ」
「感謝する」
「はぁ?」
「クロエ、ちょっとどいてくれ」
クロエは槍を収め、どいた。
「アドラド お前はさっき反撃と言ったが、どういうことだ?」
アドラドは立ち上がった。
「アドラドではない 俺はイグレッドだ。 そして、これは我ら鬼の反撃」
「鬼の?」
「そう、我ら鬼のは行き場を失った。 80年前の戦争で、途方に暮れていた我らを受け入れてくれたのが猫王ケレス様だったのだ。 それで、今 この戦争で猫族が人間に攻められた。 生き残った鬼は人間に化け反撃の期を伺っていたのだ。 そこに、魔族が来てくれたというわけだ」
「なるほど。 それでは、先ほどの砲撃失敗は…」
「その通り、我ら鬼の工作員のしたことだ。 だが、全て細工するのはやはり無理だった。 本当に骨のある奴がいてくれて助かった。 まさか、あれだけの弾を止めちまうなんてな。 後は、ケレス様の救出作業のみだ」
ニアの無線が突然鳴った。
『アレス隊、救出作業成功。 只今、そちらに向かっておりますの』
「どうやら、その心配いらないようだな」
「なら、後はアドリアンヌか」
「アドリアンヌ?」
「総指揮官アドリアンヌ。 今、あの城を乗っ取っている人間だ」
「人間など私の相手にならん」
「ただ人間じゃない。 奴は魔女だ。 人間唯一の魔女の家系」
「ディフィーレ家か!?」
ディフィーレ家、人間唯一の魔女の家系。
その家の者はみな桁違いの魔力の持ち主だ。
だが、どういうわけか長女しか産まれぬ家系。 呪いとも言うべきであろうか。
現在はアドリアンヌ・ディフィーレが継いでいる。
「あぁ、だが、心配するな。 魔族も今 自国がまずい状況なのだろう? ここは我ら鬼が引き受ける」
「なんのことだ?」
「知らないのか?」
「教えてくれ」
「ついさっきだ。 この奪還作戦が開始されるちょっと前、魔族王都陥落の報告を受けたのだが…、伝令兵が来なかったのか!?」
「陥…落…? ば…馬鹿な そんな…そんなはずは…」
「直ぐに国へ帰れ!!!」
「だが、相手は魔女なのだろう? 鬼とは相性が悪すぎる。 それに…」
「そんなこと言ってる場合か!!! お前は…!」
「それに!!! お前たち鬼が、反旗を掲げなかったのは、戦力が不足していたからと違うのか!!! 私達がいなくて勝てる相手か!!!」
「お前は!!! お前は自国を守れ!!! 軍人だろ!! 王なのだろ!!! なぁに、こっちは大丈夫さ。 鬼をなめるなよ? 魔族がまたここに来るときにはここはもうケレス様が統治するもとの平和なアイルーロスに戻っているさ」
「クロエ!」
「は、はい!?」
「撤退の前に、放て」
「放てって…。 なるほど、おっしゃぁあ!!! だったら派手に行くぜ!!」
クロエの魔法で空中に制止していた弾丸が再び動き出す。
「アドラ…、イグレッド。 後を頼みます。 ご武運を…」
「任せな」
無言でニアは無線を手に取って、全魔族軍に命令した。
「全魔族軍に告ぐ。 魔族王都陥落により撤退だ!!!!!」
クロエの放った弾丸が人間共を襲う。
魔族軍は王都陥落という事実を目の当たりにして、撤退を余儀なくされることとなった。




