アイルーロス奪還作戦前夜
人間王都エルギニア。およそ5000の兵士と、30のトロールがアンブロシアに向けて出撃を開始した。
ニアとB.Cは、トロールの巣森の外に待機していた魔族軍と合流した。
ひとまず、仮拠点を築き安全を確保した。
ニアと四騎士にアレスは今のアイルーロスの置かれている状況と魔法を防ぐトロールについて説明した。
「それで、巣森でそなたたちを襲った、あのトロールは一体何なのだ?」
「あれは、人間が俺ら猫族の技術者に無理やり作らせた生物兵器。通称“キマイラ”だ」
「キマイラ?」
「あぁ、キマイラは色んな生物の死骸を組み合わせて生み出された生物。今回で言えば、トロールの死骸に動力源である魔法石を埋め込み、腕力強化の為にケンタウロスの筋肉を縫い付けられた生物だ」
「なるほど、魔法石が動力源のキマイラに魔法が効く訳ないか。キマイラについては、分かった。では、次だ。どうしてそなたたちは巣森にいたのだ?」
「それは、ケレス猫王様のご命令なのです」
「ケレス様の?」
「はい。ケレス猫王様はアイルーロスが襲撃を受けたときこう言われました。私たちでは“あの鬼”を止めることは不可能。無駄に国民を死なせるならば降伏しましょう。でも、あなたたちは逃げなさい。そして、反撃の期を待ちなさい。と、そう言われました」
「ケレス様がそのようなことを」
「我らは指示に従い、待ちました。そこへ、魔族が現れたのです。ですから、お願いです!どうか、アイルーロスを、猫族を、救うため、我らに手を貸してください!どうか!」
アレスは、土下座をしてニアと四騎士に頼み込んだ。
「顔を上げろ。アレス」
ゆっくりとアレスは顔を上げた。
「どうして、私ら魔族がここにいるか分かるか?」
「ーえ?」
アレスはぽかんとしている。
「猫族王都アイルーロス奪還の為だ。頼まれなくとも、手を貸すつもりさ」
その言葉を聞いたアレスは一瞬笑顔になり、すぐに真剣な顔をして一礼した。
「あ、ありがとうございますッ!」
その晩、ニア、四騎士、アレスで作戦が練られた。
作戦は次のようだった。
第一関門である、トロールの巣森を魔族軍は五つの部隊に別れて突破。各部隊のリーダーをニア、タタラ、クロエ、エマ、マリとする。
その際、B.Cがトロールの巣森を突破することは困難なため迂回ルートよりアイルーロス城を目指す。
全魔族軍が巣森突破後、各部隊合流。そのまま、B.Cのアイルーロス城到達報告を待つ。
到達報告次第、作戦行動開始。
アレスの報告によれば敵は重火器部隊の所有を確認。
よって、敵に罠を張る。タタラ隊、エマ隊及びマリ隊の歩兵を前線に出撃させる。罠に掛かった敵重火器部隊による一斉砲撃を行うだろう。
その期を狙ってクロエの魔法で敵重火器部隊を殲滅。
その後、全魔族軍総攻撃開始。
敵を混乱に貶める。その時、安全のためB.Cによる王族救出を行う。最後に敵の完全制圧。
大まかな作戦はこうだった。
「この作戦は、クロエの魔法とB.Cの王族救出の成功の有無に左右される。気を引き締めてかかれ!」
「ハッ」
「はーい」
「もちろん。他の者も失敗は許されない。いいな!」
「ハッ」
「了解」
「はい」
「以上。明日に備えて今日はゆっくり休め。早朝出発だ!解散!」




