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採集が向いている?いえ、ドラゴン退治がしたいです!

ツバサが選んで来たのは薬草の採集だった。その薬草はバロゼラスの近くの草原に自生しているらしい。


「せめてゴブリンの巣の討伐の依頼がよかったです」

「あれはノーマル以上の冒険者複数パーティーの依頼だからどの道無理だな。いまのランクで受けれるような討伐依頼は朝一で血の気が盛んな連中が根こそぎ取っていくんだ」


くそう。そうだったのか。わたしがディフィニアの着せ替え人形になっている間に全部持ってかれたなんて。明日はわたしが朝一番で乗り込んでやります。

なんであれ念願の冒険者になっての初依頼だ。採集依頼で失敗することはないだろうが気合を入れて臨もうじゃないか。

しかし気合を入れてもどうにもならないこともある。まず薬草が生えてる草原が何処かわからない。なんたって今朝まで監禁されていましたからね。そもそもバロゼラスに来てからわたしが自分の意志で行ったことがあるのが、ノルンちゃんから道を教えてもらって行ったお菓子屋さんだけなんだ。

ということでツバサに目的の薬草が自生する草原へと先導してもらい目的の草原まで進む。途中、道端に落ちていたいい感じの木の棒を拾ったので、ツバサから借りたナイフで加工しながら歩く。徒歩で一時間ほど歩くそうだ。


「ツバサはいつもどんな依頼を受けているんですか?」

「この間まではこんな感じでよく採集とかしていたな。ノーマルランクになってからは受けれる依頼の幅が広がったな」


目的地までの道のりはツバサと話すくらいしかすることがなかった。

バロゼラスは大きな年なので周辺の整備もよくされていた。いま歩いている道も舗装はされていないが人通りも多いのか踏み固められていて歩きやすかった。しかし整備されているので途中に魔物が飛び出してくるなんてこともない。定期的にバロゼラス在中の国軍や冒険者たちが討伐しているそうだ。


「でも結構前から魔物を倒したらとか話してくれていませんでしたか?」

「あー。あれはな、なんていうか。大規模な討伐依頼の荷物持ちの依頼受けてだな。どさくさに紛れて。な」

「な。って、わたしにはいつも無茶するなって口酸っぱく言うくせに」

「せっかく異世界に来たんだし、俺だって魔物と戦いたいんだよ」

「やっと本音を語りましたね。こちらに来てからツバサは大人ぶっているようでしたが、わたしの目は誤魔化せませんよ」


わたしがこの世界を楽しんでいるならツバサが楽しんでいないはずがない。ツバサが好きなものは私も好きだ。だって空っぽの人形だったわたしに生きる理由をくれたのはツバサなんだから。


「俺が馬鹿な事してしまったせいでアキを巻き込んで死なせてしまった。挙句こんな世界に飛ばされアキは全部を失くしたのに」

「それは違いますよ。あれはわたしがしたくてやった事です。それに異界の女神さまが横槍を入れてくるなんて誰も考えもしなかったでしょう。ツバサが気に病むことなんてありません。もしかして、そんなことでずっと悩んでいたんですか?」

「そんなことって……!」

「わたしはむしろ感謝しているくらいですよ?素敵な世界に連れてきてくれてありがとう。それもツバサと一緒だなんてこれ以上素敵なことはないって思っているくらいです。ツバサが女神さまを許さないのは知っています。ですが今すぐにどうこうできる問題でもありませんし、少しぐらい楽しんでしまってもばちは当たりませんよ」


女神さまについて思うことろがないと言えばウソになるが、死んだのはわたしに力がなかったから。だから別に恨んじゃいないかな。それに、わたし的にはこちらの方が住み心地いいし。


「まさかアキに励まされる日が来るなんて。しかも俺があんなに悩んでいたことがアキにはそんなことで片付けられるとはな。俺がバカみたいじゃないか」

「そうですよ。いまさら気が付いたんですか?ツバサはバカです。大バカです」

「はは!じゃあ俺もこの世界を楽しんでみようかな!つってもアキの見てないところでもう楽しんでしまっていたんだけど」

「そう!そこが問題なんです!わたしには危険だとかなんだ言っておきながらツバサは満喫していたのが許せません!」

「やべ、墓穴を掘った。悪かったって、殴んなよ」


たしかに楽しめと言ったけどなんかムカつく。

わたしはこんなちんちくりんな身体になって弱体化してしまったのに、ツバサは以前のままなんて不公平だ。

はっ。まさか旅の道中で危険だから下がっていろだの言っていたのは、わたしを心配してじゃなくて自分が戦いたかっただけなんじゃないだろうか。はじめて聞いたときはツバサも立派になったと涙したのに。あの時の感動を返せ。泣いてないけど。


「急いだところでいまのわたし達では女神さまには勝てませんよ。わたしは言わずもがな、ツバサも最低でも以前のわたしくらい強くなってもらわないと」

「いや、それって一生むりってことじゃ」

「さーて。それはツバサの努力次第ではないですか。時間を無駄にしてしまいました。急ぎますよ!」


遅れを取り戻すため走り出したみたけど。すぐにツバサに抜かされたし、すぐバテたので歩いて行くことにした。

この薬草の採集依頼には指定された薬草を取ってくるのではなく、薬草なら何でもよいそうだ。こういった依頼は別の依頼の片手間にやってくれればいい、だから特に指定はしていないそうだ。ツバサが教えてくれた。

この草原で手に入る薬草は主に六種類。道すがらそれぞれの特徴と名前をツバサに教えてもらっているので準備はばっちりです。

レッツ採集とまいりましょうか。


「ツバサ、どれではだめです。トクヤミ草の葉は解熱剤として調合できますが、根っこは整腸作用があるので全部使えます。綺麗に引き抜いてください」

「すまん」


雑に引き抜くツバサを注意する。説明した通り全部使える薬草なので引き抜くと根がちぎれてしまうので商品価値が落ちてしまう。しらんけど。

わたしは来る途中に拾った木の棒を加工し作ったスコップで根を傷つけないように周りを掘り、根に付いた土を丁寧に落としていく。完璧な仕事じゃないか。


「待ってください。そのクレナは花が咲いている方が作用が強いので、まだつぼみは残しておきましょう。他の方が取りに来るかもしれませんし」

「ああ」

「それはクワ球根に似ていますがニゾラ球根です。ほら、ここの根っこが赤みがかっているでしょう。クワ球根は香辛料や食品の害虫避けとして使われますが、採集にあまり慣れていない人がクワ球根とニゾラ球根と間違えて食中毒が起こったりするそうです。症状は下痢や嘔吐など毒性は低いですが気を付けた方がいいですね」

「おいアキ。なんでそんなに詳しいんだ。本当に今日が初めてだよな」

「ひまな時間にディフィニアのあやしげな書物をたくさん読んできましたから。薬草の図鑑もその中にありました」

「ああ、はい。そうなんですね」


初めてのギルドの仕事で張り切りすぎて持ってきた籠には薬草が山盛りになっていた。

夢中になりすぎ時間も忘れて採集していたため遅めの昼食を木陰でとることに。昼食はノルンちゃんのお父さんお手製の鶏肉と甘辛いソースを挟んだパンだ。


「さあ、手を出してください」

「なんだこのパンは俺のだ。やらんぞ」


包みからパンを取り出そうとしたツバサにストップをかけると、包みを隠すように遠ざけられた。


「もう、そうじゃありません。人の分まで手を出すほど、わたしは食い意地をはっていません。そうじゃありません、食べる前に手を拭かないと」


さすがノルンちゃん。お手拭き用のおしぼりも入っていた。

先程まで薬草を取っていたわたしたちの手は汚れている。ましてや毒を含む植物も触ったのだ用事に越したことはない。

いまのくだりで本気で警戒されたことに物申したい気持ちはあるけれど、黙っておしぼりを差し出す。

が、ツバサは手を差し出している癖にいつまでも受け取らない。え、なに。もしかしてわたしに拭けということ?


「どうぞおしぼりです」

「ああ、悪い。でも人に手を拭いてもらったり、食べさせてもらったりってどういう感じなのかなーって気にな、フガッ!」


まさかコイツ!わたしとノルンちゃんのやり取りを知ってやがるのかッ!

どうしてだ。だってあれはツバサたちがいない時間帯にしかしていないはずなのに。そういえばディフィニアもなぜか知っていた。誰が情報を漏らしている。それとも覗かれている?

黙らせるためにツバサの口におしぼりが消えてしまったので、自分手を素早く拭いてお望み通りツバサの手を拭いてやる。土仕事の後なので爪の間まで土が入り込んでいて苦労したが綺麗になった。


「わたしに何か言うことはありませんか」

「そうだったな。時間がかかるから今度から自分でや、フゴッ」

「ふふふ。そんなにおしぼりの味が気に入ったんですか?今度のは土味のおしぼりですよー。美味しいですか?」

「うえ。ぺっぺっ。何しやがる」


「知りません」


あーあ。食後に手を拭けなくなってしまった。どうしてくれるんだよ。

口の中に入った土と格闘するツバサを尻目に昼食のパンにかぶりつく。

ピリッと辛いソースがいいアクセントになっている。が子供舌のわたしには少々辛みが強かった。小瓶に入った水を飲むと果実を絞ってくれていたようでほのかな甘みを感じ、口の中の辛みを洗い流される。

相変わらずあの筋肉オヤジの料理はよくできてる。

食後のデザートがないのが残念だが、冒険中だから当たり前か。帰ったらお昼の分もいっぱい食べればいいか。




草原に寝そべり飴玉をくちで転がし昼食後のブレイクタイムを過ごしていた。

ツバサが忍ばせていた飴をもらった。冒険に行く際はいくつか持ち歩いているそうだ。諦めていた甘味を補給でき、わたしは満足したので眠気に負けそうになっていた。

わたしも今度冒険に行く際は忘れずにお菓子持ってこなきゃだ。山に登るときはカロリー補給とかでお菓子持って行った方がいいとか聞いたことあるし、ちょっと多めに持って行っても大丈夫だよね。

ああ、日差しが気持ちいい。もう無理。寝る。おやすみなさい。


「おい。寝るなよ」

「いたっ!乙女の顔を殴るなんてサイテーです」


眠気に負け瞼を閉じたわたしの額に衝撃がはしった。

仕方なく体を起こすし、しょぼつく目をこすり見上げた先に呆れ顔を浮かべたツバサがいた。


「なんかおまえ、もうすっかり女に馴染んでるよな。仕草もだし、その敬語口調とか」

「ふふん。そうでしょう。ツバサから頂いた小説で登場する回復キャラってだいたい敬語でしたので、この方がいいのかと思いまして。いわゆるロールプレイってやつです」

「それを聞いて安心したよ。やっぱりおまえはアキだ」

「わたしはわたしですよ?」

「アキから見た俺はいつも通りだろうけど、俺から見たアキは全くの別物なんだよ。でも中身は変わってなくて安心したって話だよ。薬草も採れたし帰ろう」

「そうですね。これで依頼達成ですね!」

「気が早いな。ギルドに報告してからだぞ」


見た目は違うかもしれないけれど、わたしは一切変わらない。でもたしかにツバサが女の子になってしまったらちょっと戸惑うかも。いや、絶対戸惑うな。つかキモい。

あれ。もしかして今のわたしって気持ち悪いの?いやいやいやいや。まさか、そんな。ねえ?ツバサがそんなこと思うはずないよね。わたしたち友達だもんね。そんなの言葉にしなくたって分かるよ。だって親友だもん考えるまでもない。


「ツバサ!わたしのことどう思っていますか。好きですか嫌いですか!?」

「はあ!どうした急に!?」

「答えてください!いまのわたしは好ましいですか?それとも」


どうしよう。もしキモいとか言われたら。生まれて初めての唯一の友達にそんなこと言われたら立ち折れないかもしれない。

なぜこうなった。そうだ。すべて女神のせいか。恨んでないとか噓だった。ちゃんと旅の理由あったじゃないか。殺す。見つけて絶対殺してやる。


「アキはアキだ。俺の親友だ」

「ツバサぁ!そうですよね。わたしたちこれからもずっと友達ですよね!」

「おっ、おう!トモダチだよ」


よかった!感情極まって思わず抱き着いてしまった。すぐ離れたけど。

姿が変わってもわたしは変わらず友達だ。疑っていたわけじゃないよ。あらためて確かめただけ。わたしたちに友情以外の感情があるはずないもんね。


今週はあのゲームの発売日ですね。楽しみですね!はたして来週の投稿はできるのか…

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