魔騎士クロエ
アイルーロス城王室。
王室には玉座がありその両脇には護衛が6名。金色の装飾が施されたレッドカーペットが玉座から王室入り口までつづいていいる。
二人の兵士が王室へと足を踏み入れた。
「アドリアンヌ総指揮官様。ご報告がございます」
アドリアンヌは片手でライフルを軽々と持ち上げ兵士の眉間に狙いを定めた。
「妾のことは女王様と呼べと言うたであろう」
兵士は何も言わずに倒れた。
「そこの愚民を片付けよ」
「ハッ」
護衛に就いていた兵士二人が倒れた兵士を連れて行った。
報告に来た二人の兵士の片割れが恐る恐るアドリアンヌへ報告し指揮を仰いだ。
「あ、アドリアンヌ女王様。魔族軍がトロールの森巣より現れました。か、数はおよそ2000。ゴーレムも数体確認されております。そ、それで魔族軍は、ぃ、いかが致しましょう」
「そうじゃな。敵の目的は恐らく、この王都もしくは姫君じゃろう。敵を全力で潰すのじゃ。今回の指揮はアドラドにやらせよ」
「ハッ!承知いたしました」
兵士は冷や汗をかきながら急いで王室を出て行った。
魔族軍を迎え撃つ準備がアドラドによって行われた。
「ほぉ。魔族か面白そうな相手が現れたもんだ。少しは骨のある奴がいるかもな」
トロールの森巣を抜けた先のアイルーロス城の見える丘。
クロエ部隊が森を抜けると他の魔族軍がもうとっくに集合していた。
クロエ部隊のマルクス副隊長がニアのもとへ急いだ。
「ニア様ー!」
「マルクスか、おい。クロエはどうした?」
「それが、森巣を抜けるときトロールと遭遇してしまい、」
「だから、クロエはどうした!」
「トロールと交戦中であります!」
「なに!?」
森巣、トロールの雄叫びが森に響き他の動物たちは耐えきれず森から飛び出していった。
その雄叫びの中心でトロールとクロエが戦っていた。
「ギャーギャーうるせぇ野郎だなこの糞巨人!! これでも喰らえってんだ! ド・グラススーラ!!」
ド・グラススーラとは土の最上級魔法。
クロエの周りの地面が一部めくれあがってトロール程の大きさの岩となった。
「覚悟しろよ糞巨人。おらぁあ!!」
クロエは風の魔法でその岩をまるで鎖鉄球のように操りトロールたちにその魔法の猛威を振るった。
風の魔法はクロエの得意魔法なので無詠唱で発動することが可能なのだ。
操られた岩がトロールを次々と潰してゆく。
だが、トロールもただやられるわけにはいかない。
隙をみてトロールが反撃に出る。
「お? ようやく反撃か? いいタイミングだ。だが、それは四騎士一の俺様には効かねぇな」
クロエの周りを浮遊していた六本の戦鎗のひとつが攻撃しようとしてきたトロールの胸を貫いた。
「クリィィィィィン ヒット!」
トロールは悶え苦しみやがて動かなくなった。
なんと、キマイラ兵に埋め込まれた魔石の位置は心臓の横だったようだ。
「ヘーイ! 見たか糞巨人! これが俺様の…って、あれぇ? もしかしてそこに魔石があるのか? へぇ~、あ~そ~。なら、こうしたらどうなるのかな~? スーラ!」
スーラ 土の下級魔法だ。
操っていた岩を魔法で無数の鎗に変えて周りにいるトロールの胸に狙いを定めた。
「一・斉・撃・破!」
クロエの掛け声と共に鎗は放たれた。
森巣を抜けた先。クロエ部隊は体制を立て直しクロエ救出するため森巣へ再突入しようとていた。
「直ぐにクロエ隊長を救出に向かうぞ! 部隊に伝えろ!」
「ハッ」
そうして、クロエ部隊に号令を掛けようとしたときだった。
「その必要はねぇよ。マルクス副隊長殿」
と、マルクスの肩をポンと叩いたのは…
「っ! くっ、クロエ隊長! よくご無事で!」
「ふん。俺様がそんなにひ弱だとでも言うのかぁ?」
「いえ、決してそんなことは…、ですがあのキマイラ兵の数を一体どうやって…」
「あれあれ? 忘れたのかなぁ? 俺様は四騎士の中で最も魔力を有し、その魔法の練度及び精度はピカイチの魔騎士なんだぜ? 見くびってもらっちゃ困るね」




