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10代の詩情

ゴーグル

作者: 袋小路 めいろ

テーブルの上

目の前には

小さなゴーグルがあった

その横には

ふた回りぐらい

大きなゴーグルがあった

(あれっ)

一瞬頭の中を

いろんな事が駆け巡ったが

”それ”についての記憶は一切無い

寝起きの

ボサボサの頭を揺らしながら

ベットから起きた


「俺 こんなの持ってたっけ?」


手にとって

少し古ぼけた

小さなゴーグルをつけてみた




音がする

音がする


声がする

声がする




僕が一人

残されているのは暗い世界

一人で歩いているのに

何処に居るのか

わからない

前に進んでいるのか

後ろに進んでいるのか

何処に行けば良いのか

わからない



夢を掴む事が悪い事なのか

問いかけながら

夢を諦める事を選んだ



世の隔たりなど

無くなる筈もなく

ただ 悪戯に

時間は流れる

世の中は変わるけど

表面に揺らいでいる

簡単なモノしか

変わっていない



猫一匹救えない大人達の多い社会で

僕等はぬくぬくと育っている

生きる事が優越感なのか

殺す事が罪悪感なのか

麻痺している僕等に

いくら言っても

わかるわけない

誰かの声など届かない

一つとして

この世に答えは無いのだから

人の心に絶対は無いのだから



この世の夢など塵のように

この世の金など灰に変えて

この世の心を全て割って

全てを破壊する



変わらなければ

この星は死ぬ



そう 僕は星を殺すだろう

星の子として

この手で

いつしか僕は悪魔になって

灰色の空を駆けるだろう

黒い翼は宇宙に飲まれて

僕がゴミに変わる時

命の重さに気づくだろう

零から進むこの星は

命の限り燃えるだろう





忘れていた

僕の心の僅かな

願い

僕の心の小さな

想い




ゴーグルは少し濡れた

朝の光がある事の幸せがわかる

壁が一つ壊れた

清々しく壊れた

いつもの時間に戻っていく

白いティーカップの横に

トーストを準備した

赤いイチゴジャム

黒いコーヒー

いつもの時間に戻っていく

いつもより気分が良い

今日はいつもより

優しく居られる

いつの間にか失くしたモノを

見つけた日だから



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