学園追放の悪役令嬢、転校先は男子校 ~交換留学で出戻り学園、セカンドシリーズの攻略対象になってた~
学園追放の悪役令嬢、転入先は男子校の続きになります。
途方に暮れています。
もう、笑うしかないかも。
乙女ゲームの世界に転生して、悪役令嬢として第二王子に婚約破棄され、学園を去ったのは去年の半ば。
新しい婚約者探しのために、男装して男子校に潜り込んで半年。
交換留学なるものがありました。
成績優秀者上位2名。
入ってしまいましたよ、上位2名に。
こんな制度、知りもしませんでしたとも。
もう一人は第三王子のセルトという・・・うざい友人?。
成績優秀、容姿端麗、人柄二重丸というかなり嫌味な人間ではあるが、まぁ、信頼してもいいのかもと思えるくらいには気を許している。
で、途方に暮れている最大の原因。
この乙女ゲーム・・・確かセカンドシリーズがありました。
私が使っている偽名が、セカンドシリーズの攻略対象に入っていたんですよね。
出自不明だが、国王の信頼厚いエリート学生。
当時は王様の隠し子か?これも王子の一人なのか?などとちょっと興奮しつつ攻略したものですよ。
蓋開ければなんだかなという事実。
出自は明かせるわけありません。
そもそも偽名ですからね。
国王の信頼厚い・・・男装転校はそもそも王様発案だ。
私の魔力欲しさに、私が他国へ嫁がないための婿探し企画なのだから。
困った・・・本当に困った。
「どうした、シア」
心配そうに声をかけてきたセルト。
そういえばこの人も攻略対象だったと思い出す。
あとは上級生に一人、下級生に一人、教師に一人だったか。
私以外を攻略対象にしてくれればいいが・・・私、同じクラスだよな。
確率一番やばくないか?
「セルト・・・たぶん後でいろいろと作戦会議したいことあると思う」
言葉めちゃくちゃだが、悲壮感漂う私の言葉を驚いた顔で見つめてくる。
「セルト様はこちらの教室です」
引率してくれた教師がセルトを教室に入れと促す。
「あ・・・」
後ろ髪引かれる感じでセルトが声を上げるが、先生に背を押されて教室へと入っていく。
「シア君はこっちの教室へどうぞ」
隣の教室を示し、私は中へ入る。
「よく来てくれたな」
中にいた教師が笑顔で手招きしてくるので、側まで歩いていき、クラスメートの方を向く。
「魔法学院からの交換留学で来たシア君だ。3ヶ月という短い期間ではあるが、仲良くするように」
先生のざっくり紹介に、初めが肝心とばかりに、かなりいい笑顔を浮かべる。
前にこの学園にいたときは無表情キャラだったので、愛想よくしてないとバレる気がして仕方ない。
何といっても、同級生で知った顔が多数なのだから。
しかし世の中そんなに甘くない。
教室の後ろの方に唖然とした生徒が2人。
元婚約者の第二王子・デルクと、前ヒロインのリリーナ。
この二人はやっぱり気付いたか。
というか同じクラスとか勘弁してほしかった。
「席は・・・」
どこにしようか考えている教師。
席くらい決めておけと思うが、本人が来て、相性が良さそうな生徒の近くに配置しようと考えていたのだろう。
「はい、先生。私の隣、空いてます」
元気よく手を挙げた女生徒。
(来た)
彼女が今シリーズのヒロイン。
エリン男爵令嬢。
元気が取り柄のまっすぐな女の子だ。
今まで恋に興味が無く、攻略対象の誰かとちょっとしたきっかけで一目惚れしてルート開始だったはず。
私とのフラグは・・・隣の席で教科書一緒に見せてもらうとか、わからないところを教えてあげるとか、ちょっとしたやり取りで、他の攻略対象より難易度が低い上にフラグが多かったはず。
隣の席は絶対に嫌だ。
私の正体に気付いたっぽいデルクとリリーナに助けを求めて視線を向ける。
「・・・先生!」
困惑するデルクをよそに、リリーナがスッと手を挙げた。
「シア君はこの学園に不慣れです。生徒会役員である私とデルク様が面倒を見ます」
私の視線に気付いてすぐに動いてくれたリリーナ。
驚くデルクを置いて、話を進めてくれる。
「ではリリーナさんとデルク様にお願いするか。よろしく頼む」
教師のその一言で、私はどうにか最初のフラグをへし折ることができた。
休み時間に入ってすぐ、エリンが動く気配。
やばいと席を立とうとして、デルクに腕を掴まれる。
「ちょっと来い」
そのままリリーナも連れて、生徒会室へやってくる。
「なぜ、貴方がここにいるんだ、そんな恰好で」
呆れたようなデルク。
困惑しているリリーナ。
「私だって不本意なんだよ。元凶はデルクの父親なんだから、文句はそっちに言ってくれ」
私だってこんなところに来る気などなかったと、ちょっと涙目で訴える。
それにたじろぐデルク。
「何があったの?」
リリーナが優しく問いかけてくれる。
(ああ、天使)
さすが前ヒロインだ。
私が男なら間違いなく惚れるよ。
「実は・・・」
言いかけた所で、ものすごい勢いの足音が近づいてくる。
「なんだ?」
不審そうなデルク。
外の様子を見ようとして、いきなりドアが開いた。
鍵をかけてたはずなのに、ものの見事に無視している。
「シア」
血相変えたセルトがいた。
ああ、魔法使って鍵開けたのだと納得する。
優秀過ぎると、泥棒も簡単そうだと思ってしまう。
「生徒会連中に連れていかれたと聞いて・・・」
「無事だからとりあえず落ち着け」
そう言ってやると安心して、へなへなと入口に座り込む。
そこまで心配されるほど、私は何かをやらかすと思われているのだろうか?
「そこ、邪魔だから中へ入れ」
セルトに言うが、余程焦ってたのか、力が抜けすぎてすぐに動けない。
見かねてリリーナが手を貸そうとしたところ、先にデルクが動く。
「邪魔なんだからとっとと中へ入れよ」
同い年の弟の襟首掴んで、中へと放り込んだ。
そしてしっかりとドアを閉めると鍵をかける。
私はポケットからアクアマリンを取り出した。
「結界、防音」
短く呪文を唱える。
これで万一魔法が使える者がいても、簡単に中へ入ることはできないし、聞き耳立てている者がいても、この部屋の話し声は聞こえない。
私が魔法を使うところを初めて見るリリーナとデルクが目を見開いている。
それに苦笑を返す。
「さてと、まずはセルトに言っておかないといけないかな」
さすがにセルトに秘密を持ったまま、この学園生活を無事乗り切れるとは思えない。
迷っていたが、ここまで私を心配してくれる友達なら話してしまっても大丈夫だろうと覚悟を決める。
ちらっとデルク、リリーナを見てから、過去を話す。
自分が公爵令嬢で、デルクの元婚約者であったこと。
婚約破棄され、学園を退学したこと。
「冗談・・だよな?」
どう言葉を紡いでいいのかわからないセルトが私に確認してくる。
それを無言で受け止め、少し微笑んだ。
次いでセルトはデルクとリリーナを見るが、2人は目を伏せる。
事実だと、無言で語った。
「じゃあ、なんで魔法学院なんかにいるんだよ。あそこは男子校だぞ」
ちょっと声が荒くなる。
混乱している頭を、そうやって何とか落ち着けたいのだろう。
「それは俺も聞きたい」
セルトの問いにデルクも同意する。
「ざっくり説明すると、デルクとの婚約破棄は前もって知ってた。で、じゃあセルトと婚約しろと王様に言われたので断ったんだ」
そう言ってセルトを見ると、婚約話は初耳らしくて驚いている。
「なら新しい婚約者を自分の目で見て探して来いと、男装して魔法学院に行くよう提案してきたのが王様だ。魔法力あったからね」
ざっくり説明で、セルトとデルクの額に青筋が浮かぶ。
「あの馬鹿親父、非常識にも程があるだろうが」
デルクの言葉に、私もそう思うと頷いてしまう。
面白そうだと、提案を受けたのは私なので、文句も言えないのだが。
「まぁね。で、予想外の事態が発生っと。交換留学があるなんて、知らなかったんだよ」
ため息を付いた私にセルトが苦笑する。
「成績上位2名だからな。学院でも知っている奴はほとんどいない。親父もまさかそこまで成績上位にいるとは思わなかったんだろう」
デルクとセルトが兄弟そろってため息つく。
「成績優秀だとは聞いていたが、学院で上位2名に入る程とはな」
しみじみといった感じでデルクは呟く。
微妙な空気が流れる中、おずおずと声をかけてくるリリーナ。
「あの、セシア様」
本名を呼ばれて、ドキリとする。
デルクの表情も強張る。
「あなたは何故、私やデルク様に対して、平常心でいられるのですか?罵られても私達に言い訳など出来ないのに」
頑張って言葉を言い切ったが、我慢出来ずに手で顔を覆って泣いてしまったリリーナ。
ハッと気づいたように視線を逸らすデルク。
「どういうことだ?」
冤罪のことや断罪劇場を知らないセルトが怪訝そうに声をひそめる。
「あー、うん。まぁね」
何と答えたものかと考える。
そして決めた。
「知ってたから、全て」
シナリオ全部知ってます。
もう、ぶっちゃけて、セカンドシリーズについても話しちゃいましょう。
で、私を守ってください。
断罪劇場に良心痛んでいるのなら、それでチャラにしますから。
何か、ターゲットにロックオンされたっぽいのでね。
今回のヒロイン様に。
元気はつらつ少女はどこへ行ったと聞きたいくらいに、肉食獣な目で見られてます。
ぶっちゃけてから1ヶ月。
始めは不信がっていたセルト、デルク、リリーナも私が話した通りのイベントが次々に起こるので信じるしかなかったようだ。
私へのフラグを片っ端からへし折りつつ、別の攻略対象のフラグを立てようとしてくれていた。
しかし別の攻略対象のフラグはエリン自身にへし折られている状態。
捨て身でセルトが自分のフラグを立ててしまおうと体を張ってくれたが・・・これもエリンにへし折られた。
「すまん」
ちょっと落ち込むセルト。
「まぁ、エリン手強いから」
うん、仕方ない。
やっぱり私、完全にターゲットにされてました。
直感外してませんでしたよ。
「でも、どうする」
困ったようにつぶやくデルク。
ここ生徒会室はすっかり作戦会議の場と化している。
「最後の手段かな」
ポツリとリリーナがつぶやく。
何か良い手でも思いついたのだろうか。
「シア君はセルト様とエリンが恋人同士になったらどう思いますか?」
リリーナが笑顔で聞いてくる。
そのフラグはエリン自身にへし折られてると思うのだが?
まぁ、ちょっと想像してみる。
「・・・・・結構嫌かも」
なんか腹が立ってきた。
パァと嬉しそうな顔をしたセルトは眼中に入っていない。
それに気付いたデルクが励ますようにセルトの肩を叩いているが、それも眼中に入っていない。
「じゃあ、決まりね」
あれ?
天使の微笑みのリリーナがなんか怖いと思うのは何故だろう?
「準備するからシア君は先に教室行ってて。デルク様、シア君をよろしくお願いします」
リリーナに言われて、訳が分からない私とデルクは生徒会室を追い出された。
「セルト様、ちょっとお願いしたいことがあるのですが」
そう言ってリリーナに呼び止められたセルトを残して、教室へと戻る。
教室へ戻ると、エリンが獲物を狙うような目で私を見てきます。
ものすごく怖いです。
デルクがいるからまだ耐えられるけど・・・
「デルク様、先生が呼んでいます」
下級生らしき男の子がデルクを呼びに来る。
(うそぉ)
縋りつくようにデルクを見る。
困ったようにデルクに見返されてしまった。
「デルク様、私が側にいますから、大丈夫ですわ」
さっきまでちょっと離れたところにいたはずのエリンが、いつの間にか隣にいて腕を掴まれた。
(ひぃ!)
思わず悲鳴を上げそうになって、何とか堪える。
「問題ありませんでしょう?」
ダメ押しでデルクに言うエリン。
いやいや、問題だらけでしょうよ。
貞操の危機とか、感じるんですが。
「だが・・・」
デルクが何か言いかけた所で
「デルク様、早くお願いします。急ぎだと言われているんですよ」
デルクを呼びに来た下級生が急かし、返事も聞かずにデルクを引っ張っていく。
「行ってらっしゃいませ」
笑顔で見送るエリンと絶望的な表情で見送る私。
「シア様、私、シア様にお願いがありますの」
そう言って腕を引っ張られる。
そのまま教室を出て、どこかへ向かっているようだ。
「あの、教室でもいいんじゃないですか?」
恐る恐る聞いてみる。
「できれば誰もいないところに行きたいです」
しれっと言ってのけたぞ、このヒロイン。
そして思い出す。
デルクを呼びに来た下級生って、確かエリンの攻略対象だったはずだと。
(手なずけたのか?)
私とデルクを離すためにわざわざ。
今回のヒロインを心底怖いと思った。
「ここでいいかしら」
呆然としていると、空き教室へ入って行く。
腕を引かれてそのまま私も・・・
いやいや、ダメだろ。
恥も外聞もなく、声を上げようとして、口を手で塞がれてしまう。
「そういう野暮なことはしないでくださいね」
力強く空き教室へと連れ込まれてしまいました。
元気はつらつなヒロイン・・・運動神経抜群の彼女は、私よりもよほど力があります。
なんたって私、男装してても女です。
インテリです。
ひ弱です。
かなうはずありません。
「一目見た時から、私、シア様に心を奪われてしまったの」
エリンの告白に驚愕する。
なんと、へし折ったフラグ全て無意味。
あの苦労は一体何だったのか。
ちょっと意識が飛んでいる間に、私は床に押し倒されてますよ。
両手拘束されてますよ。
もう顔面蒼白になるしかありません。
「色白で女の子のような顔立ち」
うっとりと私を見下ろすエリン。
ええ、私、女の子ですから。
もう答えちゃっていいかな・・・
「簡単に私に抑え込まれちゃう華奢さ」
だから私、女だから・・・いや、押さえ込んでる方も女の子だ。
これ、理由にならんな。
戻ったら体力つけよう。
そんなこと考えてたら、服の下に手とか入ってくるし。
「ちょっとエリン。何してるかわかってるのか?」
青い顔して説得を試みる。
「もちろんわかってますわ。シア様、ガード固いから、既成事実作ってしまおうと思いまして」
さらりと言ってのけたよ、このヒロイン。
ヒロインは純情であるべきとか、私の思考回路が乙女なだけ?
ああ、リリーナは本当に天使だった。
こんなことしなかった前ヒロインの微笑みが浮かぶ。
「私の愛を受け止めてくださいまし」
エリンの顔が近づいてくる。
ヤバイと本能が告げるが、どうにもできない。
(もう、女の子同士だし、いいかな)
完全に諦めモード突入。
そう思ったとき、急に教室のドアが開く。
「そこまでだ」
地を這うような低い声。
よくよく見ると、セルトがかなりお怒りの状態でドアを開け放ち立っている。
その後ろにはリリーナとデルク。
そうとう走ってきてくれたようで、かなり息を切らせて苦しそうだ。
「出ましたわね、お邪魔虫」
エリンが悠然と立ち上がる。
エリンの言い様に、こんなでも一応王子達なのだが・・・などと考えてたら、両手の拘束が解けていることに気付く。
慌てて起き上がると、乱れた衣服を急いで整える。
それから、ちょっと涙の浮かんだ目でセルトとデルク、リリーナを見た。
手遅れだったのかと固まる男2人を置いて、リリーナがすぐさま駆け寄ってくる。
「大丈夫、シア君?」
私をエリンから隠すように抱きしめてくれた。
こういう時、頼りになるのは女の子だと思う。
「本当にシア様の周りの方々は過保護ですこと。ガードが固い中やっと作ったチャンスでしたのに」
舌打ちでもしそうな勢いのエリン。
今回のヒロイン、本当に怖いな。
「シアは俺のなんでね。勝手にちょっかい出されると困るんだよ」
不遜に言い放つセルト。
(はい?)
私はいつセルトのものになったのだ?
疑問符だらけの私。
つかつかと近づいてきたセルトに腕を掴まれ、立たされる。
そのまま抱きしめられた。
思わず拳に力を込めて、繰り出す直前思いとどまる。
リリーナがそっと端に避けたのが見えたからだ。
(これって、こしかして)
リリーナが先程言っていた最終手段とかいうやつだろうか。
ならば大人しくしていた方がよさそうだ。
しかし最終手段。
確かに最終手段だ。
偽名使って男装している私はともかく、セルトは第三王子で有名人の上、本名だ。
確実にホモのレッテルを貼られて噂が拡大してしまうだろう。
さすがにそれはまずいのでは?
セルトのホモフラグは私がへし折るか。
そう思ったところで顎を掴まれ、上を向かせられる。
何事?とか思う暇も無く、セルトの顔が近づいてきて・・・口付けされたのだと理解するまでに数秒かかった。
固まっていると、ひょいとお姫様抱っこされる。
「こういうことだから、返してもらう」
唖然としているエリンの横を、颯爽と通り抜けるセルト。
そのままひと気のない廊下を駆け抜け、生徒会室へと駆け込む。
私も唖然としていますよ。
一緒についてきたデルクも唖然としてました。
なぜかリリーナは驚きつつも楽しそうだ。
えっと、リリーナの最終手段ではあるものの、最後の一押しはセルトの独断らしい?
これは怒ってもいいのかな?
いいんだよね?
いいんだろう!
「どういうことか説明してもらおうか」
セルト相手にってところだろうか。
気恥ずかしさより、怒りが勝る。
「好きだから他の奴に取られるのが我慢できなかったんだよ」
ぶっきらぼうなセルトの答え。
それは答えになっていないだろう。
私の額に青筋浮かぶ。
好きだから云々の告白は完全にスルーする。
「だからってやっていいことと、悪いことがあるだろうが」
嫁入り前の娘になんてことをしてくれる。
「初めてじゃないし、いいだろうが」
「初めてだよ」
売り言葉に買い言葉である。
馬鹿正直に答えてしまいました。
「一回やってるよ。お前は寝てたけど」
(何ですと?)
セルトの爆弾発言に頭が真っ白になる。
「俺がお前の魔法媒介壊したあたりだ」
そんな前に、そんな隙を作っていただろうか?
いや、それよりも・・・
「ここ来るまで、セルトは私の性別を知らなかったんだよな?」
かなり怖い事態だと気付く。
成り行きを見守っていたリリーナとデルクも不審そうな目つきになる。
「いや、思わずな。少し悩んだが、まぁ、男でも構わないかと開き直った」
視線が泳ぐセルトに私はかなり引く。
リリーナとデルクも同じようだ。
「いいじゃないか、女なんだし。性別関係なく、俺はシアが好きなんだよ」
なんだろう、ちょっとほだされそうになったが・・・私が男だった場合、ホモでも良かったということなんだよな?
「嫌過ぎる」
ショックのあまりリリーナに抱きついてしまった。
リリーナも労わる様に抱きしめ返してくれる。
やっぱり女の子の方が安心して好きだと心から思う。
「お前、ちょっとは言葉を選べよ」
デルクは弟の言い様に呆れる。
セルトがこういうことには奥手だと知っていたデルクだが、好きな子に思いっきり引かれてどうするのだと。
後日、第三王子にホモ疑惑が持ち上がった。
それに慌てた王家。
すぐにセシア公爵令嬢との婚約が決定した。
もちろん本人の了承ないままに。
第二王子の婚約者だった令嬢が婚約破棄され、第三王子に乗り換えたのだと非難が予想されたが・・・同情票が多かったという。
問題王子の人身御供にされた哀れな令嬢として、温かく迎えられたのだった。
思い付いた勢いで書いた前作。
書きたかったのはこっちがメインです。
連載の話に、いつか恋愛要素入れたくて、練習中。
いや、私には難しいと悟ったけど。
話が雑なうえ、中途半端で申し訳ないです。
設定自体は結構気に入っているので、また続きとか書きたいなと思っています。