表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/26

わたし冒険者になります!

タイトルちょっとかわりました。

「決めました。わたしは冒険者になろうと思います」


早起きしまぶしい朝日が窓から差し込む朝食の席で、現在宿泊先の宿に軟禁されているわたしはそう宣言しました。

先日迷子になり教会に送られた日。今週分のお菓子を紛失するという重大な事件が発生した。あの日、帰る途中に買ったお菓子をアレスに預けたままであったことに気付き戻って探すことにした。案の定アレスたちは見つからず今週のお菓子抜きが決定した。

捜索を打ち切り帰宅したのは夜遅く。帰宅したらすぐにツバサに捕まりロープで縛りつけられました。そこからはもう地獄でした。

二時間ぶっ通しで説教、説教、説教です。

こっちはお菓子捜索中に二度目の迷子を経て、へとへとで帰って来たっていうのにこの仕打ちですよ。まったく信じられない。

ツバサに説教されていた時に椅子に縛られ動けないのをいいことにディフィニアはわたしの脇をくすぐったりと悪戯してきた。しかもツバサはそれを止めなかった。あれやこれやツバサに説教されわたしは精根尽き果てました。

そこでわたしは無情にも外出禁止を言い渡された。隙を見て抜け出そうにもディフィニアに『アキちゃん脱出不可能結界』とかいうふざけた名前の結界をはられ、わたしでは扉も窓も開けれずここ数日、一歩も部屋の外に出れません。

外の空気を吸いたいと訴えノルンちゃんに窓を開けてもらい、四階ではあったが落ちて骨折しても自分で治せるので、そこから飛び降りて逃げようとしたらまたしても見えない壁に阻まれ失敗しました。

仕方なくおとなしく軟禁が解かれるのを待つことにした。

宿ではゴロゴロと惰眠を貪り、時々ディフィニアがどこからか試験管とか器具を出して怪しい実験をするのを眺めたり、朝早く冒険者として出稼ぎにいくツバサを見送り、帰って来て今日の依頼内容を聞いて過ごした。

そこでわたしは持て余す時間を使い考えました。

わたしも冒険者となって稼ぎに行こうと。ツバサと一緒に家計を支えるために冒険者として働こうではないか。減らされたおこづかいもこれで補填できる。

完璧な計画だ。これならツバサも反論できないはず。


「わたしは冒険者になろうと思いますっ!」


先に食べ終えギルドに出かけようと準備を整え部屋から出ていこうとしたツバサを追いかけ凄んで見上げる。

とっても嫌そうな顔をしてわたしを無視して冒険者ギルドに向かおうとしたので、扉の前で腕を広げ通せんぼしツバサをにらみつける。


「二回言わなくても聞こえてる」

「じゃあ無視しないでください」

「どうしてまたそんなことを言いだした」


盛大にため息をついてツバサはやっと返事を返した。


「わたしもいつまでも扶養家族ではいけないと思い働こうと決意しました」

「で、本心は」

「いい加減監禁生活も飽きました。もっと刺激が欲しいです、毎日ツバサだけ楽しんで、わたしは満足していないのにツバサはいつも満足して疲れ先に寝てしまいますよね。いまわたしとツバサの間には一枚の薄い膜という邪魔があります、それをツバサの手で破ってください。そして窮屈なところを出してください。それさえ無くなれば、わたしもツバサと同じくとても刺激的で気持ちよく日々を過ごせることでしょう。わたしもツバサと同じ快感を味わってイキたいです」

「なに言ってんのおまえ……」


わたしの胸の内を聞いたツバサは天を仰ぎ動かなくなりました。

だって宿でゴロゴロ過ごすのもいいけどもっと刺激が欲しい、ツバサは一人だけ異世界ファンタジーの定番の冒険者として刺激的な毎日を過ごしている。毎日遅くまで冒険し帰ってきてもすぐ寝てしまう。わたしはもっと外の冒険してきた話を聞きたいのに、疲れているとか言ってあしらわれてしまう。

ツバサがディフィニアに張らせた薄いけど強固な結解のせいで外にも出られず窮屈な生活を強いられているのに、毎日自分だけ楽しんでさぞかしツバサは気分がいいことだろう。

唯一外の情報を聞けるツバサは帰ってごはん食べたらすぐ寝てしまい不満だった。

外出禁止を言いだしたツバサがそれを撤回してくれれば、わたしもちょっと憧れていた冒険者となって刺激的な毎日をツバサとともに過ごしていきたい。


「突然なにヘンなこと言いだしたかと思えば、駄目に決まってるだろう」


たっぷり時間をかけ深呼吸をしたあと返事を返してきたツバサは頭痛をこらえるようにこめかみを押さえていた。


「なんじゃエロい話しか!」

「黙ってろ!」


一瞬ディフィニアが話に入ってきたがツバサの一喝で魔女は黙った。エロいってなんのこと?


「えー、なんでですか!ツバサばかり楽しんでずるいです。わたしも冒険したいです。したいしたい!」

「冒険者は危ないからに決まってるだろ。第一いまのお前は敵から自分を守るすべがないだろ何かあったらどうするんだよ」

「あります、ツバサが守ってくれます」


本日二度目のため息をつき、隠しもせず呆れた顔で悪態をつかれた。

目をキラキラさせてこちらを伺っていたディフィニアはなんじゃ冒険って冒険者の話か。と言ってしらけた顔で読書に戻った。最初から冒険者の話してたじゃん何と勘違いしてたの?


「それに治癒魔法も使えます。怪我しても安心です」

「駄目だ。怪我をする前提の考えの奴を連れていけない。お前は治癒魔法だけしか使えない、近くに俺がいなかったらどうするんだ」

「このまえ魔力を可視化する魔法が使えるようになりました」

「そんな魔法でどう戦うつもりだ」


ごもっともで。でも魔法を使う相手だったら便利だと思うんだけどな。

本当は使い慣れている剣を使いたいだけど、この体は力がなさ過ぎて振るのも一苦労なんだよね。以前剣を持つ機会があって喜々と振ってみたのだけど、すっぽ抜けて危うくツバサの脳天に刺さるところだった。あれ以来刃物には触らせてくれなくなった。

あの時は長剣だったのがいけなかった。まだ試したことはないけど短剣だったらいける気がするのに。

しかし何かないか。はやくツバサを納得させる理由を見つけねば、このままではいつまで経ってもお菓子も買いに行けない。わたしはいまノルンちゃんがくれる三時のおやつとディフィニアの機嫌をとってもらうお菓子の日に二回のお菓子しか食べていないのだぞ!

やはり先日、アレスたちを見つけお菓子を回収できなかったことが悔やまれる。


「連れて行ってやってもよかろう。これも社会勉強の一環じゃ」

「ディフィニア!」


わたしたちの平行線をたどる言い合いに、帽子の角度を微調整していた鏡越しのディフィニアから援護がはいった。


「茶化すなディフィニア、アキが調子に乗るだろう」


鏡でとんがり帽子の角度の微調整を繰り返しながら聞いていたディフィニアは、鏡越しにこちらを見ていた。


「べつに茶化してなどおらぬよ。前々からアキちゃんはちと世間知らずなとこが気になっていてな、いい機会じゃから外の勉強をしてくればよい」

「それならディフィニアが教えたらいいだろ、冒険者としてじゃなくてもいい」

「わしから教えてやってもいいが、やはり実際に体験し見聞きして覚えた方がよい。それにわたしから教えると偏った知識になるやもしれんがいいんじゃの」


さすがおばあちゃん、見た目は少女然とした姿だが無駄に長生きしているだけはある。せっかくの援護射撃だし乗っかろう。いかにもわたしもそれを考えてしましたという風に何度も頷いて見せる。これにはツバサもその言い分にすぐに返事を返せずにいる。

世間知らずってのは否定しないよ。だって本当だし。


「わかったよ。ただし俺の指示はしっかり聞け、勝手な行動は絶対にするな」

「はいっ、わかりました!」


ディフィニアおばあちゃんの口利きもあり、ツバサも大きな溜息のあと不承不承といった感じではあるが頷かせることに成功した。


「では話がまとまったところじゃし着替えの時間といこうかの」

「え……。このままでもいいのではないですか」

「馬鹿者、ギルドに教会の者が依頼をすることはあれど、依頼を受けにいく者がいたらあらぬ噂がたってしまうじゃろう。なにわしも着替えを手伝ってやるゆえ安心せよ」

「いえ、ディフィニアの手を煩わせずとも自分でできますから」

「なに遠慮することはない。アキちゃんはこちらのファッションに疎かろうゆえ、わたしが冒険者コーデを見繕ってやろう」


ああ、もう乗り気だ。言っていることは正しいからきょひできない。けれどこちらに来てもう何度も体験しているので分かる。こうなったらディフィニアはもう止められない。わたしはこれからディフィニアの気がすむまで着せ替え人形になるんだ。


「そうと決まれば。ほれツバサさっさと部屋を出ていかぬか」

「なんでだよ?」

「これから乙女が着替ええるというのに、お主はそれを堂々と見学するのか」

「わたしは構いませんよ?どちらかというとツバサの意見が欲しいですし」

「わ、悪い。着替え終わったら呼んでくれて」


顔を赤くして慌てて部屋を出ていくツバサを見送る。恥ずかしがらずともわたしたち元同性じゃないか。

それにわたしたち中で冒険者に詳しいのはツバサだろうから、わたしくらい年齢の冒険者の女の子がする服装について意見が欲しかったんだけど。ディフィニアに任せるとたまにぶっ飛んだ服を着させられることがあるのでストッパー役になってくれればよかったのに。


「さてー。アキお姉ちゃんお着替えしましょうねー。ばんざーい」

「あれノルンちゃんいつの間に!?」


突然現れたノルンちゃんの手によってわたしは服を剥ぎ取られていき、これまたどこからか現れた大量の服の山をバックにディフィニアに着せられる。

これ今日中に終わるの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ