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魔人戦争  作者: NIA
11/14

二つの敵の陰

 まだ、太陽が顔を見せない朝。

 5つに別れた魔族軍とB.Cが各配置につく。

 ニアが合図すると一人の兵士が赤色の信号弾を空高く打ち上げた。


 タタラ部隊


「信号弾だーッ!タタラ様!信号弾が上がりました!」


「よし。森へ前進しろー!」


 クロエ部隊


「ぉお!信号弾が上がった上がった!んじゃ!さっさと森を抜けちまおうぜ!目指せ戦場へ一番乗りぃー!」


 エマ部隊


「エマ様。信号弾上がりました」


「そうか、では全軍の集合場所まで前進だ!」


 マリ部隊


「マリ様。マリ様!」


「は、はいぃ!」


「信号弾上がりました。前進の合図を」


「で、ではみなさん集合場所へ向け前進開始してください!」


 各場所でタタラ・クロエ・マリ・エマたちは確認し、その合図と共に一斉に森へと進軍を開始した。


「おい、アレス!信号弾上がったぜ」


「そうか、じゃあ、俺らも行動開始だ!」


「了解!」


 B.Cは別のルートからアイルーロス城を目指す。

 何故、魔族軍を5つに分けたのかというと、トロールと遭遇したときの被害を減らす為だ。


「トロールがいないからと言って、気ぃ抜くなよ!」


 一同返事を返す。


 その頃、アンブロシア。

 一人の兵士が王都を馬に乗って飛び出ていった。

 多くの兵士が非常召集を受け、城に集められていた。

 現在、アンブロシアの防衛はマリ直属騎兵隊リーダーのテリーとクロエ直属騎兵隊リーダーのオトナシに任されている。

 少し前のアンブロシア城会議室。

 オトナシとテリーのいる会議室の扉が一人の兵士によって開けられた。


「どうかしたか?」


「オトナシ様。テリー様。ご報告がございます。人間王都バルバルディア監視機関より、“約5000の敵兵、アンブロシアに向け進軍開始したり”との事です」


「ごせ、なに?!それは本当か!」


「はい。本当にございます」


 その言葉を聞いてテリーは頭を抱え、イスに座った。

 それを横目にオトナシは冷静になり、兵士に指示を出す。


「お前は急ぎニア様にこの事をお伝えしろ!」


「ハッ」


 兵士は急いで会議室を飛び出していった。

 オトナシは会議室を出て、扉の横に立っていた護衛に非番の兵士や城内の兵士を訓練所に集めるように指示した。

 オトナシとテリーは訓練所に向かった。


 トロールの巣森。5つの魔族部隊が森を騎馬で駆け抜ける。

 クロエ部隊。猛スピードで突き進んでいた。


「遅れんじゃねぇーぞー!」


 クロエがそう呼び掛けると一同は各々のやりかたで返事を返した。

 突然、隊列の中腹部にいた一人の兵士が最悪の事態に遭遇した。

 その兵士は何か大きな物に当たって吹き飛ばされた。


「今のはなんだぁ!」


「分かりません!」


「とにかく、全員、剣を抜け!警戒を強めろ!」


「はいっ!」


 周りの兵士に班長が指示を出した。

 別の兵士がクロエに近づいた。


「クロエ隊長!」


「なんだ!」


「隊列中腹部。兵士が一人やられました!」


「原因は!」


「分かりません。ですが、恐らくトロールかと、とりあえず、班長の指示で全員、警戒を強めております!」


「そうか、絶対に気ぃ緩めんなよ!あと、隊列を崩すな!全員にそう伝えろ!」


「ハッ」


 その兵士は列に戻った。が、その瞬間その兵士は吹き飛ばされた。叫ぶ暇もなく…。それだけでなくもう一人もう一人と吹き飛ばされていった。


「チッ。隠れてねぇで、その醜い姿を現しやがれ!クソトロールが!」


 クロエがそう叫ぶと、それに応えるように周りから数体のトロールが現れた。

 魔族軍は自分の目を疑った。


「おい、嘘だろ?!」


 トロールが走っている。しかも、馬について来れるほどの速さで木をなぎ倒しながら突き進んでいた。


「お前ら!もっとスピード出せ!逃げ切るぞ!」


 騎馬は一層加速した。だが、トロールも負けておらず必死に喰らいついてきた。


「クロエ隊長!前方トロールが!」


 誰かがそう叫んだ。騎馬隊の進行方向にはあの“首無しのトロール”が待ちかまえていた。


「ここは俺が何とかする! お前らは二手に別れて行け!」


「ですが隊長!」


「うるせぇ!テメェらはさっさとニアんとこに行けぇ!」


 クロエは騎馬の横腹に装備されている六本の鎗を外し魔法で操り自分の周りに浮遊させた。

 そして、馬から飛び降りて、トロールの前に着地した。

 クロエの部隊はトロールを避けるように二手に別れ、森を駆けた。

 浮遊した鎗が兵士を襲おうとしたトロールを攻撃した。

 すると、トロールがクロエを睨みつけた。


「よそ見してんじゃねぇ!テメェらの相手はこの俺だ!」


 クロエは少しニヤリとした。

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