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第二百十七章 つなげる心

あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!

『おれは お絵かきソフトでドットを打っていたと思ったら いつのまにか五ヶ月が過ぎていた』

な… 何を言ってるのか わからねーと思うが まあ要するに


ゲーム好きが高じすぎてフリーゲームの製作にハマッてしまいました!


簡単にファイ○ーエ○ブレム風のゲームが作れるSRPG Studioというツールを使わせてもらっていて、Windowsが動くPCなら大体誰でもプレイ出来ると思います

まだ完成とは言えませんが色々見せびらかしたいので、ぜひぜひ活動報告を覗いてみてください!!


あ、猫耳猫はあと十三話ほどで完結する(たぶん)のできっと大丈夫です!

「――すみません。申し訳ないのですが、もう一度おっしゃって頂けませんか?」


 サザーン以外の仲間たちがそろった天空都市のブリッジにて。

 耳をぺたんとさせながら妙なことを尋ねてくるミツキに、俺は今度こそ聞き返されたりしないように、一語一語はっきりと区切るようにして言った。


「いや、だからな。……さっき甲板の端で邪神の欠片を召喚したら、ひゅーんって落ちてって、地面でグシャッとなって死んだ」


 擬音語を交えることで臨場感まで出した素晴らしく分かりやすい説明だったと思うのだが、


「……はぁ」


 仲間たちの反応は思わしくなかった。

 というか、自分で訊いておいてため息をつくのは流石にひどいんじゃないだろうか。


「えっ! あ、あのっ! じゃ、邪神の欠片ってあの邪神の欠片ですよね?! し、死んじゃったんですか?」

「ああ」

「それも、封印解いたらひゅーんって落ちちゃって?」

「ああ」

「じ、地面にグシャッとなって?」

「ああ」


 なぜか俺の言葉を繰り返すように確認してくるイーナに答えを返すと、彼女はその場でがっくりと膝をついてしまった。

 まったく、俺の仲間はあいかわらず変わった奴が多い。


 そもそも、俺がこうやって一人で事態を説明しているのも、原因を辿れば厨二な仲間のせいだ。

 今説明している通り、天空都市で南の孤島まで移動した直後、俺とサザーンは天空都市の甲板に出て、そこから邪神の欠片を召喚、地面に墜落死させた。


 特に想定外なこともなく、まさに瞬殺出来たので、本当なら二人で戦勝報告といきたかったのだが、サザーンは喜びすぎたせいか、甲板の隅にうずくまったまま全く動かなくなってしまったのだ。


 まあ、長年の悲願を達成したのだから、それは感慨もひとしおだろう。

 だから、しばらくそっとしておこうとは思ったのだが、そのせいで仲間たちからこんなに質問攻めされるとは予想出来なかった。

 おまけに……。


「あーあ、サザーンちゃんもかわいそーに。すっごいショックだったんじゃない?」


 さらに追い打ちをかけるように、真希が呆れた風に言ってくる。

 ただ、それは見当外れもいいところだ。


「あのな。むしろこれは、サザーンが提案してきたことなんだぞ」

「ええっ!」


 俺がそう言った途端、うなだれていたイーナも含めて仲間たち全員が驚いた顔をした。

 そんなに意外だったのか。

 疑わしげな視線に、俺はむしろ胸を張って答える。


「もともと、天空都市から邪神の欠片を落とす計画は、俺とサザーンの間では確定事項だったんだよ」

「えええっ!」


 今度はさらに大きな声があがる。

 もはや悲鳴だ。


「そ、それは、本当に、本当なのですか?」


 あのミツキすら、耳を震わせ、いつもの冷静さを失った口調で問いかけてくる。

 ただ、それでも真実は変わらない。


「ああ。ただ、その場にいなかったミツキたちには分からなかったかもしれないな。何しろ俺が、邪神の欠片を落下ダメージで倒せるかもしれない、と気付いたのは、腕輪を使ってサザーンの記憶を見た時だから」

「サザーンさんの記憶? それは、封印の巫女をやっていた時の……」


 俺もたまに忘れそうになるが、サザーンはいまでこそあんなでも、ほんの数年前までは南の孤島で邪神の封印を守る巫女様なんてのをやっていた。

 記憶を見せる腕輪の力で、俺だけはその時のサザーンが見たものを知っているが、仲間たちは口頭で伝え聞いただけ。

 これでは邪神の欠片がどうして死んだのか、理解出来ていなくても不思議ではない。


「今回、邪神の欠片を天空都市から突き落として倒せたのは、二つのポイントがあるんだ」


 まず、猫耳猫の……この世界のシステム上、落下のダメージは割合ダメージだということ。

 魔王を倒したあと、王都の屋根を渡っていた俺が、落ちて結構なダメージをくらったことがあったが、原理はこれと同じだ。


 溺死とはいえ、魔王を倒せるくらいに強くなった俺が、どうして屋根から落ちた程度でダメージをくらってしまったか。

 それは、落下によるダメージは落下距離に応じて「最大HPの何割」という方式で決まるからだ。


 どれだけ防御力が高かろうが最大HPが高かろうが、割合ダメージであれば意味がない。

 つまり、相手がレベル一だろうが千だろうが、それこそラスボスより強いような邪神の欠片であろうが、一定以上の距離から落ちてしまえば、必ず最大HP以上のダメージをくらって死ぬのだ。


 俺の知る限り溺死と同じく耐性のない項目なので、これはボスにも有効。

 ただし、実際に落下死をさせられるようなボスはほとんど存在しない。


 まず、ボスは決まった部屋で出現することが多く、そんな場所に落下死が起こるような、いや、それどころか落下ダメージが発生するような段差が存在することがまずない。


 また、天空都市のバルニスVのように、落下したら大ダメージをくらいそうな場所に敵がいることも稀にはあるが、そういう敵は大抵飛行能力を持っているのが普通だ。

 自分で空を飛んでいるのに着地したら死にました、というのは……まあ、猫耳猫なら普通にありそうだが、今のところ報告はない。


 飛行能力を持つ敵を麻痺させるなどして落下死させることは可能ではあるが、やはりほとんどのボスはその辺りの状態異常には耐性を持っているので、あまり使われることはない、という訳だ。


 邪神の欠片は本来空で出てくるような敵ではないが、ゲーム時代、隠しダンジョンで戦った時には何だかふよふよと浮いていた。

 残念ながら、飛行状態か浮遊状態になると落下距離がリセットされるようなので、邪神の欠片は墜落では殺せない……はずなのだが、ここで出てくるのがサザーンの記憶だ。



 そう、二つ目のポイントは、「右手に封印された邪神の欠片は、『封魔の陣』の上で召喚されると睡眠状態で出現する」ということ。


 この封魔の陣というのは、ネームレスたち、過去の英雄が開発した、邪神を封じる魔法陣らしい。

 そこから伸びている魔を封じる光の中で邪神の欠片が呼び出されると、相当な時間が経つか、一発攻撃を当てるかしなければ、邪神の欠片は目が覚めない。


 そして、睡眠状態にある邪神の欠片が地面に音を立てて着地した――つまり浮遊していないことも、邪神の欠片が封印を解いたその場所に出現することも、俺はサザーンの記憶を通じてその眼で見ている。


 残る問題は、封魔の陣の力が空にまで届くか、ということだが、これもやはり、サザーンが記憶の中で「空高くに立ち上る封魔の陣の光」を目撃したことで、問題はないだろうという結論に達した。


「ま、そうなれば話は簡単だ。サザーンに封魔の陣の上で邪神の封印を解いてもらえば、睡眠状態で空を飛べなくなった邪神の欠片はまっさかさまに地面に落ちて割合ダメージで死ぬ、ってことさ」


 もちろんこれは、封印された邪神の欠片にしか通用しない攻略法だ。

 封印されていない邪神の欠片は睡眠状態にはならないし、封魔の陣の上に連れてくることも難しい。

 今回限りの攻略法、ということになるだろう。


 俺が長い説明を終えると、ミツキは眉をひそめながらも、うなずいた。


「……成程。貴方方二人が甲板に向かった時は何をするのかと思いましたが、そういう事情があったのですね」


 しきりに猫耳をうなずかせるミツキだったが、ふと引っ掛かりをおぼえた。


「あれ? ミツキは俺たちが甲板にいるって分かってたんだよな。だったら何で追いかけてこなかったんだ?」


 仲間たちが騒ぐほどに時間が経っていたなら、捜しに来てもおかしくないようなものだが……。

 俺が言うと、ミツキは呆れた、とばかりにため息をついて、言った。

 

「いいですか? ……空には、地面がないのですよ?」

「は?」


 いきなり何を言い出したんだ、と考えて、はたと思い至る。


 ――そういえばミツキ、高所恐怖症だったような……。


 そういえば移動中口数が少なかったし、そもそもミツキであればサザーンが甲板に上っていたことも察知出来ていたはずだ。

 それなのに何も行動を起こさなかったのは、高いところが怖かったからなのか。


「ここまで上ってくる時に、悟ったのです。やはり、空は人のいるべき領分ではないと」


 なんかかっこいいことを言い出したが、要するにそれはやっぱり高いとこ怖い、ということだろう。

 よく見れば、自慢の耳がぷるぷると小刻みに震えている。

 顔には全く出ていないが、今も怖いらしい。


 そう考えると脱出装置で天空都市に上ってくるのはまさに恐怖体験だっただろう。

 だってあれ、逆フリーフォールみたいなもんだし。


「ま、待って! じゃあ、サザーンちゃんは最初っから邪神を落とすつもりでここに来たってこと?」


 話を戻すように口を開いた真希の言葉に、俺はああ、と力強くうなずいた。

 確信が持てたのは、サザーンが俺に近づいてきて、「(邪神を墜落死させるために)甲板に出るから、ついてきてくれ」と言った時だが、そのずっと前からサザーンはこの計画を立てていたのだろう。


 俺がサザーンの記憶を見て今回の邪神の欠片の攻略法を思いついたように、サザーンもまた、天空都市の話を聞いて、俺の計画を理解したのだ。

 いや、オリジナルの記憶を持つサザーンは、もっと早くにその可能性に辿り着いていたのかもしれない。


 そもそも、天空都市に行く話をした流れで邪神の欠片を倒すと宣言した時点で、俺の目的も分かろうというもの。

 実際、「天空都市で誰かを倒す」と言ったら、猫耳猫プレイヤー百人中百人が「あ、落下死ですね分かります」と答えるだろう。


 いや、むしろ天空都市まで行ったのにそこからモンスターを落とさないなんて、それは逆に天空都市先輩に失礼だとすら言える。

 それは双子なのに入れ替わらないとか、孤島なのに頻繁に連絡船が来るようなもので、天空都市にまで上って墜落死を利用しないなんて、片手落ちもいいところだ。


 やっと納得の色が見えた仲間たちの姿に、ようやく分かってくれたか、と安堵したのも束の間、今度は別の理由で真希が騒ぎ出した。


「うー! 水くさーい! そーま……がいつもいろいろ説明たりてないのはいつものことだからアレだけど、サザーンちゃんも相談くらいしてくれたらよかったのにー!」


 真希はそう言ってふくれるが、それは違う。


「いいや。サザーンがこのことをわざとみんなに話さなかったのは、仲間を気遣ったからこそ、だよ」

「どういうこと?」


 きょとんとする真希に、俺は厳かに告げる。


「サザーンと俺が、腕輪から引き継いだ記憶は、巫女時代のものだけじゃ、ないだろ」

「あ……」


 かつて、俺のパーティは邪神の欠片に壊滅させられた。

 その時は俺がギルドイベントを使った巻き戻りを発動させ、全てはなかったことになったが、当時の記憶を持っている人間が、二人だけいる。


 イベントを使った張本人である俺と、当時の記憶を腕輪で思い出したサザーンだ。


「今回の一件、そりゃあ確かにうまくいって、実際に邪神を倒すことも出来たけど、確実に成功するとは限らなかった」


 何しろ邪神の欠片の封印を解くことも、そいつを落下ダメージで殺すことも、ゲームにはなかった。

 おそらく出来るだろう、とは思っていたものの、俺だって百パーセントの自信があった訳じゃないのだ。


「何かがうまくいかなかった場合、その場で戦闘になる可能性もある。

 だから、さ。その戦いに、みんなを巻き込みたくなかったんじゃ、ないかな」


 仲間全てを失うつらさ。

 それを知っているからこその思いやりと言われれば、反論など出来ない。

 その重みの前に、みんなは黙り込んでしまった。


 だが……。


「それは……そんなのは、やっぱり、さびしいです」


 最初に口を開いたのは、イーナだった。


「それは、たしかに、わたしなんて、全然よわっちくて、力になんて、なれないですけど。

 でも、だからって、話もしてもらえないのは、ただ、危険から遠ざけられてるだけなのは、さびしいです」


 ぽつりぽつりと、こぼれてくる自分の心を言葉にするように、たどたどしく告げる。


「ワガママだとは、思います。でも、わたしたちは、仲間、じゃないですか。

 だったら、つらいことも、苦しいことも、一緒に乗り越えていきたい、です」

「イーナ……」


 だが、だからこそ、その言葉は俺の胸を打った。

 そして、


「良く言いました、イーナさん。私も同じ気持ちです」

「わ、わたしだって! サザーンちゃんがピンチだったら戦うよー!」


 次に反応したのは、ミツキと真希。

 見ればリンゴも無表情ながら静かにうなずいているし、オレたちを忘れちゃ困るぜ、とダブルくまもここぞとばかりに鞄から飛び出して、俺の足を左右からつついてくる。


「いえ、他人事のような顔をしていますが、黙っていたのは貴方もですよ」

「…ん。いちばんダメなのは、ソーマ」


 そして、ちくりと釘を刺してくるミツキとリンゴ。

 二人の厳しくも優しい想いで、胸があたたかくなる。


「そう、か。そう……だよな」


 かつての悲劇を知っているからこそ、仲間に話してその未来を回避する。

 そんな道もあるのだと、あらためて教えられるような気分だった。


「はは……」


 俺はいつも間違えて、そしていつも思い知らされる。

 でも、それでいいんだと思う。


 間違えない人間なんて、いない。

 だけど、間違った時にこそ、支えてくれる人の大切さに、気付けるのだから。


「俺は、いや、俺たちは、本当にいい仲間を持ったな……」


 誰にも聞こえないように、こっそりとつぶやく。

 そして、俺にはそれを教えてやらなきゃいけない相手がいる。


「じゃあ、行こうか」


 こっそりと目の端をぬぐって、俺は先に立って歩き出す。


「え? 行くって、どこにですか?」


 あわててついてくるイーナに顔だけで振り返り、俺はにやりと笑った。


「――バカでかっこつけな中二病で、でも底抜けに優しい俺たちの仲間を迎えに、さ」







 その後、俺たちはみんなで甲板にサザーンを迎えに行き、「もー、水くさいよー!」「邪神を墜落死させる計画があったのなら、話してくれれば」「わたしたち、仲間じゃないですか!」などと口々に声をかけたのだが……。


 当の本人は「そんな計画知らない!」「気分転換に外に出るだけのつもりだった」などと意味不明な供述を始め、「それよりソーマが! 邪神を! ひゅーんグシャッて! うわあああああん!」と大泣き。


 なぜだか俺は、仲間たちからよってたかって怒られるはめになったのだった。


予定調和の結末!!




※おしらせ※

今月の最後の辺りに書籍版猫耳猫の新刊が出るのですが、編集さんから「web更新死に過ぎだろコラァ!(意訳)」という苦情がきたので相談した結果、販促を兼ねてこれまでの書籍特典SSを試験的に公開することになりました!


『猫耳猫・外伝集』(Nコード N0977DC)から


今日 王女の短剣(二巻SS)

1/25 地を這う闇狩人(三巻SS)

1/26 騎士ジェシカの奮闘(四巻SS)

1/27 アレックズの癒やし(五巻SS)

1/28 ある新人記者の取材記録(書籍七巻準拠の新作)


という感じに公開予定


当時すごく頑張って手に入れてくれた人がいたら申し訳ないのですが、時間が経って入手困難になってますし、お蔵入りするのも何だかもったいないので……。


そしてもう一度宣伝しますが、活動報告に自作ゲームを載せるのでぜひぜひ覗いてみてください!

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この時のためだけにわざわざ一年前に連載を始め、この一週間で何とか二十三話まででっちあげた渾身作です!
二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~
ネタで始めたのになぜかその後も連載継続してもう六十話超えました
― 新着の感想 ―
>前コメ 真希も当時の記憶はあるけど、その記憶はヒサメ道場にいたときの記憶で塔での惨劇については他のみんなと同じように話で聞いただけだからってことじゃない?
[一言] あれ?まきもおぼえてるくね
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