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ランクごときで測れるわたしではない!

さあさあさあ、やってまいりました冒険者ギルド!

いまは朝の依頼争奪ラッシュ時間が終わり比較的ギルドは落ち着いた時間帯らしく、ギルド内空いていており職員の他にちらほら冒険者の人たち見えるだけだった。ギルド内は想像していた以上に清潔でした。ジョッキ片手に騒ぎ立てる荒くれ者がいっぱいるものと思っていた。しっかり統制しているらしい。

とくにトラブルもなく新規冒険者登録の受付まで着いてしまった。

わたしの予想では冒険者ギルドに入ると、いかにも荒くれ者風の厳ついおじさんたちが下心丸出しの笑みを浮かべわたしたちを取り囲むものかと思っていた。

げへへ、ここらじゃ見ない顔だな。さては新人だな。こんな坊主と冒険したんじゃ危ないぜ嬢ちゃん、経験豊富な俺たちが手取り足取りレッスンしてやろう。ぎゃはは、なんのレッスンするつもりだよ。おいおい暴れるなって、それじゃこのあと体が持たないぜ。そんじゃ坊主この嬢ちゃんは俺たち先輩に任してさっさと依頼でもとってこい。それとちょっと一日借りるぜ。一日で済むかわかんねえけどな。ハハハ。

という感じで嫌がるわたしを無理やりどこかへ連れて行こうとする。そんなイベントを期待していたのに。もっと、おじさん方はツバサに駆逐され、わたしは助かるわけなんだけど。

おかしいな。少なくともツバサに借りた本の多くには初めて冒険者ギルドに来た人は先輩冒険者に絡まれるそう書いてあったはずなのに。

少々物足りなさを感じたが、ともあれ冒険者登録のため受付嬢に説明を受けることに。


「冒険者ギルドへようこそ。本日はご登録でお間違いないでしょうか?」

「ああ」

「はい!よろしくお願いします!」

「ではまず冒険者ギルドについて説明をさせて頂きます」

「説明は大丈夫だ。もう知っているから登録だけ頼む」


なんで勝手に決めるかな。わたしはお姉さんから説明を聞きたいのだが。そう言おうと思ったのだけど、ここに来るまで時間をかけすぎてしまったので冒険する時間を考えると省略するしかないか。しょうがないツバサの説明で妥協してやるか。


「わかりました。それではこちらの用紙に必要事項の記入をお願いします。代筆が必要であればお申し付けください」


受付のお姉さんはツバサに用紙を差し出しす。


「登録するのは俺ではなくてこいつだ」


ツバサがそう言いわたしの頭に手を乗せてアピールする。その手を払いのけ、驚いた顔を浮かべるお姉さんがツバサに差し出していた用紙を受け取る。

こういった紙にサインするときはしっかりと内容を確認してからじゃないと痛い目を見ると本で読んだことがある。世の中にはとんでもない契約書を言葉巧みに誘導しサインさせてくる輩もいるというではないか。世の中って怖いな。わたしはそんな轍は踏まないよう隅々までしっかりと読もう。

なにやらツバサとお姉さんがこんな小さな子が~って言い争っているが気にしない。

用紙を読んでいくと登録を兼ねた誓約書のようだった。

依頼を達成してくと階級が上がるよ。冒険者に信頼は超大事これ忘れんなよ。これないとギルドから追い出すわ。あと死んでも自己責任だから気を付けてね。

サインしても問題なさそうなのないようだったのでさらさらっと名前を記入する。

しかしわたしは最初から読み書きできるがツバサってできないんだよね。言葉は解るのになぜなんだろう。物語でも異なる世界にいってもみんな現地語理解しているし、そういうものなんだろうか。謎だ。

ともあれこちらの文字が読めないツバサには気軽に契約書交わしちゃダメってあとで注意しておかないと。


「書けました。ご確認をお願いします」

「本当に登録しもいいのね?この男とは知り合い?騙されていない?冒険者になると依頼の途中でなにかあても事故として処理されてしまうから、それを逆手にとって君みたいなかわいい子を誘拐しようとする人もいるの。もう一度よく考えて」


なにそれこわい。

まさかツバサもそういった考えを?ていうことは、このあとわたしを暗がりに連れ込み乱暴する気なんだ。


「ご心配ありがとうございます。でも大丈夫です。冒険者になりたいと言い出したのは私ですし、ツバサは信用できる人ですから」

「わかったわ。でもヘンなことされそうになったら誰でもいいから大声で助けを求めるのよ」

「ったく。あの女は人のことをなんだと思ってるんだ」


登録の用紙を確認すると奥に戻っていったお姉さんを見送ると、ツバサは大きなため息とともに悪態をついた。


「わたしのような美少女を連れていては、あのような疑いをかけられても仕方ありません。ですがわたしはツバサを信じていますよ」


だってツバサにはそんな度胸がないことは知っているから。


「それ自分で言うか。だがさっき言われたことは覚えておけよ。この世界では何が起きても不思議じゃない。外では俺かディフィニアのそばを離れるな」

「この世界でも、ですよね。分かっています。敵は全て倒せばいいのですよね大丈夫です」

「おまえ分かってないな」

「お待たせしました。こちらが冒険者証になります」


戻ってきたお姉さんから冒険者としての証明のわたしの名前が刻まれた小さな赤いプレートを受け取った。これで晴れて念願の冒険者アキとなったわけだ。

さあ、ここからが本番です。みなさま御覧あれ。いまからわたしの世界を救う冒険が始まるのです。

手始めにドラゴンでも倒してやりましょうかね。

依頼が書かれた紙が雑多に張り出された掲示板へとやってくると、依頼書を食い入る様に読む。討伐依頼や薬草の採集に隣町までの護衛などいろんな依頼が張り出されていた。その中からわたしはお目当ての依頼を探すべく端から端まで隅々まで読み進めた。

だがすぐに高鳴る気持ちは落胆に変わってしまった。


「ないです。ツバサ、どこにもないです!」

「アキはどんな依頼を探してるんだ」

「そんなの決まっているではないですか。ドラゴンの討伐依頼です!」

「そんな危険な依頼あるわけないだろ。ここは一般の依頼が貼られる掲示板だ。そういった危険な依頼はギルドか国家が直接腕利きの冒険者に指名依頼を出すんだよ」


うそだ。うそだと言ってほしい、そんなのあんまりです。念願の冒険者になったんだ。ドラゴンと死闘とかが待っているものと思っていたのに。

というかわたしが冒険者になりたかったのはドラゴン退治したかったからと言ってもいいのに。もしくは準ずる存在。

たしかにわたしは冒険者登録したばかりの冒険者だ。世間から見れば駆け出しの初心者だ。しかし、しかしだ。わたしはドラゴンと闘っても勝利する自信がある。


「ツバサはどうなんですか?ツバサでしたらもうトップランカーの冒険者になっているのでは?」

「いまの俺のランクはアキの一つ上のノーマルだよ」

「ダメじゃないですか。ツバサは冒険者側で宝珠を探す役割なんですから、もっとがんばらないと。てっきりもうブロンズくらいにはなっているのかと」


冒険者はランク分けされていて、登録したての駆け出しはみなレッドとなる。上からゴールド、シルバー、ブロンズ、ノーマル、ビギナーの五段階に分けられ。またランクによって受けられる依頼も異なるし、得られる情報も違う。

わたしは教会から、ツバサは冒険者として宝珠の情報を探す。そのためにはまず地位を勝ち取る。


「ぐっ。世の中アキが考えているより甘くないんだよ!しょうがないだろ。低ランク冒険者はコツコツ依頼をやってランクあげるしかないんだ」

「そんな既存のシステムに捕らわれていてはいけません。もっと自分をアピールしていかないと!」

「アピールって。例えばどんな?」

「いまからドラゴンを探しにいって倒しましょう!」

「結局アキがドラゴン退治したいだけじゃねえか!」


ちっ。ノリが悪い。


「俺のことを引き合いに出すなら、アキの方はどうなってるんだよ」

「こちらは順調ですよ。次のステップに向けて動いている途中です」


自分で言っておいてなんだけど次のステップってなんだろう?

でも、この前『不適合者』とかいうのを治すっていう偉業をやってのけたので順調なんじゃないだろうか。詳しいことは知らん。ディフィニアに聞いてください。だってディフィニアの言う通りやっているだけだし。

冒険者って依頼達成したランクアップする単純システムだけど、教会ってどうなってるのか全く想像できない。いままでやってきた事を振り返るにたくさん人を治したら偉い?


「ツバサ!どんな依頼でもいいので早く行きましょう」

「急にどうした?うーん、そうだな。これなんてどうだ」

「はい。それにしましょう。行きますよ」


貼られた依頼書を眺め、その中から見繕った依頼書を見せてきたが、わたしにはそんな余裕はなかった。ツバサの裾をひっぱり、依頼を受付するようにせかす。

だってここに居ては冒険者に憧れ夢見がちの英雄志望の世間知らずの少女が現実を知って駄々をこねているだけの図ではないか。ギルドの職員さんもままあることなのか、微笑ましそうな眼差しでわたしを見ている気がする。

これ以上醜態をさらしたくはないのでツバサに適当な依頼を見繕ってもらい、そそくさとギルドから退散することにした。


小説のキーワードにタイムトラベル入れてたんだけど何でだろう? タイムトラベル要素はありません。

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